年度末を迎えるこの時期、定年退職をされたり、60歳代で続けていた仕事を辞めたりという方もいるでしょう。
平均寿命が伸びる日本では、年金生活に不安を感じる人もいると思います。
では、リタイア後の生活のためにはいくらお金が必要なのでしょうか。
本記事では、平均寿命から考える65歳以上・無職世帯に必要なお金と平均貯蓄額を解説します。また、老後対策について紹介するので参考にしてみてください。
65歳以上・無職世帯の「月の生活費」はいくら?日本人の平均寿命も確認
日本人の平均寿命は、男性が81.47歳・女性が87.57歳となっています。65歳から平均寿命まで、男性は約16.5年、女性は約22.6年です。
また、65歳以上・無職世帯の平均支出は以下のとおりとなっています。
65歳以上の夫婦のみ無職世帯の月の収支
- 消費支出 :月22万4436円
- 非消費支出 :月3万664円
- 合計支出 :月25万5100円
65歳以上の単身無職世帯の月の収支
- 消費支出 :月13万2476円
- 非消費支出 :月1万2271円
- 合計支出 :月14万4747円
夫と妻がともに平均寿命まで生きた場合にかかる、65歳以降の支出は以下のとおりです。
25万5100円×198ヶ月(16.5年) + 14万4747円×73ヶ月(6.1年※1) = 6107万6331円
※1:妻が一人で生活する期間(22.6年ー16.5年)
65歳以降の生活のために約6100万円が必要となります。
65歳以上で無職世帯の平均貯蓄額はいくら?
では、実際に65歳以上・無職世帯はどの程度のお金を持っているのでしょうか。65歳以上・無職世帯(二人以上の世帯)の平均貯蓄額は以下のとおりです。
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出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」
65歳以上・無職世帯の平均貯蓄額の推移
- 2016年:2350万円
- 2017年:2337万円
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
平均貯蓄額は約2300万円でした。
ただし、平成寿命まで生きた際の65歳以降に必要な約6100万円をすべて貯蓄で賄う必要はありません。
日本には、原則20歳いよう60歳未満が加入する「年金制度」があります。月に受給できる年金が23万円で月の支出が23万円であれば、貯蓄がなくても生活は可能です。
年金受給額は現役時代の働き方や収入により大きく変動するので、自分のねんきんネットなどを利用して将来の年金受給予定額をシミュレーションしてみてください。
シミュレーションにより、公的年金とは別に必要な老後資金が計算できるでしょう。
今から行いたい老後対策3つ
では、早くからはじめたい経済的に豊かな老後を送るための老後対策を紹介します。
老後対策1.繰下げ受給で年金受給額を増やす
公的年金は、生きている限り受給できる「長生きリスクに備える保険」です。
老後の必要資産額を平均寿命まで生きた場合で計算しても、実際には100歳まで生きるかもしれません。すると、生活に必要な貯蓄は不足するでしょう。
そのため、「繰下げ受給」による年金受給額の増額を検討するのも一つでしょう。年金は65歳からの受給が一般的ですが、75歳まで受給を遅らせることが可能です。
受給開始年齢ごとの受給額増額率は以下のとおりとなります。
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出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成
【老齢年金】繰下げ受給した場合の増額率(65歳受給開始対比)
- 66歳:8.4%
- 67歳:16.8%
- 68歳:25.2%
- 69歳:33.6%
- 70歳:42.0%
- 71歳:50.4%
- 72歳:58.8%
- 73歳:67.2%
- 74歳:75.6%
- 75歳:84.0%
65歳からの受給開始で年間100万円を受給できる場合、75歳に受給開始を遅らせれば年間受給額は184万円になります。
ただ、繰下げ受給している間の生活費が必要だったり、実際に得になるかは個人差があったりしますので、慎重に検討しましょう。
老後対策2.NISAやiDeCoで資産を増やす
年金以外に自分で資産を効率的に用意する方法として、NISAやiDeCoの活用を検討してみてください。
通常、投資は利益に対して税金が発生しますが、NISAやiDeCoを利用すると非課税で利益全額を受け取れます。そのため、資産を効率的に増やすことができるでしょう。
運用なのでリスクはありますから、きちんと調べ、ご自身の納得のいく運用を心がけましょう。
老後対策3.家計を見直す
老後の生活費を見直せば、毎月の支出が減って生活が楽になるかもしれません。特に、固定費の見直しは重要です。
見直したい固定費の例は以下のとおりとなります。
- 携帯料金
- 車にかかるお金(自動車保険や駐車場代など)
- 家にかかるお金(家賃や住宅ローンなど)
- 新聞代
- サブスク代
固定費は一度見直せば毎月継続的に支出を減らせるため、ぜひ見直してみてください。
長生きリスクに備えよう
老後に必要なお金は、生活水準や年金受給額、寿命によって大きく異なります。
特に、寿命は予測が難しいです。そのため、できるだけ年金受給額を増やすことで長生きリスクへの備えを検討してみてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
苛原 寛
