NHKの連続テレビ小説「らんまん」第7週のサブタイトルは「ボタン」。古くから大輪の華やかな花が女性の美しさにたとえられ、絵画や工芸品のモチーフにもよく使われてきました。

ドラマでは主人公の万太郎が恋心を抱く寿恵子にボタンの絵を贈り、未知の世界に飛び込む勇気を与えることに。今回はボタンの魅力や育て方を紹介します。

NHK朝ドラ『らんまん』第7週に登場する「牡丹(ボタン)」ってどんな植物?

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  • ボタン科ボタン属
  • 落葉低木
  • 分布:中国北西部
  • 草丈:100~150センチ
  • 開花期:4~5月
  • 花色:赤・白・ピンク・黄・オレンジ・紫
  • 参考価格:3000~4000円前後(6号鉢)

ボタンの原産地は中国で、日本に入ってきた当初は薬用として扱われていました。その後江戸時代になると園芸種として栽培されるようになり、現在では改良によりさまざまな品種が登場しています。

花の大きさは15~30センチほどもあり、一重から八重までと花姿のバリエーションも豊富です。春に咲くので「春ボタン」と呼ばれる一季咲きと、春と初冬に2度開花する二季咲きがあります。

一般的にボタンはシャクヤクを台木にした接ぎ木として販売されています。昔から「立てばシャクヤク、座ればボタン」と言われるのは花姿の違いから。

シャクヤクは枝がまっすぐに長く立ち上がるのに対し、ボタンは分岐して横に広がるように伸びることから、座っているようだと思われたのでしょう。

NHK朝ドラ『らんまん』「百花の王」とも呼ばれるボタン。その美しさと魅力に迫る!

ゴージャスな花

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大きなものでは30センチ以上もの花を咲かせ、華やかさでは群を抜いているボタン。昔から文学や芸術の分野で美しさの象徴として扱われ、「百花の王」と賞賛されてきました。

花色は白・ピンク・赤・黄・紫とさまざま。シベのある中央部をおおい隠すように咲く姿が、そこはかとない恥じらいを感じさせます。

切れ込みが美しい葉

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花が咲かない時期は深い切れ込みが入る美しい葉も楽しめます。羽根のように裂けた葉は20~50センチほどの大きさ。表面は濃い緑で裏面は白っぽい緑です。

落葉樹なので秋になると落葉。二季咲き品種が咲く冬は花だけで葉はありません。

冬にも開花

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冬に2度目の花を咲かせる二季咲き品種は「寒ボタン」とも呼ばれています、寒い冬にも美しい花を鑑賞できるのがうれしいところです。

わらで作った小さな屋根の下に咲くのは「冬ボタン」と呼ばれています。一季咲きのボタンを人工的に温度管理して春と勘違いさせ、冬に開花させたもの。葉があるので見た目で寒ボタンとの違いがわかります。

NHK朝ドラ『らんまん』第7週のシーンを彩る「牡丹(ボタン)」の育て方

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栽培環境

ボタンは日当たりや水はけがよい場所を好みます。鉢植えは春~秋にかけては日が当たる場所に、夏は半日陰に置くのがオススメです。冬は寒風が当たらない暖かい場所で管理しましょう。

水やり

やや乾燥ぎみの土壌を好むので、地植えにした場合は夏の間適度に水やりするだけで、あとは降水にまかせても大丈夫です。

鉢植えは開花期も水切れしないように気をつけましょう。夏には根が乾燥しないようにタップリと、秋~冬にかけては水やりを控えめにします。

肥料

ボタンは肥料を多く好む植物なので、季節ごとに緩効性肥料を施します。発芽期の2~3月、開花後の5~6月、根が伸びる9~10月に肥料を与えましょう

病気と害虫

春~秋にかけて、うどんこ病が発生しやすくなります。梅雨明け頃には葉に黒い斑点ができる黒斑病も。葉をよく観察して病気にかかっているものは早めに取り除きましょう。

害虫は幹や枝にカイガラムシが多発するので、見つけしだい歯ブラシなどでこすり落とすとよいでしょう。

剪定

樹形を整えたり翌年の花付きをよくしたりするためには剪定が欠かせません。剪定の時期は9月下旬~10月。この時期には葉が枯れだし、枝には花芽が付き始めます。

葉をすべて落とし花芽を2~3芽ほど残して剪定しましょう。その際古い枝や重なり合っている枝も切り落とします。

時代を超えて愛される、優雅で華やかな牡丹(ボタン)

大きく咲き開く花が優雅で気品あふれるボタン。華やかで堂々とした花姿でありながら、やや恥じらいを感じさせるところも魅力的です。

古くから親しまれ美しさの象徴とされるボタンを植えて、色とりどりの艶やかな花を満喫してみませんか。