過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。
(初公開日:2020年3月7日)

トイレットペーパーが突然品不足となりました。それは、人々が合理的に行動した結果なので、再発防止は容易ではない、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

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経済を理解するためには、暖かい心と冷たい頭脳が必要です。本稿では、主に冷たい頭脳を使いますので、読者の暖かい心が立腹するかもしれませんが、これを機に読者も冷たい頭脳を訓練していただければ幸いです。

以下、「本稿掲載時までに事態が沈静化していると誰も読んでくれない」と懸念しつつも、そうなることを祈りながら記します。

トイレットペーパーが突然品不足に

新型肺炎が流行し、人々がマスクを付けるようになりました。したがって、マスクが不足することは容易に理解できます。そして、マスクが不足しているという情報が広まると、「少し多めに購入しておこう」という消費者が増え、ますます不足する、ということが起きているようです。

それと比べると、トイレットペーパーの不足には意外感があります。新型肺炎がトイレットペーパーの消費量を増やすわけではないからです。

トイレットペーパーが不足する、という誤った噂が広まり、それを信じた人々が「通常より多めに購入しておこう」と考えたため、実際に品切れになり、それを見た消費者たちが不安になり、「さらに多めに購入しておこう」としたのでしょう。

そうした消費者の行為は、冷たい頭脳で考える限り、合理的です。多めに買わないことのリスクは結構あります。「品不足が長続きしたらどうしよう」という不安を抱えて過ごすだけでもストレスですし、もし本当に品不足が解消しなかったら、必需品なしで暮らすことになりかねませんから。