「正社員になりたくてもなれない」というのは本当だろうかといぶかしがる人もいるかもしれません。ただ、「一生懸命に仕事をしていれば正社員になれる」と考えるのは、30~40代の子を持つ親の世代の発想でしょう。なぜなら、彼らは高度経済成長期やバブル経済を経験してきた世代だからです。
今回は雇用に関するデータをもとに、正規と非正規の職員・従業員がどの程度いるのか、またその割合がどの程度かを見ていきたいと思います。
日本の非正規の職員・従業員比率は全体の38%に
総務省によれば、日本の就業者は2016年平均で6,456万人。2002年平均と比較すれば+3%増といったところです。
そのうち、役員を除く正規の職員・従業員数は2016年平均で3,367万人。2002年平均と比較すれば▲3%減です。同期間の比較で日本全体の就業者は3%増だったにも関わらず、正規の職員・従業員は減少しているということになります。
一方、非正規の職員・従業員はどうでしょうか。2016年平均が2,023万人と、正規の職員・従業員数の6割ほどの人数です。この非正規の職員・従業員数を2002年平均と比較すると、なんと+39%増と非常に大きな伸びを示しています。
2002年平均と2016年平均の比較でいえば、正規の職員・従業員が若干減少する中、非正規の職員・従業員が大きく伸びてきたことがわかります。
また、職員・従業員の非正規比率は、2002年平均ベースで29%だったものが、2016年平均では38%にまで上昇しています。つまり、役員を除いた職員・従業員をベースとすれば、日本で仕事をしている人の約40%が非正規ということになるのです。
非正規はパートが支えている
次に、非正規の職員・従業員の内訳を見ていきましょう。
2016年平均の非正規の職員・従業員数は2,023万人ですが、そのうち最も人数が多いのがパートの988万人で非正規全体の49%を占めています。日本の非正規を支える仕事のスタイルはパートといえるでしょう。
次いで多いのがアルバイトの415万人で非正規全体の21%、契約社員は287万人で同14%、派遣社員は133万人で同7%と続きます。昨今、派遣社員の存在が目立ってきた印象はありますが、パートとアルバイトで日本の非正規の70%を占めている状況です。
パート人口が増加し続けていく社会
パートは2002年平均では718万人でしたが、2016年平均では988万人まで拡大しています。2002年対比では+38%増ということになります。
少子高齢化により、人手不足を補いたい労働の需要側と(定年)退職しても仕事をしたいという労働の供給側がマッチしているといえるのかもしれません。
政府主導で「働き方改革」が叫ばれてはいますが、影響力のある規制等がない前提に立てば、雇用や労働市場のあるがままの姿としては、正規の職員・従業員は顕著には増えず、非正規が日本の労働市場を支えていくというトレンドは大きくは変わらないでしょう。この状況を私たちがどう受け止め、活用していくかがカギとなってくると思われます。
青山 諭志