近年日本の転職市場は「売り手市場」と言われており、自身が望む「業務内容」や「労働条件」の選択肢が広がっていることから、転職をする人が増加傾向にあります。

実際、厚生労働省の行った「令和3年雇用動向調査」によると、20代全般から30代前半においては、約10人に1人が転職に成功していることがわかります。

転職と聞くと、求人サイトやハローワークを活用して自力で転職先を探す人もいますが、その一方で「転職エージェント」を活用して転職を進める人も多いです。

人材紹介サービスである「転職エージェント」を活用することで、転職時にどのようなメリットがあるのでしょうか。

2023年5月11日に公表された調査からは、転職エージェントの利用者の42.9%が年収アップに成功している現状がわかりました。

本記事では、転職エージェントの利用有無がもたらす転職時のメリットについて、「年収アップ」の観点から解説していきます。

「転職エージェントのサービス内容」「現在の日本の転職市場の実態」についても解説しているので、参考にしてください。

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そもそも「転職エージェント」とは

「転職エージェントという言葉はよく聞くけど、転職サイトとの違いはよくわからない」という方もいるでしょう。

転職エージェントとは、転職者と企業の間に立って、転職支援を行う人材紹介サービスを指します。

企業が求める人材と、転職者が望む仕事内容・労働条件をマッチングさせ、双方に合う転職支援を行っています。

具体的な支援内容としては、下記の内容が挙げられます。

  • 多数の求人の中からあなたに合った転職先を紹介
  • 書類作成や面接対策などのサポートを実施
  • 面接日の日程調整
  • エージェントによる企業への年収交渉

求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策、面接日の日程調整まで行ってもらえるため、「働きながら転職したい方」や「転職に慣れていない方」には利用しやすいサービスと言えます。

転職エージェントを利用すれば、転職者の代わりに「年収交渉」も行ってもらえるため、希望する年収希望額を実現しやすくなるのは利用する大きなメリットでしょう。

転職エージェント利用者は「年収交渉の成功率・平均金額」が共に高い傾向に

前章では、転職エージェントを利用すれば「年収交渉」をしてもらえることから、年収アップにつながりやすいと解説しました。

では実際のところ、転職エージェントを利用した人と利用していない人とでは、どのくらい年収に違いが出るのでしょうか。

株式会社エイチームは、直近3年以内に転職をした約3000名を対象に「転職エージェントの利用有無と年収に関するアンケート調査」を実施しています。

調査概要は下記のとおりです。

  • 調査期間:2023年3月20日~2023年3月22日
  • 調査対象:直近3年以内に転職をした20代~50代の男女
  • サンプル数:2942名
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査機関:調査委託先 ジャストシステム株式会社(Fastask)
  • リリース公開日:2023年5月11日

上記調査の結果、転職エージェントの利用者の42.9%が年収アップに成功していると回答しました。

出所:株式会社エイチーム「転職エージェント利用者は転職時の「年収アップ成功率」「年収アップ平均金額」共に高いことが明らかに!「転職エージェントの利用有無と年収に関する調査」を公開」

転職エージェントを利用していない人と比較すると、転職エージェントを利用している人のほうが、年収アップをした割合が多いことに加え、年収ダウンをしている人は少ない結果となりました。

また、株式会社エイチームの同調査では、転職エージェントを利用した人は、利用していない人と比較して転職時の年収アップの平均金額が9.2万円高いことがわかりました。

出所:株式会社エイチーム「転職エージェント利用者は転職時の「年収アップ成功率」「年収アップ平均金額」共に高いことが明らかに!「転職エージェントの利用有無と年収に関する調査」を公開」

転職エージェントを利用したほうが、年収アップができる理由として「適性年収を見極めたうえで年収交渉をしてもらえる点」と「紹介してもらえる企業の経営状態が安定していることが多い点」が挙げられます。

自身で年収交渉をする場合、基本的な年収相場が分からなかったり、遠慮してしまって低い希望年収を言ってしまったりするケースもあります。

しかし転職エージェントの場合は、多くの企業や転職希望者の仲介をしているプロのため、双方が納得できる適性年収を見極めたうえで交渉をしてくれます。

また、そもそも転職エージェントを利用する企業は「転職エージェントにお金を支払って良い人材を紹介してもらう」ことを条件に契約しているため、採用にお金をかけられるよう経営状態が安定しているところも多いです。

そのため、適性な年収交渉であれば、比較的応じてもらいやすく、転職エージェントを利用していない人よりも年収アップにつながりやすいと考えられます。

近年は求人倍率が1.0を超える「売り手市場」となっており、転職者が求人を選びやすい状況になっています。

実際に、厚生労働省の調査データによると、新型コロナウイルス感染症ピーク時は、有効求人倍率が一時的に減少傾向にありましたが、現在は回復し1.4倍から1.5倍を推移しています。

出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」

売り手市場である今、理想の条件の1つとして「年収交渉」がしやすくなっている傾向にもあります。

「年収アップをしたいけど自分で交渉するのは難しい」「転職時に自分の強みをアピールして交渉できるか不安」と感じている方は、より年収アップが期待できる転職エージェントの利用も検討してみると良いでしょう。

転職エージェントは転職アップ成功以外にも利用メリットがある

本記事では、転職エージェントの利用有無がもたらす転職時のメリットについて、「年収アップ」の観点から解説していきました。

転職エージェントを利用することで、「年収交渉の成功率・平均金額」が共にアップできる可能性があります。

転職エージェントは、年収アップの交渉以外にも、転職全体のサポートをしてくれるため「自分に合った転職先を見つけやすい」といったメリットも。

実際に、株式会社エイチームの調査では「転職エージェント利用者がよかったと思うポイント」として、下記がベスト3に挙げられました。

  • 自分では見つけられなかった企業の求人情報を見ることができた
  • アドバイスをもらったことで、転職の選択肢が広がった
  • 自分自身がもつ適性・強み・スキルの整理ができた

年収アップができても、自分に合った職種や環境でないと長くは続きません。

自分に合った求人や強みが分からないという方は、まず転職エージェントに相談してみるのも、良いキャリア形成ができる手段と言えるでしょう。

参考資料

太田 彩子