厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」によると、日本の昭和22年の平均寿命が「男性50.06歳、女性53.96歳」であったのに対して、令和3年では「男性81.47歳、女性87.57歳」となっています。

日本の平均寿命は年々のびてきており、人生100年時代という言葉が現実味を増してきています。

平均寿命がのびると「老後生活」も長くなり、必要となる老後の生活費用も高まることに。

そんな老後生活ですが、「貯蓄面」や「生活面」において、シミュレーションをしたことがある方は少ないかもしれません。

今回は2023年4月26日にリリースされた「老後に対する意識調査」をもとに、多くの人が感じている老後の不安について解説していきます。

老後生活に必要な費用のシミュレーションも合わせて確認しましょう。

約9割の人が「老後生活」に対して不安を感じていると回答

株式会社林商会は、「老後に対する意識調査」を実施しています。

調査概要は下記のとおりです。

  • 調査期間:2023年4月11日~4月12日
  • 調査機関:クラウドワークス
  • 調査方法:インターネットでのアンケート調査
  • 調査対象:20代~60代以上の男女
  • 有効回答人数:200名
  • リリース公開日:2023年4月26日

上記調査の結果、約9割の人が老後生活に対して不安を感じていると回答しています。

出所:株式会社林商会「人生100年時代の老後に対する意識とは!?200名の本音を大調査」

株式会社林商会の同調査で、老後生活で不安なこととして「生活費」が最多となりました。

その主な理由として、下記のような意見が挙げられています。

  • 年金もまともに出ないかもしれない世代のため、生活に対してとても不安があります。
  • 年金が貰えないかもと言われているし、貯蓄を2000万も貯められるかもわからない。老後はゆったり暮らすのが理想だが、生きる為に働くだけで終わりそうで生き甲斐もあるのかなと思う。

2019年に「老後2000万円」という言葉が世間を騒がせたことから、依然として老後の貯蓄費用に対して心配する声が多いようです。

また、年金受給額が年々減少傾向にあることから、「自分が年金を受給する際に本当にもらえるのか」といった不安も多いとうかがえます。

2021年度と比較すると、2022年度の年金受給額は原則0.4%の引き下げとなりました。

出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

6月から支給開始となる2023年度の年金は引き上げになるものの、物価上昇には追いつけないため「実質目減り」とされています。

少子高齢化が進んでいることを考えると、現在の年金受給額より増える可能性は低いかもしれません。

上記のことから、年金だけに頼らずに自分自身でも、老後における貯蓄をしておくことが大切だと言えます。

老後の生活費をシミュレーション

年金受給額が年々減少傾向にある日本では、自分で老後の貯蓄をしておくことが、老後生活の不安を打開するための方法のひとつと言えます。

では、具体的にどのくらいの費用を貯蓄しておけば良いのでしょうか。

老後の貯蓄は、「老後の最低生活費-自身がもらえる年金受給額を差し引いた数×老後生活の年数」で計算すれば、おおよその老後資金の目安がわかります。

生命保険文化センターの調査では、夫婦で老後生活を送ることを想定したうえで必要と考える最低日常生活費は、月額で平均23万2000円だと発表しています。

出所:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」

上記は夫婦世帯を想定した生活費のため、おひとりさまの場合はもう少し費用を低く見積もっても良いでしょう。

次に収入の目安額を知るために、年金受給額を確認します。

厚生労働省年金局が発表した調査データがひとつの参考になるでしょう。

出所:厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

上記をふまえ、たとえば65歳で定年退職をしたあとに、男性の平均寿命である81歳まで寿命を全うすることを想定すると、「上記でシミュレーションした不足分の金額×16年」が、おおよその老後資金の目安となります。

ライフスタイルや年金受給額は時代の変化と共に変わっていくので、老後資金のシミュレーションは一度実施して終わりではなく、定期的に見直しもかねて行えると良いですね。

もちろん、平均受給額だけでなく「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用し、自分自身の年金額を確認することも重要です。

定期的に老後資金の見直しをしておこう

本記事では、「老後に対する意識調査」をもとに、多くの人が感じている老後の不安について解説していきました。

約9割の人が老後に対して不安と感じており、その多くが「生活費」に対して不安感を抱いていることがわかりました。

老後には年金が支給されますが、年金だけで生活できる世帯は少ないものです。

そのため、老後の生活費をシミュレーションして、年金受給額で不足する額は老後資金として備えておくことが大切となるでしょう。

記事をきっかけに、一度老後資金のシミュレーションや生活費の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子