子ども家庭庁は2023年3月31日に「こども・子育て政策の強化について(試案)」いわゆる異次元の少子化対策のたたき台を発表しました。

子育て世帯へのさまざまな支援策が盛り込まれ、高等教育に関する修学支援制度も拡充される見通しです。

どのような修学支援制度が、新たに検討されているのでしょうか。

本記事では、高等教育の修学支援制度と、子育て世帯の貯蓄事情について解説します。

「異次元の少子化対策」新たな高等教育修学支援制度とは?

子ども家庭庁が新たに発表した修学支援制度の検討案は、次の2つです。

  • 授業料の後払い制度を新設
  • 奨学金制度の利用対象者を拡充

文部科学省は2023年4月4日に、それぞれの制度を2024年度から導入すると発表しました。

子育て世帯の負担を軽減する狙いがある2つの制度について、それぞれ確認してみましょう。

1. 授業料の後払い制度を新設

奨学金の後払い制度は、在学中の授業料が発生しない修学支援制度です。

代表的なモデルに、オーストラリアのHECSがあります。

HECSでは、奨学金の返済が一定の所得に達しないとスタートしません。

そのため、所得連動型の返済モデルといえます。

今回「異次元の少子化対策」で発表されたたたき台には、HECSのモデルを取り入れながら、さらに子育て中の返済負担も軽減する仕組みが盛り込まれました。

具体的には、子どもが2人以上いる場合、年収が400万円程度まで達しないと奨学金の返済が始まらない制度にできないか検討しています。

まずは修士段階の学生を対象に、2024年度からの導入を目指す予定です。