地政学リスクや米政権の不透明感などから投資家心理が冷え込む
2017年8月18日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より232円22銭安の19,470円41銭となりました。3日続落し、目先の節となる19,500円も割り込みました。5月上旬以来の安値水準です。
日経平均は週初14日、北朝鮮情勢を巡るリスクが意識され、4日続落で始まりました。ただ、翌15日には警戒感も後退したことから、投資家には買い戻しの動きが広がり、5営業日ぶりに反発しました。
しかし、積極的に買いに回るような材料もなく膠着状態が続いていました。17日にはスペインのバルセロナの中心部で車が群衆に突っ込むテロ事件が発生しました。投資家の心理が悪化し、同日の米ダウ工業株30種平均は前日比274ドル14セント安の21,750ドル73セントと大幅に下落しました。
地政学的なリスクのみならず、米国株への下押し圧力がさらに強まっています。大きな要因は米政権の混乱です。トランプ大統領は15日、白人至上主義団体を擁護するような発言をし、政権の内外から批判されました。18日には、トランプ氏の再側近で政策決定にも影響を及ぼしていた首席戦略官のスティーブ・バノン氏が更迭されました。
極右とされるバノン氏の辞任により軌道修正されるとの期待から、同日100ドル強下げていたダウが値を戻し、一時42ドル高に転じる場面もありました。ただし、その勢いは続かず、結局、前日比76ドル22セント安の21,674ドル51セントと、7月下旬以来の安値で終えました。
今後の展開はどうなるでしょうか。懸念されるのは、米政権の先行き不透明感が増していることです。市場では、バノン氏が退陣したとしても、減税対策やインフラ投資などの政策実現は難しいとの見方が広がっています。
為替相場では、これらを受けて、ドルを売り円を買う動きになっています。18日午前のニューヨーク外国為替市場で円相場は上昇し、一時1ドル=108円台半ばを付ける場面もありました。円高進行を受けて、来週は下押しから始まる可能性もあるので注意が必要です。
25日移動平均線と75日移動平均線とのデッドクロスが形成されつつある
今週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週初は窓をあけての下落となりました。ただ、ローソク足の実体は短く、コマの形になっており、相場の反転を予感させました。そのとおり、翌15日には窓を埋めて陽線となりました。
ただし、5日移動平均線で上値を抑えられると、再び下落し、週末には14日の安値も更新しました。25日移動平均線が75日移動平均線に近づき、デッドクロスが形成されつつあります。
19,500円を回復できなければ、短期的には目線は下へ
今後の動きはどうなるでしょうか。25日移動平均線と75日移動平均線のデッドクロスはまだ完成していませんが、来週初には25日移動平均線が75日移動平均線を下抜けしそうです。足元の下値めどとしては、5月18日の安値(19,449円)です。ここを下に抜けると、過去にもみ合った19,000円~19,200円あたりが意識されます。
今後の戦略としては、19,500円を回復できないようであれば、目線を下に持つべきしょう。その場合の下値めどは19,000円~19,200円あたりになります。そこからさらに下がるかどうかは状況次第ですが、そのあたりからの押し目買いもあり得ます。
逆に、来週初に19,500円を回復して始まるようであれば、下降トレンドラインのチャネルの上限までの押し目買いで、2万円あたりまでを狙っていくという選択肢もあります。いずれにしても、まずは19,500円を境に、どちらに動くかを見極めたいところです。
下原 一晃