有機EL蒸着装置や東芝メディカルシステムズ(TMSC)連結で注目のキヤノン。2017年12月期の売上高、営業利益見通しについて2四半期連続の上方修正をしています。今回は好調キヤノンや同社を取り巻く事業環境がどうなっているのかについて考察します。
決算はどうだったのか
2017年12月期Q2累計実績は、売上高が対前年同期比+19%増、営業利益が同+58%増、当社株主に帰属する四半期純利益が同+53%増となりました。セグメント別では、全セグメントが増収、増益となり、既存事業の立ち直りと、新規事業の拡大が確認できる決算内容でした。
一方、2017年12月期会社予想については、売上高、利益ともに上方修正さています。修正理由については、プロダクトミックス改善と、徹底した経費コントロールの2点が挙げられ、営業利益については、為替要因で+185億円、数量増で+95億円、その他+320億円の要因により従来予想比で600億円上方修正されています。なお、Q3以降の為替前提レートは1ドル112円(従来110円)、1ユーロ125円(同120円)と若干の円安前提を織り込んでいます。
メディカルシステムの動向
2017年12月期のメディカルシステムの売上高は886億円、営業利益は1.7億円と、2017年12月期のQ1の売上高1,318億円、営業利益100億円と比べると前四半期比では減収減益となっています。Q2累計では、売上高が2,200億円、営業利益が99億円となっています。またメディカルシステムの年間売上高見通しは4,400億円、営業利益は210億円となっていいることから営業利益は若干下期よりの計画となっています。
半導体露光装置や有機ELディスプレイ製造装置の動向
半導体露光装置は、データセンター向けメモリの需要拡大などを背景に販売台数を伸ばした模様です。半導体向け露光装置の台数は2016年12月期Q2の12台から2017年12月期Q2には19台と増加しました。その光源別の内訳としてはKrF、i線向けがいずれも増加しており、ArF向けは販売台数は前年同様に0となっています。
FPD露光装置や有機ELディスプレイ製造装置は、モバイル機器向けの有機ELパネルの需要増を背景に販売を拡大しています。
今後はどこに注目すべきか
オフィスやイメージングシステムは対前年比でQ2は増益基調。そうした既存事業の回復の持続性や、有機ELパネルの需要動向にともなう同社の蒸着装置への需要、TMSC買収後の動向などに投資1編集部は注目しています。
LIMO編集部