2023年5月12日、参議院本会議で「改正健康保険法」が成立しました。
この改正により、75歳以上が負担する後期高齢者医療制度の保険料上限額が引き上げられます。
年金生活者にとっては、年金の手取り額が目減りするかもしれない改正案となりましたが、そもそも年金からはどのようなお金が天引きされているのでしょうか。
厚生年金や国民年金から天引きされるお金について、「年金振込通知書」をもとに解説します。
1. 年金通知書の見方をチェック
年金振込通知書は、毎年6月に年金を受け取る人に年金の支払い額を通知する書類です。
年度始めとなる4月と5月分の2ヵ月分を6月に支払うため、毎年6月に通知されます。
年金振込通知書には、6月から翌年4月までの支払金額が記載されています。
通知書の「控除後振込額」が、年金の手取り額です。
「年金支払額」は収入に該当する部分で、ここから天引きされていきます。
天引きされるお金の種類を確認してみましょう。
2. 厚生年金・国民年金から天引きされるお金
厚生年金と国民年金から天引きされるお金は、次の5つです。
- 介護保険料
- 所得税および復興特別所得税
- 個人住民税
- 後期高齢者医療保険料
- 国民健康保険料
天引きされる項目について確認しましょう。
2.1 介護保険料
介護保険料は、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している人で、年間の年金額が18万円以上の人が天引きの対象です。
自治体によって保険料率が異なりますが、年金から介護保険料を徴収する場合は、お住いの市区町村からお知らせが届きます。
2.2 所得税および復興特別所得税
所得税および復興特別所得税も、年金の天引き対象となります。
年金が所得税および復興特別所得税の対象となるのは、65歳未満は108万円、65歳以上で158万円を超えた場合です。
2.3 個人住民税
個人住民税も年金の天引き対象となります。
ただし、以下のケースに当てはまる場合は、個人住民税は年金から天引きされません。
- 年間の年金受給額が18万円未満の場合
- 介護保険料が年金から天引きされていない場合
- 天引きされる予定の個人住民税額が老齢基礎年金の額を超える場合
また、8月以降の税額は予定額が記載されています。