過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2020年5月7日) |
どんなに仲のいい友人でもお互いお金の話はしにくいし、ましてや貯蓄額を聞くのは難しいと思います。思い切って聞いてみても「うちなんか、全然だよ。」とはぐらかされ、全然ってどれくらい?なんて新たな疑問が出現し、堂々巡りとなってしまうことでしょう。
私は地方の信用金庫に10年以上勤務していたため、これまでに様々なご家庭の大切なお金に携わってきましたが、みんなどれくらい貯蓄してるの?と聞かれたら、答えはただ一言、「人による」しかありません。
しかし、自分の貯蓄額が人と比べて多いのか少ないのか、気になるところではありますよね。そこで、各世代別の貯蓄額について、見ていきたいと思います。
【注目記事】【新NISAに向けて】40歳から「月3万円・年率3%」を積み立てたらいくらかシミュレーション
1. 多い?少ない?各世代別の貯蓄額
総務省から公表された、「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2018年(二人以上の世帯)―」によると、各世代別の貯蓄額は、以下の通りになります。
- 29歳未満 384万円
- 30歳~39歳 631万円
- 40歳~49歳 1012万円
- 50歳~59歳 1778万円
- 60歳~69歳 2327万円
- 70歳以降 2249万円
- 全世代平均額 1752万円
いかがでしょうか。ご自身の世代の貯蓄額を見て、どう思われましたか。もしかしたら、「思ったより皆しっかり貯めているわね」と思われた方が多いのではないでしょうか。
ただ、私が信用金庫で勤務していた頃、ある程度貯蓄をしている方は、同時に住宅ローン等の負債もお持ちの方が多かったように思います。
あるいは、貯蓄額が全くない、いわゆる「自己資金ゼロ」の状態で住宅ローンを申込む猛者もおられました。それでは、次に各世代の方々に負債(住宅ローン等)がどれくらいあるのか、その平均額も見てみたいと思います。
2. 若い世代は貯蓄額<負債額、退職後は逆に
- 29歳未満 675万円
- 30歳~39歳 1329万円
- 40歳~49歳 1105万円
- 50歳~59歳 683万円
- 60歳~69歳 207万円
- 70歳以降 104万円
- 全世代平均額 558万円
もちろん負債額のほとんどが住宅・土地のための負債、いわゆる住宅ローンです。
30歳代は平均貯蓄額が631万円ある一方で、平均負債額が1329万円となり、負債の方が多い状態になります。
一方で60歳代以降になると、貯蓄額は退職金が入ってくるため2千万円超に増加し、逆に負債は住宅ローンが一段落着くため、200万円代にまで減少しています。
このように、はたらく世代は、貯蓄がある程度あったとしても、同時に住宅ローンという大きな負債があるため、生活にゆとりがあるとは一概に言えないということがわかります。
3. 平均値を見る時に注意したいこと
そうは言っても、「みんな負債を抱えているとはいえ、それにしても私の貯蓄額、とっても少なかったわ」こんな風に、ちょっと沈んだ気持ちになってしまった方もおられるかもしれません。
そこで、ここでは平均貯蓄額を見るときに注意していただきたいことをお伝えしたいと思います。
まず、ここまでにご紹介した世代別の貯蓄額、負債額はあくまでも平均額です。極端にたくさん貯蓄している人に引きずられてしまい、平均額が上がってしまうということがあります。
実際に、貯蓄額100万円未満と回答した世帯が全体の約11%に対し、貯蓄額4000万円以上と回答した世帯も全体の約11%です。
ちょっと計算してみると、この時点で、平均額が大きく上に引きずられているのがお分かりかと思います。
ここまでにご紹介した平均額は、あくまでも平均値になりますので、みなさまの貯蓄額が一概に同世代の中で少ない方とは言えないということは、申し添えておきたいと思います。
4. 平均値よりも重要なこと、とは
ここまでに様々な世代の平均貯蓄額をご紹介してきました。しかし、何度も言いますがこれはあくまでも平均値です。あくまでもみんなどれくらい貯蓄してるものなの?と思った時の目安です。
貯蓄額についても、自力で貯蓄した人もいれば、親族から贈与、もしくは相続をしたという人もいるでしょう。ですので、平均値より重要なことは、今いくら貯蓄があるか、ということよりも、将来、ご自身が定年退職する時、いよいよ明日から楽しい老後を迎えるぞ、という時に、十分な備えができているか、ということなのです。
最近ではiDeCoやつみたてNISAの登場で、税制優遇を活用した毎月少額の積立投資が随分と身近になってきました。他にも金融機関やインターネット上でも一般個人向けの資産運用商品が年々増えてきているように思います。
ただ、資産運用は総じて難しくてややこいしいと感じている方も多く、実店舗やインターネット上で資産運用の無料相談を行っている会社もあります。将来の準備がまだ不十分で、何か始めないといけないなと感じていらっしゃるのなら、一度専門家の無料相談を活用するのも有効かと思います。
5. おわりにかえて
今回は、世代別の貯蓄額を見ていく中で、他人にはなかなか聞けないみんなの貯蓄額についてご紹介をさせていただきました。平均値もとっても気になりますが、貯蓄ができないという方は、今一度、自分は何のために貯蓄をするのか、を考えてみてはいかがでしょうか。1つや2つではないと思います。思いつくまで挙げてみてください。
目的が目標となり、何歳までに、いくら貯めるか、それが具体的であるほどリアルな感触と共に準備する必要性を感じやすくなるでしょう。何にせよ、何歳からでも準備をするに越したことはありません。今回の平均額を貯蓄の進捗の目安にしながら、今日から貯蓄活動を始めることをご検討されてみてはいかがでしょうか。