地方における就職先では最も人気が高い地銀(地方銀行、第一地方銀行ともいう)。地域経済に大きな影響力をもつ地銀の直近の決算資料などをもとに、銀行ごとの年収を比較しました。
平均年齢38.9歳で平均年収は634万円
今回ピックアップしたのは、日本の地銀65行のうち56行。持ち株会社の傘下にあり決算資料が非公開の銀行については、対象外としています。
56行の単純平均による平均年齢は38.9歳で、平均年収は634万円となっています。また、各社の従業員数で加重平均した平均年齢は38.9歳で、平均年収は654万円です。加重平均での平均年収が高めに出ているのは、従業員数が多く平均年収が高い横浜銀行などの寄与によるものです。
スルガ銀行が811万円と突出、一方で400万円台も
下図は、投信1編集部データ分析室が決算資料をもとに作成した各行の平均年齢と平均年収の分布です。ちなみに、横浜銀行、足利銀行のデータに関しては2016年3月期を、それ以外については2017年3月期の決算データ(いずれも単体)を使用しています。
まず注目すべきは、スルガ銀行です。スルガ銀行の平均年齢は42.5歳で平均年収は811万円となっています。
同行は静岡県沼津市に本店を置き、主に静岡県と神奈川県で営業を展開しています。平均年齢が高いこともありますが、ネットバンキングや個人取引に力を入れるなど、独自の戦略により高収益をあげていることが高い平均年収につながっていると考えられます。
続いて横浜銀行ですが、平均年齢は37.8歳で平均年収は761万円と業界平均に比べると平均年齢がほぼ1歳低いのに対し、平均年収は127万円高くなっています。
同行は神奈川県横浜市に本店を置く日本最大の地銀であり、総資産は地銀首位であり従業員数も首位の千葉銀行と50名程度の差であり、ほとんど変わりません。2016年4月に東日本銀行とともにコンコルディア・フィナンシャルグループを設立し、その傘下に入りました。
一方鳥取銀行は、平均年齢37.4歳で平均年収は484万円で、業界平均に比べると、平均年齢は1.5歳低いですが平均年収も150万円低くなっています。
同行は鳥取県鳥取市に本店を置き、地銀の中では総資産、従業員数ともに最小規模の一つではあるものの、県内の地方公共団体や大学・医療機関などとの関係も深く、地域に根付いた営業を行っています。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。一般的に「銀行員の給与は高い!」というイメージがありますが、このように見てみると、各行間でだいぶ差があることがわかります。
低金利が続くことによって銀行に預金する魅力がなくなり、景気の低成長により貸出の需要も小さくなるなど、銀行業界の課題はたくさんあります。
一方で、地銀は地方活性化において、地銀は地域経済の中心的存在として重要な役割を果たすとして期待されています。
事業再編やグループ化などの動きもあり、今後の地銀業界は注目です。
LIMO編集部