今年の春から新社会人になった方の中には、「人間関係や社風に馴染めない」「自分のやりたかった業務と違った」といった理由から、退職を考えている方もいるかもしれません。
実際に、厚生労働省の調査では大卒者の3割が3年以内に離職しています。
とはいえ、退職や転職を考えると「次の転職先があるのか」「短期で退職して後悔しないか」と不安に思うものです。
本記事では、入社1年以内に退職した人の退職理由や時期など、その実態について詳しく紹介していきます。
20歳代における転職のしやすさについても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
入社1年以内に会社を辞めた理由ランキング
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況の調査」によると、2020年度における大学卒1年目の離職率は10.6%という結果になりました。
どのような理由から退職を決意するのでしょうか。
株式会社AlbaLinkは、入社1年以内に会社を辞めた経験がある人を対象に「会社を辞めた理由に関する意識調査」を実施しています。
調査概要は下記のとおりです。
- 調査対象:入社1年以内に会社を辞めた経験がある方
- 調査期間:2023年3月4日~18日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:333人(女性167人/男性166人)
- 回答者の年代:20代 23.4%/30代 37.3%/40代 28.2%/50代 9.3%/60代以上 1.8%
- リリース公開日:2023年4月14日
上記調査の結果、入社1年以内に退職した理由として「人間関係が悪い」が圧倒的に多く上位となりました。
「人間関係が悪い」と回答した人のなかには、下記の意見が挙げられました。
- 直属の上司に恵まれなかったため
- 人間関係が悪い職場だったからです。いつも空気が重たく、マネージャーが事務所にいるときは心なしかみんな緊張しているようでした
- 指導してくれる人と合わなかった。また仕事中にプライベートな話をしつこく聞かれ、嫌気がさしたため
入社1年目は、慣れない環境で業務をしていくため、人間関係が原因で質問や相談が出来ず、仕事に支障が出てしまうケースも多いようです。
そのため、上司や指導係と合わなかったり、職場の雰囲気が悪かったりした際に、転職を検討する人が多いのだとうかがえます。
また、次いで多かった理由として「仕事内容が合わなかった」「求人票と実際の条件が違った」などが上位となりました。
「入社したら希望と違う部署に配属された」という意見も多数見られ、自分のスキルに合っていない職種で働き続けることで成果が出しにくく、自分のスキルアップにもならないと感じている人が多いとうかがえます。
さらに、雇用形態や給与、仕事内容などが異なり、会社に不信感を持ったことから転職を検討する人も少なくないようです。
このように「働きやすさ」や「入社時の条件との違い」が転職の理由となった人が多いことから、現在転職を考えている人は、今一度転職したい理由を明確にしてみると良いでしょう。
入社1年目に退職した人の時期と20代の転職入職率
株式会社AlbaLinkの「入社1年以内に会社を辞めた人に聞いた退職時期」によると、退職時期の平均は5.5ヶ月であり、もっとも多かった時期として「6ヶ月」が挙げられました。
入社から半年ほどが経つと、業務内容にも慣れてくる頃のため、それでもなお人間関係や労働環境が自分に合わないと感じた場合は、転職を決意する人が多いのだと考えられます。
また、株式会社AlbaLinkの同調査では、1ヶ月から3ヶ月以内に辞めた人も多く、早めに見切りをつけて退職する人も一定数いるようです。
上記の調査結果をみて、「半年以内に退職して転職先は見つかるのだろうか」と不安に感じた方もいるかもしれません。
しかし、20代は他の年代よりもやる気や今後のポテンシャルなどを重視して採用してもらいやすい傾向にあるため、比較的転職しやすいと言えます。
実際、厚生労働省の行った「令和3年雇用動向調査」では、20代は30代や40代と比較すると、転職入職率が高い傾向にあります。
とくに、「第二新卒」と呼ばれる時期は比較的転職がしやすいため、まずは転職サイトなどで自分に合った求人がないか検討や比較をしてみると良いでしょう。
約9割は入社1年以内の退職に「後悔していない」と回答
上記では、入社1年以内の具体的な転職時期について紹介しましたが、実際のところ「早期に転職を決意」して、後悔はしていないのでしょうか。
株式会社AlbaLinkの「入社1年以内に会社を辞めたことを後悔しているか」に対するアンケート調査では、約9割の人が「後悔していない」と回答しています。
後悔している人が約1割に対して、後悔していない人が約9割と大多数を占めることから、転職後に「早めに退職してよかった」と思えるような良い方向性に向かっている人が多いようです。
「後悔していない」と回答した人のなかには、「自分を守るために必要だった」「転職先が自分に合っていた」などの意見が多く、転職後にワークライフバランスを取り戻し、充実した生活を送れるようになった人が多いとうかがえます。
一方で、「後悔している」と回答した人のなかには、「辞める判断が早かった」「転職活動で苦労した」などの意見が多い傾向にありました。
早期に退職すると、転職時に「なぜ前の会社を退職したのか」「うちの企業でもすぐに退職をしてしまうのでは」といった内容を面接で聞かれる可能性が高いので、苦労するケースは多いようです。
そのため、衝動的に退職するのは避け、「自分にとって退職・転職はプラスになるか」を冷静に考えたうえで決断をしましょう。
入社1年目だからこそ自分のキャリアプランを明確にしておこう
本記事では、入社1年以内に退職した人の退職理由や時期など、その実態について紹介していきました。
入社1年目で辞めた理由としては「人間関係」が多く挙げられ、次いで「残業代の未払い」「ハラスメント」などコンプライアンスの意識の低さが原因で退職を決意した人も多いようです。
近年では、20代の今後のポテンシャルに期待して採用する企業が多いため、退職理由が正当であれば、他の年代よりも比較的転職がしやすい傾向にあります。
「このまま働き続けていても自分のためにならない」「心身に支障が出るかもしれない」と感じている人は、今一度転職を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」
- 株式会社AlbaLink
- 株式会社AlbaLink「【入社1年以内に会社を辞めた理由ランキング】男女333人アンケート調査」
- 厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」
太田 彩子