配車サービスのウーバー(Uber)、宿泊マッチングサービスのエアー・ビー・アンド・ビー(Airbnb)という名前を耳にすることが多くなりました。ウーバーやエアビ(エアー・ビー・アンド・ビー)はシェアリングエコノミーという言葉とともに語られます。自分が保有している資産で使っていない時間を第三者に共有し、その対価を得るというものです。

今回は実物資産を持たない人がシェアリングエコノミーでどう稼ぐのかについて考えてみたいと思います。

今のシェアリングエコノミーは金持ちだけのものか

ウーバーにしても、エアビにしても、自動車や不動産を持っていないと第三者に貸し出すことはできませんよね。つまり、今話題になっているシェアリングエコノミーは、いわゆる実物資産持ちを中心に恩恵を受けることができているものです。急速に利用者が増えているメルカリですら、第三者に売るモノがないと始まりません。

このように金額の多寡はあるにせよ、シェアリングエコノミーの原点は「所有」していることです。

話は少しそれますが、国内の太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー(再エネ)の固定価格買取制度も、再エネの発電設備を「所有」し、売電することが許可された者が恩恵を受ける制度です。再エネの発電設備を用意する資金を持っている、もしくは資金調達ができる人が投資に見合った恩恵を受ける制度と言うことができます。

そうして発電された再エネの発電コストは、電気を利用する消費者全体でシェアされることになります。電気料金の明細を見ると、「基本料金」とともに「再エネ発電賦課金」が記載されているのが分かると思います。

この原稿を書きながら、電気料金の明細を確認したところ、7月請求予定額の約17,000円のうち、再エネ賦課金がなんと1,710円にも達してました。月の電気料金の約10%も占めています。

ウーバーやエアビは利用者が自分で選択して利用しているシェアリングエコノミーですが、再エネ発電賦課金はもしかしたら半ば意識せずに経験しているシェアリングエコノミーの例かもしれません。

実物資産を持たない人はどうすればよいのか

ただ、日本を見渡すと実物資産どころか、貯蓄すらないという方も少なからずいるのではないでしょうか。では、実物資産でシェアするものがない人はどうすれば良いのでしょうか。

誰でも平等に所有している資産は実はあります。それは「時間」です。時間をどのように活用するかはその人次第ですが、24時間365日は、「今」資産を持っている人でも、持っていない人でも変わりません。

この時間をどうシェアするかが、シェアリングエコノミーが爆発的に普及するかどうかのポイントになるのではないでしょうか。

とはいえ、自分の空いている時間でサービスを提供するにしても、何を提供すれば良いのでしょうか。もっとも弁護士や会計士、医師といった国家資格などに基づく専門性の高い職業に就いている人は、既に時間でサービスを提供するのは当たり前といったところでしょう。

今回のポイントは、これまで空いた時間にサービスを提供していなかった人がシェアリングエコノミーという新しい働き方に参加するということですから、私たちはまだその仕事のスタイルを明確には目にしていません。

ただ、一つ言えるのが、国家資格とは言わないまでも、やはり何かしらの専門性がないとシェアリングエコノミーが普及する初期段階では注目を浴びにくいかもしれません。そして、そうした引き合いの強い人材は複数の案件、プロジェクトにかかわるということもあるでしょう。

まとめにかえて

今後、時間の経過とともに、より汎用的な要件での需要も増えてくると思います。そして、その頃には会社で働くというこれまでの働き方に対する考え方も変わってくるかもしれません。皆さんは、シェアリングエコノミー時代にどんなサービスを提供したいですか。そしてできますか。

青山 諭志