都心に本社があれば信頼性につながると考えるかもしれませんが、事務所を借りれば固定費が発生します。「社長の名刺を持てば前の会社の同僚に会ってもかっこいいから」というような見栄を張っているといずれ破綻します。

自宅で開業すればこれらの費用を削減できます。どうしても事務所が必要であればシェアオフィスを利用する方法もあります。

【POINT 4】会社員時代よりも怒りを抑えられますか

「人間関係のしがらみが嫌で会社を辞めたい」という人がいます。「嫌いな人とは付き合いたくない」と。

一見、フリーランスになるとこれらの悩みと無縁になりそうですが、実際は逆です。というのは、仕事は一対一でするものではなく、必ずいろいろな人とのチームになるからです。

たとえ、ある会社に優秀で人格的にリスペクトできる人がいても、その部下が使えないという場合はよくあります。ちなみに、能力も人格も兼ね備えた人は、すぐに出世して偉くなってしまうので、残念ながら早くに現場を離れてしまいます。

あるフリーランスのエンジニアは「当初の打ち合わせにない仕様変更などについては追加の料金が発生することを言います。ただし、直しが発生したことに対して、決して怒ったりしません。怒ったら『あの人は怖い』と敬遠されるだけだからです」と話します。

またあるフリー翻訳者は「料金を払ってくれないなら怒るべきですが、請求書を送ったら翌月末にきちんと入金してくれるお客には、黙って頭を下げておけばいいんです」と語ります。

もちろん、追加修正などの料金交渉などはしっかりすべきですが、怒っても得にならないときは怒ってもムダというわけです(仕事のできない担当者を怒鳴りつけても急にできるようになるわけではありません)。

【POINT 5】結局は「付き合いたい人」になれるかどうか

フリーランスになって食べていくのがやっとという人もいれば、「ケータイが鳴るのを受けているだけ」で年収1000万円以上を稼ぐ人もいます。その差は、「いい仕事をする」こともさることながら、「この仕事ならあの人に」と顔が浮かぶことです。

その点では、会社員時代よりも「付き合いたい人」「選ばれる人」になれなければ成功は難しいでしょう。

そうでなければ、今のままの会社で職種や部署を変えて頑張るか、あるいは別の会社に転職して頑張るほうがまだいいかもしれません。まずはじっくりと考えてみてください。

上山 光一