総務省消防庁は2023年5月1日から「夏期における熱中症による救急搬送人員の調査」を発表しています。今回は2023年5月8日~14日の期間中における調査結果を紹介します。

【総務省消防庁/熱中症情報】救急搬送数の前年同期比

2023年5月8日~14日の熱中症による救急搬送数は308人(速報値)でした。前年同時期は269人(確定値)で、前年比1.1倍となりました。前年比を上回った都道府県は以下の通りです。

  • 青森県
  • 山梨県
  • 長野県
  • 岐阜県
  • 愛知県
  • 京都府
  • 大阪府
  • 兵庫県
  • 奈良県
  • 鳥取県
  • 岡山県
  • 山口県
  • 徳島県
  • 香川県
  • 愛媛県
  • 高知県
  • 福岡県
  • 佐賀県
  • 長崎県
  • 熊本県
  • 大分県
  • 宮崎県

西日本で特に熱中症リスクが昨年より高まっており、もっとも救急搬送数が多かったのは熊本県(27人)でした。

【総務省消防庁/熱中症情報】2023年の救急搬送数推移

2023年5月8日~14日の熱中症による救急搬送数は前週の495人から308人に減少しています。2023年5月1日~7日はGW期間中だったということもあり、普段より外出する人が多かったことが原因に挙げられます。

【総務省消防庁/熱中症情報】救急搬送状況

年齢区分

2023年5月8日~14日の熱中症による救急搬送者の年齢区分の構成は以下の通りです。65歳以上の高齢者が全体の過半数を占めています。

  • 乳幼児(生後28日以上7歳未満):4人(1.3%)
  • 少年(満7歳以上18歳未満):61人(19.8%)
  • 成人(満18歳以上65歳未満):73人(23.7%)
  • 高齢者(満65歳以上):170人(55.2%)

初診時における傷病程度別

初診時における傷病程度の構成は以下の通りです。約70%が軽症でした。

  • 重症(長期入院):3人(1.0%)
  • 中等症(入院診療):85人(27.6%)
  • 軽症(外来診療):218人(70.8%)
  • その他(医師の診断がない、傷病程度が不明など):2人(0.6%)

発生場所

発生場所の構成比は以下の通りです。もっとも熱中症になった人が多かったのは、住居でした。

  • 住居:82人(26.6%)
  • 仕事場1(道路工事現場、工場、作業所など):25人(8.1%)
  • 仕事場2(田畑、森林、海、川など、農・畜・水産作業者のみ):9人(2.9%)
  • 教育機関:45人(14.6%)
  • 公衆(屋内):16人(5.2%)
  • 公衆(屋外):36人(11.7%)
  • 道路:57人(18.5%)
  • その他:38人(12.3%)

【総務省消防庁/熱中症情報】リスクを下げるための対策

熱中症は「気温が高い、湿度が高い、風が弱い」などの環境だけでなく、「汗が出ない、皮膚から逃げる熱が少ない、活動で体温が上昇する」といった体の変化や、「激しい運動、長時間の屋外作業、水分不足」などの行動も発症の要因となります。

リスクを下げる対策としては、「涼しい服装を心がける」「日傘や帽子で直射日光を避ける」「こまめに水分や塩分を補給する」「エアコンなどで室内の温度を調整する」などが挙げられます。

また、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」も対策として有効なので、本格的な暑さが到来する前に軽めの運動などの行動を習慣化するのもよいでしょう。

参考資料

大蔵 大輔