「年収600万円は日本の中流階級」と言い切れない理由2選

「年収600万円」が日本の中流階級なのかを考えたとき、目に見える金額だけで判断することはできません。

ここでは、このように考える理由を2つ紹介していきます。

1. 同じ年収帯でも手取金額・家計状況・資産状況・家族構成が全く異なる

すでに紹介した統計結果によると、年収600万円を超える男性は951万2000人、女性は155万4000人です。

ただし、これらすべての男性と女性は、手取金額・家計状況・資産状況・家族構成が全く異なります。

たとえば、結婚して子どもがいる人、独身の人、両親や祖父母と同居している人など、さまざまな生活環境が考えられます。

これらに加え、給与から天引きされる税金や社会保険料が異なるだけでなく、その他控除として給与から天引きされるお金がある人もいるはずです。

つまり、置かれている状況によって、手取金額をはじめ、支出するお金や資産として残せるお金もさまざまであるため、人によってお金に余裕がある、お金に余裕がないといった感じ方が異なることが理由です。

2. 統計結果は給与所得者が対象であること

本章で紹介した国税庁の統計結果は、会社員・公務員・パート(アルバイト含む)・会社役員などといった給与所得者を対象としたものです。

そのため、事業を営んでいる個人事業主をはじめ、給与所得者以外の人は統計結果に含まれていません。

給与所得者にとっての年収600万円は、仮に個人事業主へ置き換えたとき、1年間の総売上高が600万円と考えることができます。

このとき、同じ年間売上高が600万円であったとしても、1年間の利益はそれぞれの個人事業主によって異なるため、税金や社会保険料の負担金額も変わることになります。