2.2 「低年金・無年金が起こる理由」その2. 年金の不整合記録問題
2つめに挙げるのは「年金の不整合記録問題」です。
さきほどの図にもあるように、国民年金の被保険者は、働き方や立場によって第1号~第3号に分類されます。そのうち第2号被保険者(会社員や公務員などのサラリーマン)に扶養される配偶者を「第3号被保険者」といいます。この「第3号被保険者」は個人で年金保険料を負担する必要はありません。
しかし、「フリーランスや自営業になった」「配偶者が会社員(第2号被保険者)ではなくなった」「基準額以上の収入を得るようになった」などの理由で「第1号被保険者」となった場合、国民年金保険料を納付する必要が出てきます。
その届け出を失念して「第3号被保険者のままのつもり」で国民年金保険料を支払わずにいると、年金保険料の未納期間が発生してしまうのです。
「配偶者が会社員(第2号被保険者)ではなくなった」ケース
「基準額以上の収入を得るようになった」ケース
2.3 「不整合記録」が発覚したときは?救済措置とは
この不整合記録問題には救済措置が用意されています。もしご自身に該当することが判明したときは、早めに年金事務所に届け出を行いましょう。未届出期間を「受給資格期間」に繰入れてもらうための手続きです。
ただし、未納期間に応じて老後に支給される年金は減額されますので「追納制度」を検討するとよいでしょう。
まとめにかえて
今回は、老後に「低年金・無年金」が起こる背景について整理しました。平均的な年金額から大幅に乖離する理由は、年金保険料の納付状況にあることが分かります。
またサラリーマンだった人が受け取る老齢年金は、厚生年金加入期間とともに現役時代の収入が老後を左右します。会社員として働いたあとフリーランスや自営業に転身した、育児や介護などで離職した、といった場合などでは、厚生年金を受け取ることができても想定していたよりも受給額が少なかった、というケースも起こり得るでしょう。
現役世代の私たちも、自分自身の将来のため、そして子ども世帯に迷惑をかけないためにも、年金保険料はきちんと支払いましょう。さらに預貯金を増やし、老後生活に向けて万全の備えをしておきたいですね。
参考資料
足立 祐一