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(初公開日:2021年5月29日)

ほとんどの人が老後の収入源として年金を頼りにしているにもかかわらず、ほとんどの人が年金だけでは生活していけないと考えているこんにち。

現役世代からは「老後どのくらいの年金を受け取れるか不安」との声があり、シニア世代からは「受けとる年金額が少なくて生活が苦しい」との声が聞こえます。

今回は、私の大手生命保険会社でマネーセミナーの講師やマネープランニングのアドバイザー経験をもとに、実際にみなさんがどのくらいの年金を受け取っているのかを見ていきながら、老後待ち受ける年金生活のイメージをふくらませていきたいと思います。

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1. 最新【厚生年金・国民年金】みんなの受給額、平均は?

厚生年金は会社員や公務員など第2号被保険者が受け取り、国民年金はフリーランスや自営業者などの第1号被保険者と専業主婦(夫)など第3号被保険者が受けとります。

2020年12月に公表された、厚生労働省年金局の「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、最新の平均年金月額は下記のとおりです。

1.1 厚生年金

平均年金月額…14万4268円(うち男子16万4770円、女子10万3159円)

※厚生年金の平均年金月額には、基礎年金月額が含まれます。

1.2 国民年金

平均年金月額…5万5946円(うち男性5万8666円、女性5万3699円)

厚生年金と国民年金の平均年金月額を比べると、厚生年金のほうが約9万円も受け取り額が多くなっています。

国民年金では平均や男女別で見ても5万円台の平均年金月額となっており、国民年金だけで毎月の生計を立てていくとなると、非常に厳しい生活になりそうです。

2. 最新【厚生年金】みんなの受給額

引き続き同調査から、各年金の受給額の分布について確認していきます。

まずは、厚生年金について受給額の分布を確認しました。

2.1 厚生年金保険(第1号) 年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)

• ~5万円未満…15万977人
• 5万円以上~10万円未満…97万6724人
• 10万円以上~15万円未満…261万3866人
• 15万円以上~20万円未満…436万9884人
• 20万円以上~25万円未満…224万9128人
• 25万円以上~30万円未満…28万8776人
• 30万円以上…1万7626人

2.2 厚生年金保険(第1号) 年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)

• ~5万円未満…31万5100人
• 5万円以上~10万円未満…234万1321人
• 10万円以上~15万円未満…218万2510人
• 15万円以上~20万円未満…41万2963人
• 20万円以上~25万円未満…6万3539人
• 25万円以上~30万円未満…4166人
• 30万円以上…379人

厚生年金の場合、男性で見ると一番分布が多いのは15万円以上~20万円未満となっており、約15万円前後の厚生年金を受け取られている方が多いようです。

女性で見ると一番分布が多いのは5万円以上~10万円未満、次いで10万円以上~15万円未満が多くなっていますので、10万円前後の厚生年金の受け取りが多いことがわかります。

3. 最新【国民年金】みんなの受給額

続いて、国民年金の受給額の分布も確認してみましょう。

3.1 国民年金 年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)

• 1万円未満…1万2693人
• 1万円以上~2万円未満…6万803人
• 2万円以上~3万円未満…22万1983人
• 3万円以上~4万円未満…70万6206人
• 4万円以上~5万円未満…134万5582人
• 5万円以上~6万円未満…312万4529人
• 6万円以上~7万円未満…849万4551人
• 7万円以上…38万1323人

3.2 国民年金 年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)

• ~1万円未満…6万6247人
• 1万円以上~2万円未満…24万4695人
• 2万円以上~3万円未満…74万63人
• 3万円以上~4万円未満…226万4161人
• 4万円以上~5万円未満…336万406人
• 5万円以上~6万円未満…454万1337人
• 6万円以上~7万円未満…598万7227人
• 7万円以上…144万306人

国民年金の場合、男性・女性ともに6万円以上~7万円未満の範囲で受け取っている人が最も多くなっています。

国民年金は、原則20歳から国民年金保険料を納付し、60歳まで全額納めた場合に満額の国民年金を受け取れることになっています。

日本年金機構によると、令和3年度4月分(2021年6月15日支払い分)からの国民年金(老齢基礎年金)の月額の満額は「6万5075円」です。

満額に近い国民年金を受け取っている人が多いものの、厚生年金と比べ受給金額が少なく、年金だけで生計を立てるには非常に厳しい金額になっています。

4. 将来受け取れる年金を増やすには?

将来受け取れる年金を増やしたいと考えたとき、取り組みやすいいくつかの方法をご紹介しましょう。

4.1 「国民年金基金」と「付加年金」

国民年金の加入者の方であれば、「国民年金基金制度」や「国民年金付加年金制度」などの公的年金制度を利用して、将来の受給額の上乗せ部分を作ることができます。

国民年金基金の掛金は全額所得控除の対象となります。また、受け取る年金も公的年金等控除の対象となります。

付加年金制度は毎月の定額保険料に400円上乗せして納付することで、将来の受給金額を増やすことができます。

4.2 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の活用

国の税制優遇制度であるiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の活用を検討するのもよいでしょう。

iDeCoには、掛金が全額所得控除になる、運用益が非課税になるなどのメリットがあります。また、年金として受けとる場合は「公的年金等控除」一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象となります。

4.3 個人年金保険への加入

公的年金だけではなく、民間の個人年金保険への加入を検討するという方法も一つの手といえるでしょう。

個人年金保険で年金資金を積み立てていくと、一定の条件を満たした場合「個人年金控除」の対象となります。様々な商品をじっくりと比較して、ご自身に合ったものを見つけると良いでしょう。

5. 「自分で年金を作る」という発想

今回ご紹介した方法のほかにも、年金の繰り下げ受給を選択する、つみたてNISAなどを活用して資産運用を始めるなど、老後資金づくりのスタイルはさまざまです。

公的年金の制度は複雑ですし、民間の金融商品には色々な種類があります。

「正直、お金の話って、分かりにくくて面倒くさい」

そんなイメージから、マネープランの見直しに二の足を踏んでしまう方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな場合は、自分一人で頑張ろうとせず、お金のプロからアドバイスを受けるのも一つの手でしょう。

「自分で年金を作る」と思い立ったなら、できるだけ早めのスタートをお勧めします。

参考資料