ゴールデンウィークには、久しぶりにお孫さんの顔を見たという方も多いでしょう。

しかし「孫に会えるのは嬉しいけど、その分、物入りになる…」という方もいるのではないでしょうか。

食品や電気代などの値上がりが続いており、節約していても効果らしい効果が見えません。

一方で、もらえる年金収入はそう多いものではありません。

かわいい孫への出費が大変と感じる方が多いかもしれませんね。

しかし、そんな方々の中に、もしかすると「年金生活支援給付金制度で毎月給付金を受け取れる方」がいるかもしれません。

金額にすればそう多くはないですが、1回だけというものではなく、要件に該当していれば、継続的な受給が可能になるものです。

今回は、年金生活者支援給付金の概要と、受給できる条件、受給金額、手続きなどを解説します。

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1. 年金生活者支援給付金制度の概要

出所:日本年金機構「令和5年4月分からの年金額等について」

年金生活者支援給付金制度では、老齢基礎年金をもらっている人、障害基礎年金をもらっている人、遺族基礎年金をもらっている人で、所得が一定より少ないという方に対して生活の支援を目的に、給付金が支払われます。

それぞれ受給している年金ごとに、受けられる給付金額や要件が変わります。

以下で内容を確認していきましょう。

2. 老齢基礎年金をもらっている人には「老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金は、65歳以上で老齢基礎年金をもらっている人が対象になり、次の2つの要件もすべて満たす必要があります。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の要件

1. 請求する人の同一世帯すべてが市町村民税非課税である

本人だけでなく、同じ世帯に住むすべての人の市町村民税が非課税でなくてはなりません。

2. 本人の前年の公的年金等の収入金額※1とその他の所得との合計額が88万1200円以下である

※1:収入金額には、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。

支給される老齢年金生活者支援給付金は、物価の変動に応じて、毎年度改定されます。

2023(令和5)年度の給付額は「月額5140円」となり、2022(令和4)年度から比べると2.5%が増額改定されています。

ただし、この老齢年金生活者支援給付金の月額は、国民年金保険料を未納にしたり、免除をしたりしている期間があれば、その期間に応じて減額となります。

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

3. 障害基礎年金をもらっている人には「障害年金生活者支援給付金」が支給される

障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金をもらっている人が対象となり、次の所得要件も満たす必要があります。

3.1 本人の前年の所得額が472万1000円以下であること(単身世帯の場合)

前年の所得額には、障害年金等の非課税収入は含まれません。

もし扶養親族がいる場合は、その年齢ごとに以下の金額が所得額472万1000円に加算されます。

【扶養親族加算額】

  • 70歳以上の人または老人扶養親族がいる場合:1人あたり48万円
  • 特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族がいる場合:1人あたり63万円
  • 上記以外:1人あたり38万円

障害年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金のように、同一世帯員の市町村民税が非課税である必要はありません。

受けられる障害年金生活者支援給付金は、障害等級により金額に違いがあり、1級の場合は「月額6425円」2級の場合は「月額5140円」です。

4. 遺族基礎年金をもらっている人には「遺族年金生活者支援給付金」が支給される

遺族年金生活者支援給付金は、遺族基礎年金をもらっている人が対象になり、次の要件も満たす必要があります。

4.1 本人の前年の所得額が472万1000円以下であること(単身世帯の場合)

前年の所得額には、遺族年金等の非課税収入は含まれません。

もし扶養親族がいる場合は、その年齢ごとに以下の金額が所得額472万1000円に加算されます。

【扶養親族加算額】

  • 同一生計配偶者のうち70歳以上の者または老人扶養親族の場合:48万円
  • 特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合:1人あたり63万円
  • それ以外の扶養親族:1人あたり38万円

受けられる遺族年金生活者支援給付金は、「月額5140円」です。

ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5140円を子の数で割った金額をそれぞれに支払います。

5. 年金生活者支援給付金制度の手続きはどうしたらいい?

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上記で、要件や支給額について確認しました。

もし、年金生活者支援給付金の要件に該当している場合は、日本年金機構へ認定請求の手続きが必要になります。

現在、老齢・障害・遺族基礎年金を受給している人のうち、2023(令和5)年度において、所得額が前年より低下して、新たに年金生活者支援給付金の支給に該当した場合、2023(令和5)年9月頃から順次、簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送られてきます。

簡易な年金生活者支援給付金請求書(はがき型)に必要事項を記入し、切手を貼った上で、返送すれば認定請求の手続きが完了となります。

6. 年金生活者支援給付金のまとめ

年金生活者支援給付金は恒久的な制度ですが、毎年、前年の所得等に基づく支給判定が行われます。

支給要件を満たしているという判定になれば、継続して受け取ることができます。

もし、世帯構成が変更したり、所得に変更があったりして、新たに、支給要件に当てはまる場合は、個別に年金生活者支援給付金の認定請求の手続きが必要です。

お住まいを管轄する年金事務所にご相談ください。

参考資料

舟本 美子