皆さんが日頃履いているスニーカーはどのメーカーのものでしょうか。お気に入りのメーカーにこだわる人や、各社から新製品が出るごとに機能や価格をチェックする人など様々だと思います。今回は、大手スポーツメーカーの動向を中心に見ていきたいと思います。
スポーツメーカーにとってフットウェアは最大の事業
一般的なスポーツメーカーにとって重要な事業は大きく3つあります。まずはスニーカーやシューズなどのフットウェア、2つ目はアパレル、3つ目はハードウェア(エクイップメント)です。その中で最も重要なのは、スニーカーやランニングシューズといったフットウェアです。
実際、米ナイキの2017年5月期におけるナイキ・ブランドとしての売上高322億ドル(約3兆5,400億円)のうち、フットウェアは211億ドル(約2兆3,200億円)で全体の65%を占めます。ちなみに、アパレルは97億ドルで同30%、エクイップメントは14億ドルで同4%となっています。
余談ですが、ナイキはコンバース・ブランドも保有していますが、年間の売上高は約20億ドルで、ナイキ全体から見た比率は約6%と、それほど存在感はありません。
アディダスやアシックスはどうか
アディダスの2016年12月期の売上高は193億ユーロ(約2兆5,700億円)、そのうちフットウェアは101億ユーロ(約1兆3,500億円)で全体の売上高の53%を占めています。また、アパレルは75億ユーロ(約9,900億円)で同39%、ハードウェアは17億ユーロ(約2,200億円)で約9%となっています。
なお、アディダス全体の売上高にはアディダス・ブランド以外にリーボック、テーラーメイド・アディダス・ゴルフ等も含まれています。テーラーメイドは、先日報道があった通り、コア事業であるシューズとアパレル(ウェア)に特化するということで、ゴルフ事業の一部をファンドに売却しています。
では、日本を代表するアシックスはどうでしょうか。
アシックスの2016年12月期のランニング・カテゴリーにおけるシューズの売上高は2,095億円、ウェアは153億円。トレーニング・カテゴリーでのシューズの売上高は53億円、ウエアは132億円。コアパフォーマンススポーツ・カテゴリーのシューズの売上高は364億円、ウエアは113億円です。
また、ライフスタイルにおけるオニツカタイガーシューズの売上高は266億円、アシックスタイガーシューズの売上高は203億円となっています。
高機能化はナイキとアディダスにとって追い風か
こうして売上高構成を見ていくと、世界や日本を代表するスポーツブランドにとってフットウェア事業はコア中のコアだと言えます。
今後、グローバルでライフスタイルの変化や健康志向が進み、先進国から新興国・途上国に至るまでスポーツ文化が広がることは、スポーツメーカーにとって大きな商機となるトレンドかもしれません。とはいえ、スポーツメーカー各社の事業規模には大きな差があります。
たとえば、ナイキとアディダスという巨大メーカーは、それぞれ3.5兆円、2.6兆円という売上高の規模を誇ります。その売上高から得る収益を研究開発(R&D)に投入するサイクルが進むのであれば、スポーツシューズの高機能化という側面では両雄の優位性はさらに高まる可能性が大きいと言えます。
一方で、ファッション性がフットウェアのトレンドということになれば、必ずしも研究開発が優位性を確立する材料とはならないでしょう。今後の消費者のトレンドに注目です。
青山 諭志