新年度が始まり、1カ月半が経過しました。

4月の初めよりは新しい生活に慣れて、休日に少し外出したり、仕事終わりに食事へ行ったりする機会が増えた方もいるのではないでしょうか。

地元から離れた場所で生活していると気になるのが、やはり言葉の違い。

今まで普通に使っていた言い回しが、実は方言だったと気づくのはよくあることです。

そこで今回は、コテコテの関西人が関東の人に聞き返された、飲食店でよく使う関西弁を6つ紹介します。

自分は使ったり聞いたりしたことがあるか、想像しながら読んでみてくださいね。

関西弁1. アテ

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まず紹介するのは、「アテ」。

共通語では、「おつまみ」「酒の肴」と言うことが多いです。

飲み会の席でなんとなく「ビールのアテといったら○○やんな」と言ったら、関東出身の人に「アテって何?」と聞き返されたことがある人もいます。

「アテ」の語源には諸説あり、一説によると「あてがう」が変化したのだとか。

「酒席におかずをあてがう」のような言い回しから意味が転じて、「おつまみ」「酒の肴」を指すようになったとも考えられています。

関西弁2. つきだし

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続いて紹介するのは、「つきだし」です。

ただし、「つきだし」に関しては日本各地で「自分の地域でも使う」との声がちらほら上がっています。

共通語でいう「お通し」の意味で使うことが多いのですが、「つきだし」は注文前、「お通し」は注文をしてから出される小料理を指すとされています。

そのため、関東でもお店によっては「つきだし」を使うところもあるのです。

「つきだし」と「お通し」の両方を出すお店はあまり見かけないですし、自分たちが注文した料理を食べる前に出されることに変わりはないので、使う場面を混同しやすいのかもしれませんね。

関西弁3. たいたん

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「たいたん」とは、関西弁で「炊いたもの」のことです。

お米だけでなく、大根・かぼちゃ・タケノコといった野菜にも、「○○の/をたいたん」という言い回しを使用します。

一般的には、炊くものといえばお米をイメージしやすいはず。

なぜ関西では野菜にまで「炊く」という表現を使うのでしょうか。

それは、「煮る」には食材を茹でで加熱する、「炊く」には食材の芯まで味が染み渡るようにするといったニュアンスが含まれているためといわれます。

大根も、かぼちゃも、タケノコも、煮物にするなら味が奥まで染み込んでいた方が美味しく感じますよね。

「たいたん」は、今では広く知られている言い回しですが、やはり関西以外の地域だとあまり聞き馴染みがなく、「衛星のタイタン?映画のタイタン?」と少し混乱を招くことがあるようです。

関西弁4. 遠慮のかたまり

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「遠慮のかたまり」も、関西圏でよく使われている言い回しです。

お皿に1つだけ残った料理のことを指します。

関東から関西へ出張したビジネスマンが飲み会に参加したとき、現地スタッフが言った「遠慮のかたまりもらうわ」という言葉が何を指すのかが分からず、疑問に思ったというエピソードも。

一人ひとりが遠慮して最後に1つだけ残った「遠慮の象徴」を、関西では「遠慮のかたまり」と呼んでいるのですね。

関西弁5. なんぼ

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お会計の時の定番フレーズ「なんぼ」。

共通語だと「お会計、何円だった?」「いくらでしたか?」と表現することができます。

「なんぼ」は関西弁でも比較的よく知られている言い回しのため、「自分は使わないけど、意味は通じるよ」という関東の人がいる一方、やはり聞き慣れない人もいる模様。

割り勘するとき「1人なんぼ?」と関東の友人に尋ねたところ、きょとんとした反応が返ってきた経験がある関西人もいます。

一方で、アクセントは異なるけれど、東北の方でも「いくら?」と尋ねるときに「なんぼ?」を使うとの声もありました。

「なんぼ」は、意外と日本各地で使われている表現なのかもしれませんね。

関西弁6. かやくご飯

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「かやくご飯」とは、共通語でいう「炊き込みご飯」のこと。

小さく切ったゴボウやニンジン、お揚げ等を混ぜて、醤油をベースに味付けすることに変わりはなく、単に呼び方が異なるようです。

何の気なく「かやくご飯頼もかな」と呟いたら、関東出身の友人から「火薬のご飯!?」と驚きながら聞き返されたことがありました。

「かやくご飯」の「かやく」は、漢方で主薬に補助薬として添える薬である「加薬」が由来だと考えられています。

補助薬を主薬に加えるのを、具材をご飯に加える様子と結び付け、「かやくご飯」と呼ばれるようになったと考えられます。

関西圏で「かやくご飯」という名称が広まったのは、かつて大阪には薬問屋が集中していたからという説も。

また農林水産省によると、奈良県では炊き込みご飯のことを「色ご飯」と呼ぶそうです。

地域によってほかにもさまざまな表現がありそうですね。

飲食店で、ふとした瞬間に出る関西弁

今回は、コテコテの関西人が関東の人に聞き返された、飲食店でよく使う言い回しを紹介しました。

無意識のうちに発した言葉を聞き返されて、全国区ではないと気づくのは、よくあることです。

レストランや居酒屋でふとした瞬間に関西弁が出ると、話のネタになって周りの人とより仲良くなれるかもしれませんね。

参考資料

太田 彩子