国産コンパクトEVの先駆けとなった「Honda e」。発売されたのは2020年10月ですが、その斬新さは2023年現在においても際立っています。バッテリー容量こそ少ないものの、都市部や街乗りに特化したコンパクトなボディには最新の技術が詰め込まれていて、試乗時にはワクワクが止まりませんでした。海外メーカーの日本市場へのEV投入が加速している今こそ再注目したいモデルです。

【Honda eの魅力を探求】コンセプトカーさながらの未来感

Honda eの魅力はなんといってもその妥協のないクオリティにあります。日本の狭い街中を走りやすいこのサイズ感にスカイルーフやサイドカメラミラー、ワイドスクリーンディスプレーなどテクノロジーを凝縮。他のコンパクトカーでは味わえないラグジュアリーさと実用性、そしてデザインの良さを体感できる1台です。

筆者撮影

こだわりは細部まで行き渡っており、ドアノブも普段は収納されていてすっきりとした印象に。後部ドアもガラスの上部にフレームがないサッシュレスになっているなど、コンセプトカーをそのまま市販したような理想通りのフォルムは所有欲を満たしてくれます。

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【Honda eの魅力を探求】デザイン性だけでなく真に実用的

フロントパネルやミラーにもモニターを採用するなど、テクノロジーの活用に意欲的なHonda e。ここまで来ると目を引くだけで実用的でないのでは?と思ってしまいますが心配無用。しっかりと計算されて配置された機器はどれも運転を楽にしてくれるものばかりです。

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バックミラーやサイドミラーがカメラになっているのも助手席から同じ画像が見られるというメリットがあります。運転アシスト機能のHonda SENSINGもBEVのダイレクトに加減速できる長所でさらに良くなっている印象。

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スカイルーフも開く仕様にせず最大サイズで設置したことでコンパクトな車内を広く感じさせてくれます。後部座席は四人乗りには少し狭いですが、毎日四人で乗ることの少なさを考えれば納得。座席を倒すことでかなり広いフラットスペースにできるので、大きな買い物にも対応できます。

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画像元:Honda公式サイト

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【Honda eの魅力を探求】バッテリー容量と価格が改善されればベストな1台

長距離でも乗ってみて気になったのはやはりバッテリー容量の少なさ。時間がかかる割には東京・愛知間で4回充電しなくてはならなかったので長距離ドライブには向いていません。

ただ、あまり期待していなかった自動駐車機能は以前Leafで試してがっかりしたものとは別物で本当に便利!ボタン1つでかなりスピーディーに停めてくれるので、縦列駐車など運転技術が必要な駐車も楽々。コンパクトなサイズ感にこのレベルの自動駐車を組み込んできたのはとても良いと思いました。

画像元:Honda公式サイト

バッテリーに関しては欧米のように150kW充電ができるようになれば充電時間が短くなるので、今後改善されるかもしれません。ワールドワイドな仕様のヒョンデのEVなどは設備の整備が進めばファームウェアアップデートだけで150kWに対応できるので、国産のBEVもこうした今後の展開を見据えた設計にしてほしいなと思います。あとはバッテリーが劣化してきた際の交換やリサイクルなどの道筋も見せてくれるとさらに安心してBEVを選べるのではないでしょうか。

クオリティはかなり高いのでそこそこの価格でも納得できますが、コンパクトカーで500万弱はちょっと高い。せめて400万円程度なら補助金も相まって価格と品質のバランスが取れる気がします。400万円でもコンパクトカーとしては高いですが、安さを求めるなら日産の「SAKURA」など、斬新なテクノロジーを盛り込んでいない安価なコンパクトBEVもあるのでそちらを選べば良いでしょう。

画像元:NISSAN公式サイト

乗ってみて感じたのは、子育てが終わった夫婦がファミリーカーから買い替えるのに最適だという印象。二人乗りにはもってこいだし、運転が不安になってきてもテクノロジーでサポートしてくれる。「コンパクトカー=安い」じゃなくて「理想のサイズ+ラグジュアリー」で選ぶのがHonda eなのかなと思いました。

今後はBEVもさまざまな車種が登場することが予想されます。今まで高い車は大きい、という印象でしたがHonda eのように小さく凝縮されているような選択肢も出てくるはずです。

参考資料

木村 ヒデノリ