入社や移動、転勤など新生活がはじまって1カ月以上経ちました。仕事などがだんだんと落ち着いてきて、新たな生活で婚活を頑張ろうと意気込む方もいるのではないでしょうか。

近年、多くの企業において育休を取得しやすくなったほか、エリア総合職を導入する企業も増えてきました。

そのため、20歳代、30歳代前半の女性の中には出産後も働くことを前提に入社したという方も多くいるでしょう。

また、この年代における女性たちの母親世代の就業率も昔に比べれば上がっているため、結婚しても仕事を続けるといった価値観が無意識のうちに育まれていった方も多いのではないかと見受けられます。

女性の結婚観は時代とともに変化しており、一昔であれば「3高」(高学歴・高収入・高身長)を理想とする女性が多い傾向にありました。

しかし、近年においては「YSK」(優しい・自然体でいられる・価値観の一致)が結婚観のトレンドだといいます。

本記事では現代の結婚観「YSK」について、女性の就業率や人びとの消費への価値観の変化などにもふれながら解説していきます。

現代の結婚観のトレンド「YSK」とは?

バブル期に流行した結婚観「3高」(高学歴・高収入・高身長)は現代においてもよく知られています。

この言葉が流行った当時の日本はバブル期にあり、多くの女性たちが華やかな結婚生活を望んでいた傾向にあるでしょう。

また、1990年代に結婚適齢期であった女性たちの母親の世代は専業主婦も珍しくなかったため、結婚して夫に養ってもらおうと考えるのも妥当なことでしょう。

バブルが崩壊すると、「3平」(平均・平凡・平穏)が結婚観のトレンドになりました。

バブルの崩壊により日本経済が少しずつ低迷する中で、女性たちは高収入の男性と結婚することのハードルの高さを実感するようになります。

そうした中で「結婚相手に高望みはしないけど、平均的な男性と結婚したい」と考える女性が増えていったのでしょう。

そして、近年における結婚観のトレンドは「YSK」(優しさ・自然体・価値観の一致)といわれています。

現代において結婚を希望する女性は、結婚相手に対して一緒にいて自分らしくいられるか、落ち着けるかといった内面性を重視しています。

そして興味深いことに、現代の女性が結婚相手に求める条件の中には収入に関することは含まれていません。

以下、現代の女性が男性に「YSK」を求める背景について見ていきましょう。

現在は「共働き」社会

厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」によると、女性の就業率は年々増加しています。

出所:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」

女性の就業率は20歳~59歳まで70%を超えています。

厚生労働省「人口動態統計特殊報告(出生の推移)」によると、第1子出生時の女性の年齢は2011年から2019年までおおよそ30歳となっています。

出所:厚生労働省「人口動態統計特殊報告(出生の推移)」

先程の厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」の折れ線グラフでは、2019年における25~29歳の女性の就業率は82.1%とどの年代よりも高く、30~34歳女性の就業率についても75.4%となっています。

20歳~59歳の女性の就業率の中では30歳代女性の就業率はやや下がるものの、それでも7割以上の女性が働いています。

幼い子どもがいたとしても、多くの女性が家計のために働いている現状が窺えます。

また、50~54歳女性の就業率は80%近く、55~59歳女性の就業率も70%を超えています。

このことから、20歳代・30歳代の女性は幼い頃から母親が外で働く姿を見て育った方もおり、現在も仕事に出かける母親の姿を見ている可能性が高いと考えられるでしょう。

女性の就業率増加によって、結婚後は経済的に男性を頼るというよりも、夫婦で協力して家計を支えていこうという価値観が自然と育まれていったのではないかと思われます。

消費において「モノ」よりも「コト」重視の傾向に

消費行動も時代とともに変化しつつあります。デロイト・トーマツは2022年4月に全国の20歳~79歳の男女5000人を対象に、「国内消費者意識・購買行動調査」を実施しました。

この調査における「今後消費額を増やしたいもの」からは現代人が価値を見出す傾向にある消費項目を垣間見ることができます。

同調査では、「旅行」に消費額を充てていきたいと考えている人がもっとも多い結果になっています。

次いで、「食料品」や「レストラン」といった食関係が人気です。

一方で、「衣料品」の消費額を増やしたいと考える人は20歳代と30歳代においては10%を超えているものの、旅行や食料品に比べると少ない傾向にあります。また、「ラグジュアリー品」についてもそこまで多くなっていません。

この調査から、多くの人たちが装飾品などの「モノ」にお金をかけるよりも、旅行に出かけたり、食事を楽しんだりといった「コト」にお金を費やしたいと考えていることが分かります(※1)。

このことは現代の結婚観「YSK」に結び付く点もあるといえるでしょう。

高価なものをもつよりも、自分と価値観が一致する相手と一緒に旅行に出かけたり、自然体でいられる相手と食事を楽しんだりすることに、多くの人が暮らしにおいて価値を見出している人もいると考えられます。

また、基本的には衣料品やラグジュアリー品よりも価格帯が低い傾向にある食関係の人気は、人びとの財布の紐の堅さも表れていると考えられるでしょう。

まとめにかえて

現在の結婚観のトレンドは「YSK」といわれており、結婚相手に対して優しさ、自然体、価値観の一致を求める女性が多い傾向にあります。

その背景には夫婦共働き家庭の増加や消費に対する価値観の変化があると考えられます。

ただし、結婚観のトレンドをあまり考えないまま自分の結婚の条件にしてしまうと、結婚後に相手とのミスマッチを感じやすくなるため注意してください。

結婚において重んじる要素は人によって異なるため、時代ごとの結婚観のトレンドに流されるのではなく、自分が相手に何を求めているのか把握することも大切です。

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参考資料

西田 梨紗