2028年大会の開催地を決めないと非常事態に陥る危険があった?

今回、2024年大会の開催地のみを決定した場合、2028年大会の開催地を決める2021年総会には、立候補都市が1つも現れない懸念があったと推測されます。また、財政面で余裕がある中近東諸国やアフリカ諸国のみが立候補した場合、気候や運営能力の問題から、開催地の選定が難しくなることもありえます。

IOCのバッハ会長としては、2028年までの開催を確実なものとしたことで責任を果たしたということなのでしょうか。IOCが抱える五輪開催に対する人気低下という問題は別として、兎にも角にも、2028年までの開催が確定したことは喜んでいいのかもしれません。

今後の開催地決定に大きな問題を残した2028年ロス五輪開催

しかし、今後に大きな問題を残したのも事実です。ロスは2028年大会の開催に譲歩する“見返り”として、IOCに多額の財政支援を確約させています。実際、ロス市長はIOCと交渉した7月末に「見送るには良すぎる条件を示された」と語っています。

その内容は完全には明らかにされていませんが、各種報道によれば、IOCから18億ドル(約2,000億円)の支援に加え、大会で剰余金が発生した場合のIOCの20%取り分も放棄し、その分を大会組織委員会に渡すという内容のようです。4年間先伸ばしても実利を取ったと言えるでしょう。

ただ、ロスの次になる2032年大会の開催地から同様の支援要請が出る可能性が高くなりました。開催地だけでなく、IOCの財政負担も益々大きくなることは必至と言えます。

順当にいけば、2032年大会の開催地は、2025年のIOC総会で決定されます。既に2024年パリ大会は終了していますが、その時の世界経済情勢と合わせて、どのような都市がどのような目論見で立候補するのか、今から注目してもいいでしょう。

LIMO編集部