世の中に企業は数多くありますが、その中には多くを語らずとも決算などのデータだけで人をアッと驚かせる企業があります。今回は、データを見ながらそのすごい企業はどこなのか、どういったビジネスモデルなのかをみていきましょう。
いきなり答えを明かすのではなく、少しずつデータを紐解いていきます。皆さんもどこの企業なのか考えながら読み進めてみてください。
単体の平均年間給与は1,800万円超
まずは、この企業の従業員数と平均年齢、平均年間給与の数字について見ていきましょう。この企業は2017年3月20日時点の連結の従業員数が約5,700人。その中で、単体の従業員が約2,100人。平均年齢は36.1歳。そして驚くべきことに平均年間給与が1,800万円を超えています。この平均年間給与には、基準外賃金及び賞与を含んでいます。
従業員の平均年齢が約36歳と比較的若いにもかかわらず、平均年間給与が1,800万円を超える企業などそうそうありません。一体どの業種なのでしょうか。金融でしょうか。
売上高と営業利益から生産性を見てみると?
次に売上高と営業利益を見てみましょう。この企業の2016年3月から2017年3月までの売上高は4,127億円、営業利益は2,189億円、当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は1,532億円。売上高は対前年比で+9%増、営業利益も同+9%増、当期純利益は同+12%増と、堅調な伸びを示した決算です。そして営業利益率はなんと53%。
切り口を変え、従業員一人当たりの売上高と営業利益も見ておきましょう。先ほどの売上高と営業利益を連結の従業員数で割ってみると、売上高が約7,300万円、営業利益が約3,900万円になります。
一見、従業員に高額の給与を払っているように見えますが、給与を支払った後にも十分な利益が残っていることが分かります。また、一人当たりの営業利益をこれだけ計上できているわけですから、企業としてそれを従業員に還元してしかるべき、という考えであっても、株主も不満はないのではないのでしょうか。
時価総額でも日本の上場企業トップクラス
では、時価総額はどうでしょうか。この企業の時価総額は現在6兆円あります。皆さんは時価総額6兆円というとどういった企業と肩を並べる水準だとお考えでしょうか。実は他の時価総額6兆円企業といえば、ゆうちょ銀行、日本郵政といった誰もが知っている企業です。
ちなみに、2017年8月9日時点の時価総額ランキングを見てみると、トヨタ自動車が約20兆円で首位。次いで、NTT(日本電信電話)が約11兆円、第3位がNTTドコモで約10兆円、第4位が三菱UFJフィナンシャル・グループで約9.9兆円、第5位がソフトバンクグループで約9.7兆円となっています。6兆円という水準は、日本の上場企業の中でトップ10に入るレベルです。
超健全な財務体質
この企業、財務体質も超健全です。2017年6月20日時点の総資産は約1兆2,900億円。そのうち、純資産は1兆2,200億円。現金及び預金は約4,300億円、流動資産のうち、有価証券が約2,200億円、固定資産のうち、投資有価証券が約4,300億円。毎期毎期計上される当期純利益は株主資本として積み上がり、その現金はそのままもしくは有価証券に投資されています。
これほどまでに数字で圧倒する企業とは
ここまでのデータで驚かれた方も多いでしょう。一方でもうお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんね。一体この企業はどこなのでしょうか。
正解は、大阪に本社を構えるキーエンスです。
キーエンスは学生の間でも若くして高額の年収を手にすることができるということで有名ですが、それは、ここまで見てきた数字から分かるようにビジネスモデルとして強力な仕組みがなければ実現していないでしょう。
同社は1974年の会社設立以来、センサーを中心として生産ラインの自動化(FA、ファクトリー・オートメーション)に関する分野を40年近く取り扱ってきたという背景があります。現在は、インダストリー4.0やスマート・ファクトリーといったコンセプトともに非常に注目されている分野でもあります。
顧客の業種は、半導体・液晶、電機・電子といったハイテク産業から、日本の幅広い産業を支える自動車業界、食品・薬品、金属・鉄鋼、化学・プラント業界というように幅広く、これら顧客からのニーズを取り込み、サービスを発展させてきた歴史があります。
生産現場は自動化が進んでいるとはいえ、いまだ人手を必要とするプロセスが様々な領域で残っています。そうしたポイントを一つずつ取り組み、ソリューションとしてハードウェアを取り入れながら解決してきたことが営業利益率の高さと売上高の大きさにもつながっていると見えます。
まとめにかえて
いかがでしたか?今回は圧倒的な数字データが特徴的なキーエンスを紐解きました。みなさんはすぐにおわかりになりましたか?もしかすると俄然興味がわいたという方もいらっしゃるかもしれませんね。
企業調査部