4. 老齢厚生年金はどのように計算されるか

最後に厚生年金保険料の計算方法を見ていきましょう。

4.1 厚生年金の計算方法

出所:日本年金機構「老齢年金ガイド 令和4年版」

A:2003年3月以前の被保険者期間
平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの被保険者期間の月数

B:2003年4月以降の被保険者期間
平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の被保険者期間の月数

A+Bが老齢厚生年金の報酬比例部分となります(従前額保障や物価スライド等は考慮しません)。

今の年金世代では、女性が結婚や出産を機に退職することが一般的でした。そのため、賃金や加入期間ともに男性に届かず、年金額に影響が出たと考えられます。

もし将来の年金額を増やしたい場合、報酬アップや加入期間の延長がカギになるでしょう。

5. 年金以外に自分でできる老後の備え

"老後のひと月当たり最低予想生活費"を聞く問いに対し、70歳代の平均回答は28万円となりました。

しかし、老齢年金(厚生年金と基礎年金)として「月額28万円以上」を受給している人はわずか0.27%にとどまります。

とはいえ、あくまでも生活費は個々で異なるものですので、本当に必要な金額を基準に老後資金を考えることが大切になるでしょう。

ただし、だからといって安心はできません。現在の高齢者も、多くは年金以外の収入や貯蓄の切り崩しによって生活しています。

年金で足りない分の備えは誰にとっても必要となるため、まずはねんきんネットやねんきん定期便などで年金の目安額を知ることが重要になります。

この機会に一度調べてみてはいかがでしょうか。

老後資金の金額だけでなく、その準備方法も個人によって合うもの・合わないものがあります。

銀行預金だけでなく、iDeCoやNISAなどの非課税制度やその他の資産運用、あるいは保険なども上手に活用しながら、徐々に老後の準備を始めていきましょう。

参考資料

太田 彩子