過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2021年5月17日) |
長寿祝いのスタートとなる還暦60歳。
もうすぐ「人生100年時代」が到来するといわれるこのご時世、60歳で長寿と言われてもピンとこない方も多いかもしれませんね。
とは言いつつ、60代は仕事で定年を迎える方も多く、何かと人生の節目となる年代であることに変わりありません。
私は、以前生命保険会社でマネーセミナーの講師やマネープランニングのアドバイザーをしており、1000人以上のお客様のお金の相談を受けてきました。
その中では、「60代定年までに何とか老後資金を作りたい」「老後の準備方法がわからない」「どのような金融商品を選んだらいいか教えてほしい」というように、老後資金に関する質問が数多く寄せられました。
そこで今回は、還暦を迎えた60代の貯蓄状況をながめながら、老後までにどのような方法でお金を増やしていくか、そのポイントを見ていきたいと思います。
【関連記事】50代で「貯蓄2000万円以上」そんな羨ましい人は何割いるのか
1. 還暦60代、どのくらい貯蓄しているのか
まずは金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、60代の貯蓄額を見ていきましょう。
1.1 60代の二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均貯蓄額:1745万円
- 中央値:875万円
ここで、平均値と中央値についてふれておきます。
平均値は一部の極端に貯蓄が多い人(もしくは少ない人)に数値が引っ張られやすい特徴があります。
一方、中央値は貯蓄額が多い順(もしくは少ない順)に並べた時に全体の真ん中にくる人の金額を示しており、より実態を反映している数値といえます。
続いて、60代単身世帯の貯蓄額も確認してみましょう。
1.2 60代の単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均貯蓄額:1305万円
- 中央値:300万円
このように、60代の二人以上世帯の中央値は875万円、単身世帯は300万円ですので、世帯人数によって金額に大きな差があることが分かります。
しかしながら、「これから定年と老後を迎える」という視点で見てみると、いずれにおいても非常に心もとない貯蓄額になっているといえるかもしれません。
2. 還暦60歳「貯蓄100万円未満」何割いるのか
それでは同調査より、60代の金融資産の保有状況をもう少し詳しく見ていきましょう。
保有額別の分布は以下のようになっています。
2.1 60代の二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:18.3%
- 100万円未満:3.5%
- 100~200万円未満:4.0%
- 200~300万円未満:4.0%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:4.0%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:7.5%
- 1000~1500万円未満:7.5%
- 1500~2000万円未満:6.3%
- 2000~3000万円未満:13.3%
- 3000万円以上:19.6%
- 無回答:3.3%
2.2 60代の単身世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:29.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:5.0%
- 200~300万円未満:3.3%
- 300~400万円未満:4.8%
- 400~500万円未満:2.9%
- 500~700万円未満:5.3%
- 700~1000万円未満:5.2%
- 1000~1500万円未満:7.2%
- 1500~2000万円未満:4.5%
- 2000~3000万円未満:6.7%
- 3000万円以上:13.8%
- 無回答:2.8%
これらの貯蓄分布をご覧になって、どのような感想を持たれましたか?まずは、金融資産非保有世帯の割合に驚かれた方もいるのではないでしょうか。
単身世帯では、全体の約3割が「貯蓄ゼロ」世帯となっています。
また、二人以上世帯でも全体の約2割、単身世帯では約4割が、「貯蓄100万円未満」となっています。いずれにせよ、老後を目前に控えて厳しい状況下にある世帯が一定数存在することが分かります。
3. 「脱!老後破産」今からできる老後資金づくり
誰しも「お金がない!」という老後生活は避けたいものですが、どのような対策をしていけば良いのでしょうか。
老後資金づくりを考える上で、取り組んでいただきたいことの一つが、少額でも構わないので資産運用を取り入れることです。
老後までに残された時間は人それぞれですが、その時間をうまく活用して「お金に働いてもらう」という視点を取り入れることがポイントになります。
資産運用と言われると、利益よりも「リスクがこわい」という方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、資産運用におけるリスクは様々な方法で軽減させることができます。
自分にはどのような資産運用が向いているのか、またどのようにしてリスクを軽減させたら良いかについては、お金のアドバイザーに相談してみるといいでしょう。
資産運用の有無によって、場合によっては20年後、30年後の結果が大きく変わってくる可能性があります。
ぜひ一度、お金の無料相談などを活用して、自宅で気軽に話を聞いてみてはいかがでしょうか。
4. まとめにかえて
還暦60代。華々しい門出であり、セカンドライフのスタートです。
そのスタートに、人生100年時代を支える老後資金を自ら準備してのぞもうとする方が増えてきています。
老後資金を作るための一番の味方は、老後までに残された時間です。一日でも早く老後資金の準備に取り掛かり、安心して老後を迎えられるよう準備を整えていただきたいと思います。