同社は、エアコンやLED照明以外に、両面ホットプレート、花粉空気清浄器、コードレスふとんクリーナーなど多くの家電製品を手掛けています。そして、これらはいずれも「機能はシンプル、価格はリーズナブル、品質はグッド」という、「なるほど家電®」のコンセプトで開発されています。

こうした考えは、収納ケースなどの生活用品の時代から長年にわたって蓄積されたものであり、これが同社の大きな強みとなっているのです。

今回、大ヒットしたエアコンも、企画段階から商品価値と価格のバランスをしっかりと考慮し、無線LANで遠隔操作ができる機能が付いて小部屋向け(6畳程度)で8万円台という価格を実現したことが高評価につながっています。

ちなみに、大手メーカーがひしめくリビング向け(14畳程度)を避けたことや、後付けではなく標準搭載としてLAN機能を加えるという独特の”細かな目配り”も、同社のエアコン市場での存在感を高めることに寄与しています。

日本の家電復活の刺激となるか?

こうして見ると、同社の家電での成功の秘密は、マーケティングのセオリー通りにユーザー視点に立って製品開発を進めてきたことにあることがわかります。

また、これを可能としているのは、長年の生活用品市場での経験により狙いを定めた市場で一気に数量を稼ぎ、投資を回収するというサイクルを作り続けてきたことにあるとも考えられます。

あまり必要とされない機能までがたくさん詰め込まれた「高付加価値製品」よりも、シンプルで、リーズナブルで、高品質な「なるほど家電®」が増えていくと、消費者の生活をより充実させることになるのではないでしょうか。今後も同社の活躍が望まれるところです。

また、同社の成功の連鎖は既存の家電メーカーにとっては脅威となるかもしれませんが、この競争から刺激を受け、日本の家電メーカー全体が復活に向かうことに期待したいと思います。

和泉 美治