過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2022年6月3日) |
皆さんは、年金の受け取り方によっては受給額を大きく上げられることをご存知でしょうか。
一般的に年金は65歳から受給となりますが、受給開始年齢を遅らせることで受給額を上げることができます。これを年金の「繰下げ受給」といいます。
今回は、この「繰下げ受給」でどのくらい増えるのかを確認するとともに、条件や注意点を確認していきたいと思います。
1. 繰下げ受給したらどれくらい年金を増額できるのか
繰下げ受給では1ヵ月受給を遅らせるごとに受給額が0.7%増額されます。1年ごとの増額率を見てみましょう。
- 66歳0ヵ月:8.4%
- 67歳0ヵ月:16.8%
- 68歳0ヵ月:25.2%
- 69歳0ヵ月:33.6%
- 70歳0ヵ月:42%
- 71歳0ヵ月:50.4%
- 72歳0ヵ月:58.8%
- 73歳0ヵ月:67.2%
- 74歳0ヵ月:75.6%
- 75歳0ヵ月:84%
最大75歳まで繰下げた場合、なんと84%もの増額になります。仮に月額10万円だった場合、18万4000円に増えるのでかなり大きくなります。
2. 年金の「繰下げ受給」本当にお得?損益分岐点を検証
年金を繰下げ受給した場合、受給額は増えます。しかし実際には、「早く亡くなると損になる」「10年分と考えると増額したとは言えない」という声も上がります。
そこで、年齢ごとにシミュレーションしてみます。
厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は約14万円。
ここから年金月額を14万円と仮定して、ざっくり試算してみましょう。(1万円未満の端数切り捨て)
2.1 繰り下げ受給せず65歳から年金を受け取る場合
- 70歳時点:840万円
- 75歳時点:1680万円
- 80歳時点:2520万円
- 85歳時点:3369万円
- 90歳時点:4200万円
- 95歳時点:5040万円
- 100歳時点:5880万円
2.2 70歳から年金を受け散る場合
- 70歳時点:0円
- 75歳時点:1192万円
- 80歳時点:2385万円
- 85歳時点:3578万円
- 90歳時点:4771万円
- 95歳時点:5964万円
- 100歳時点:7156万円
2.3 75歳から年金を受け取る場合
- 70歳時点:0円
- 75歳時点:0円
- 80歳時点:1545万円
- 85歳時点:3091万円
- 90歳時点:4636万円
- 95歳時点:6182万円
- 100歳時点:7728万円
上記の単純なシミュレーションにおいては、80歳時点までは65歳受給がお得、85歳時点からは70歳受給がお得、95歳時点では75歳受給がお得ということになりました。
「人生100年時代」とは言いますが、何歳まで生きるのかは人によって異なります。シミュレーションはできるものの、最後は自分で判断することになるでしょう。