2023年2月13日に開催された、リネットジャパングループ株式会社2023年9月期第1四半期決算説明ライブ配信の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:リネットジャパングループ株式会社 代表取締役社長グループCEO 黒田武志 氏

2023年9月期 第1四半期 決算サマリー

黒田武志氏:本日はお忙しい中、弊社リネットジャパングループのオンライン説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、2023年9月期第1四半期の決算概要についてご説明いたします。

今期は、我々が取り組んでいる成長戦略がかたちになってくる期だと考えています。我々はリサイクル事業など環境関連事業と障がい福祉事業が連携する「環境福祉連携モデル」を今後の骨太な成長戦略と位置づけています。後ほどこの「環福連携モデル」についてもご説明したいと思いますので、最後までお聞きいただければと思います。

第1四半期の決算サマリーです。売上高は、リサイクル事業とリユース事業を合わせた国内Re事業が堅調に推移しました。売上高は前年比114.7パーセントの22億9,000万円となりました。

一方で経常利益は、新規事業のソーシャルケア事業や海外HR事業での先行投資が続いていることや、カンボジアのマイクロファイナンスが予防的に引当の積み増しを行っていること、円高の為替影響などのため、経常利益は2,000万円という結果になっています。

国内Re事業の先行指標であるリユースの買取やリサイクルの回収が、足元の12月や1月で非常に好調ということもあり、通期計画の達成に向け、第2四半期以降での売上・利益の増加を見込んでいます。

特にリサイクル事業については、東京都との提携により実施した法人回収のトライアルを非常に好調に終えることができました。従来は個人ユーザーを中心に回収を行っていましたが、今後は中小企業を中心とした法人回収にも積極的に取り組んでいきたいと思っています。

第2四半期以降は、海外金融事業の縮小をさらに進めていく方針です。一方で、リサイクル事業と福祉事業を連携した「環福連携モデル」への経営資源の投下を重点的に進め、全社のポートフォリオの再構築を図っていきたいと考えています。

2023年9月期 第1四半期 決算ハイライト

決算ハイライトです。売上高は過去最高の22億9,000万円、経常利益は2,000万円となっています。

2023年9月期 第1四半期 売上高の増減要因

売上高の増減要因です。前年同四半期の売上高は20億200万円でした。グラフの右端が当第1四半期の結果で、22億9,700万円となっています。特にリユース事業がプラス1億1,100万円、HR事業もプラス4,800万円となり、伸びたことがわかります。

2023年9月期 第1四半期 経常利益の増減要因

経常利益の増減要因です。前年同四半期の経常利益は1億4,600万円、グラフの右端が当第1四半期の結果で、2,000万円となっています。

リユース事業のリサイクルがマイナス2,200万円となった要因は、通常12月に大きく伸びる大掃除の片付け需要が1月にずれ込み、マイナスの影響が若干あったことによるものです。しかしながら、通期で見ると第2四半期以降で取り戻すことができると考えています。

また、金融事業はマイナス5,400万円ですが、こちらはマイクロファイナンス事業で予防的に引当を積み増していることによるものです。加えて、為替も前年同四半期は為替差益約4,000万円でしたが、この第1四半期では円高の影響により為替差損2,300万円となり、対前年同期比マイナス6,400万円となりました。結果として、経常利益は2,000万円で着地しています。

2023年9月期 第1四半期 連結損益計算書

連結損益計算書です。営業利益が3,000万円、経常利益が2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益がマイナス100万円となっています。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。資産は合計101億3,000万円で、前期比プラス5億600万円という結果になっています。自己資本比率は20.8パーセントです。

国内Re事業:売上高

各事業の概要です。国内Re事業はリユース事業とリサイクル事業、ソーシャルケア事業そを合わせたセグメントです。こちらの売上高は前年同期比108.9パーセントの19億900万円と、過去最高を達成しています。

国内Re事業:経常利益

国内Re事業の経常利益です。経常利益は前年同期比で88パーセントの2億5,800万円となりました。リサイクル事業のCM投下によるマーケティングの投資増、さらに東京のリサイクルセンターの立ち上げなどによるオペレーションの拡大といった先行投資により、経常利益が2億5,800万円という結果になっています。

国内Re事業:マーケティング投資

マーケティング投資についてです。スライド左側の折れ線グラフがマーケティングの費用の推移を表しています。積極的な投資を行っているのがご理解いただきたいと思います。

スライド右側の画像についてですが、現在、関東エリアで継続的にCMを放映しています。年末年始もCMを出稿しましたが、CMを積み重ねるたびに、我々の認知度も着実に上がっており、成果を十分に上げることができています。

パソコンのリサイクルは、数年に1回の片付けタイミングで行われます。このようなサービスの特徴がありますので、パソコンの片付けとなれば、まずリネットジャパンをしっかりと思い出していただく、第一想起していただくということを意識しながら、CMなどマーケティングへの投資を積極的に行っています。

リユース:売上高(2023年9月期 第1四半期)

リユース事業の売上高は前年比109.7パーセントの12億6,400万円となりました。特に、市場規模が拡大しているトレーディングカードへの参入により、非常に大きく伸びている状況です。

リユース事業:業績の先行指標である買取が好調

先ほど、買取需要が後ろにずれているとお話ししました。スライド左側のグラフをご覧ください。こちらがリユース事業の買取申込箱数です。1月足元は前年比123パーセントと、12月の需要が後ろにずれたことにより、1月は買取が非常に好調になってきています。我々の業績は買取が先行指標になっており、こちらの好調が第2四半期の売上につながってくると考えています。

また、スライド右側はトレーディングカードの買取実績ですが、10月から12月にかけて買取量が7.3倍となり、大幅に伸びている状況です。

リサイクル:売上高(2023年9月期 第1四半期)

リサイクル事業の売上高は前年比104.0パーセントの6億100万円となっています。ちなみにこちらも、12月の需要が1月にずれ込んでいます。年が明けてから片付けをする方が多くなってきたということで、1月は前年比118パーセントと好調です。

リサイクル:自治体連携の拡大と強化

リサイクルは自治体との連携も着実に増えており、連携の自治体数は現在613自治体となりました。人口カバー率で言いますと64.4パーセント、8,200万人におよぶ自治体と協定が進んできたということです。

我々のサービスを行政サービスの一環として提供することで、ごみの分別表や市の広報誌などを通じて各市町村から市民へお知らせいただき、我々のサービスの利用につながっています。

リサイクル:東京都 法人パソコン回収が非常に好調

東京都の「レアメタル緊急回収プロジェクト」に採択され、12月に法人向けの回収プロジェクトを実施しました。

法人の中でも、特に中小企業のユーザーさまは回収台数が3台、4台ということが多いです。これまでこの業界では、小ロットの台数の回収がなかなか手つかずだったのですが、宅配回収のメリットが活かされて、非常に大きな反響がありました。

個人向けの回収に加えて、今後は中小企業向けの法人回収についても積極的に取り組み、2本柱として営業強化を図りたいと考えています。

リサイクル:個人ユーザーに加え、中小企業ユーザーを開拓

個人ユーザーの潜在的な需要としては、日本の約半数の家庭に要らなくなったパソコンが複数台眠っているという経済産業省の統計データがあります。推定すると、約3,000万台ぐらいが眠っているのではないかと思います。

これに加え、中小企業のバックヤードには同じぐらいのパソコンが眠っていると考えています。宅配便を活用した小口回収は、まだ手つかずのブルー・オーシャンの市場ですので、積極的に開拓していきたいと思っています。

リサイクル:回収申込件数

回収申込件数も順調に伸びています。第2四半期には、先ほどお話しした東京都の法人回収の実績も上積みされますので、今後はさらに伸びてくると考えています。

海外金融・HR事業:売上高

海外金融・HR事業の売上高は、前年同期比155.4パーセントの3億8,800万円となりました。

海外HR事業: 入国者の状況と計画

海外HR事業に関しては、入国者が順調に伸びています。スライドの棒グラフは、青色が入国済みの人数、オレンジ色がカンボジアで入国を待機している人数を示しており、右肩上がりで伸びているのがおわかりいただけると思います。

要因としては、新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いた2022年4月から入国制限が解除され、入国が再開されていることが挙げられます。さらに、現在はベトナムの技能実習生が多いのですが、最近は「ポストベトナム」という流れがあり、仏教国であるということと日本での就業意欲も高いということから、カンボジアの技能実習生に注目が集まりつつあります。そのような意味で、強い追い風が吹いている状況です。

カンボジア金融事業について

カンボジアの金融事業についてです。コロナ禍前までは非常に大きく伸びていたのですが、感染拡大の影響を受け、2020年9月期には特別損失として16億円を計上し、株主のみなさまにもご心配をおかけしました。現在、不良債権の処理は進んでおり、おおむねエグジットできたと考えています。

この自動車販売金融事業はすでに撤退プロセスに入っています。自動車リース事業とマイクロ保険事業についても整理縮小の方向に向かっています。マイクロファイナンス事業については、今のカンボジアやグローバルの経済の状況を考え、予防的に引当の上積みを行っています。

さらに、ソラミツ社との合弁によるデジタル通貨のバコン事業については、カンボジア中央銀行の旗振りでスタートしたものの、法定デジタル通貨の政策がトーンダウンしていることもあり、事業化はいったん凍結することになりました。

このように、新型コロナウイルス感染拡大の前までは積極的に推進していた海外金融事業ですが、現在は縮小撤退に向けて進めています。この分のリソースを、国内の「環福連携モデル」や海外HR事業の強化にシフトしていきたいと考えています。

「4つの事業の柱」

事業ポートフォリオについては、これから4つの事業の柱を確立していきたいと考えています。1つ目は創業以来の事業であるリユース事業、2つ目は小型家電のリサイクル事業、3つ目はリサイクル事業の現場で取り組んできた障がい福祉を事業部として独立させたソーシャルケア事業、4つ目は技能実習生の海外HR事業です。こちらの4つの柱を中心に、これから成長していきたいと考えています。

一見、違った領域でばらばらのように見えますが、事業ポートフォリオを4つに分散することで、市場環境や景気変動といった環境変化に強いグループになるため、4つの柱を確立していきたいと思っています。

さらに、この4つの事業が相互にシナジーを発揮するようなモデルを目指していきます。特にリサイクル事業とソーシャルケア事業が連携した「環福連携モデル」です。こちらも、一見まったく違う領域のように見えるのですが、相互に大きなシナジーが発揮できると考えています。それぞれの事業がシナジーを発揮するかたちで展開していきたいと考えています。

環福連携モデルの実現

今後の重点的な成長戦略です。冒頭からお伝えしているとおり「環福連携モデル」を推進していきたいと思っています。環境に関わるリサイクル事業の「環」と、障がい福祉に関わるソーシャルケア事業の「福」を融合したモデルということです。

もともと、我々が最初に福祉に取り組んだのは、リサイクル事業のパソコン分解工程でした。知的障がいのある方は非常に集中力が高いということで、多くの方に就労していただいています。こちらの取組みから広がって、障がいのある方に仕事だけではなく、グループホームというかたちでお住まいも提供していきたいと思っています。

環福連携モデルの戦略

社会的な課題として、例えば80代の親御さんが50代のお子さんを支える「8050問題」があります。知的・精神障がいのある方で、在宅で過ごされている方は457万人いらっしゃいますが、お子さんが40代から50代になると、ご両親は70代から80代となり、保護者の高齢化が問題になってきています。

我々はリサイクルの仕事とグループホームというお住まいを障がいのある方に提供することで、この問題を解決していきたいと思っています。

成長のポテンシャル

障がい福祉のソーシャルケア事業と連携することで、リサイクル事業が伸び、リサイクル事業と提携することで、ソーシャルケア事業も伸びると考えています。環境と福祉の2つが連携することで、シナジーが大きく発揮されていくと考えています。

我々は環福両方において、目の前に非常に大きなビジネスチャンスが来ていると考えています。特にリサイクル事業は2024年から2025年にかけて、GIGAスクール構想により全国の小中学校に導入されたパソコン750万台の入れ替えによるリサイクル需要が出てくることが予想されます。

この750万台のパソコンの分解作業を通じて、障がいのある方の雇用を1万人、2万人単位で生み出していきたいと考えています。

ソーシャルケア事業については現在8拠点で展開していますが、M&Aを積極的に推進し、そう遠くない時期に一気に1,000拠点の展開を実現したいと思っています。

1万人から2万人単位の雇用とお住まいの提供を考えているのが「環福連携モデル」であり、我々の成長戦略の1丁目1番地として、積極的かつ重点的に取り組んでまいります。

「経営理念」の実現に向けて

我々の経営理念は「ビジネスを通じて“偉大な作品”を創る。」です。収益と社会性が両立したビジネスモデルのことを「作品」という呼び方をしています。「環福連携モデル」というのは、我々の経営理念に掲げる代表的な作品になると考えています。

株主還元の実現に向けて:資本改善への取組み

株主さまへの配当実現のため、資本改善への取組みについても着手しています。2023年9月期の配当開始を目標にしており、連結の純資産を改善しています。

単体利益剰余金のプラス化が必要ということで、現状はマイナスですが、今期末にはなんとかプラスにもっていき、配当を実現したいと考えています。私からのご説明は以上です。

質疑応答:機関投資家とのミーティングの質問について

「機関投資家とのミーティングでは、どのような質問がありましたか?」というご質問です。

今、機関投資家さまのアポイントが徐々に入り始めている段階で、これから具体的に伺う予定を組んでいきます。

ですので、まだご質問はいただいていない状況ですが、「環福連携モデル」を中心に、ご説明していくことになると考えています。

質疑応答:マーケティング投資の規模について

「マーケティング投資は今後、どのような規模で進めていくのでしょうか?」というご質問です。

今は積極的にマーケティング投資をしていますが、もちろん利益を出しながら投資するスタンスですので、大きく利益が減ってしまうような投資はしません。

先ほどご説明したとおり、特にリサイクル事業におけるCMへの投資は、着実に手応えを感じています。これまで年末年始とお盆の繁忙期を中心に、何度かCMを放映してきましたが、そのたびに認知が上がり、反響がより大きくなってきています。

CM投資のデータはしっかりと検証しており、そのような意味では関東エリアに加えて、今後は関西エリア、中部エリアにでもCMに投資していきたいと思っています。収益の拡大を見ながら、上手にコントロールしていきたいと考えています。

質疑応答:片付け需要の後ろ倒しについて

「『片付け需要の後ろ倒し』とは、どのような意味でしょうか?」というご質問です。

リユース事業とリサイクル事業のどちらにおいても、サービスの本質には部屋の片付けがあります。例えば本の買取は、大掃除で本棚を処分する時などに需要が生まれます。パソコンの買取も同様に、部屋に眠っている古いパソコンを大掃除で処分しようと考えた時にお声がかかるわけです。

しかし、年末の大掃除で部屋をすっきりと片付けて、正月をフレッシュな気持ちで迎えることが日本の風習でしたが、ここ数年は年末の忙しい時期にバタバタと片付けるのではなく、年が明けて少し落ち着いてから部屋を片付けるという傾向があり、今年はそのトレンドが特に顕著に出てきています。

そもそも、12月は繁忙期ですので、買取や回収の数字はもちろん上がっているのですが、買取も回収も1月に大きくずれ込み、需要が一段と伸びているということで、12月が悪かったというよりも、需要が後ろにずれて、申込が伸びたというのが足元の状況です。

正月に年賀状を出す風習が薄れているように、時代とともにいろいろなものが変わりますが、大掃除も年明けにゆっくりと取り掛かる方が増えているという傾向があるということです。12月が悪かったというよりも、需要が1月に後ろ倒しになったということです。

また、12月、1月に買い取ったり、回収したりしたものが、今度は売上につながってくるため、売上が1月、2月に上がってきます。引っ越しが非常に多くなる3月も繁忙期ですので、そこでも買取や回収が伸び、1ヶ月か2ヶ月後に売上が伸びてきます。

このような季節のトレンドとなっていますので、年明けと3月以降の売上は、順調に伸ばしていけると考えています。通期についても、今はまだ第1四半期が終わったところですので、キャッチアップは十分に可能だと考えています。

質疑応答:掲示板に寄せられるコメントについて

「前回のライブで掲示板を見ているというコメントがありました。『Yahoo!ファイナンス』の掲示板ではないかと思いますが、どのように感じていますか?」というご質問です。

最近は少し厳しめのコメントが多く、叱咤激励をいただいていると捉え、期待の裏返しとも考えています。ご期待にしっかりとお応えしていきたいと考えています。

「環福連携モデル」についてお話ししましたが、パソコン回収750万台への布石、ソーシャルケア事業1,000拠点への布石をご説明できるタイミングがあると思っています。

第2四半期、第3四半期の中で進捗をご説明し、「なるほど」「このようなことか」と言っていただけるように、鋭意取り組んでいると考えていただけたらと思っています。

質疑応答:配当について

配当に関するご質問をいただきました。

配当開始については、いろいろな手を打っている最中ですので、ここからしっかりとがんばる中で、今期の配当が可能になってくると考えています。

質疑応答:株価下落への対応について

「株価が暴落し500円を割ったことについて、前回の決算で『大変遺憾に思っている』と言っていましたが、いまだにいろいろな話の音沙汰がありません。口だけだったのでしょうか?」というご意見です。

まだ言えないことも多いのですが、しっかりご期待に応える自信があるということだけ、お伝えしておきたいと思います。

質疑応答:地方自治体との連携について

「地方自治体との連携はどのような意味があるのでしょうか? また、CMにこだわる必要はあるのでしょうか?」というご質問です。

こちらも厳しいご意見をいただいたと思います。もちろん、目の前の収益だけを考えれば、このような投資を止めたほうが大きく利益が出ます。しかし株主のみなさまが期待しているのは、今期の目先の数字だけではなく、中期的にしっかりとした足取りで大きく成長をしていくことだと思います。

株価が10パーセントから20パーセント上がることではなく、2倍、3倍、将来的には10倍という水準をご期待いただいていると思いますので、目の前の収益と今後の成長投資のバランスをしっかりと取りながら、投資などの手を打っていきたいと思っています。

そして、この結果がそう遠くないところで業績にもしっかり表れてくると思っています。数字に反映されるようになれば、みなさまにも確信を持っていただけると思います。もう少しお待ちいただき、ご期待いただければ幸いです。

質疑応答:リユース・リサイクル事業の新工場の進捗状況について

「前回のご説明でお話ししていた、リユース事業・リサイクル事業の新工場の進捗状況を教えてください」というご質問です。

現在、東京に新しいセンターの立ち上げを進めていますが、一気に大きなセンターを構えてしまうと、固定費が大きくなりますので、1期工事、2期工事というかたちでステップを踏んで拡張し、固定費をコントロールしています。

第1期はすでに立ち上がっていますが、全面的なオープンではなく、第1次オープンというかたちで、小規模に立ち上げています。ただし実際には、東京都の法人回収が非常に好調だったということもあって、バックヤードはキャパが足りない状況になっています。

すでに市場の需要が高いことは確認していますので、法人回収も含めてしっかりとした手を打てば申込件数は伸びていくと思います。さらに、バックヤードに対しても今後ある程度の先行投資を行い、そちらに見合うマーケティング投資をしながら、2倍から3倍のペースで成長を加速していきたいと考えています。

リサイクル事業は潜在需要が大きいだけに、前年比で10パーセントや15パーセントの伸びでは物足りなく感じますので、先行投資をするかたちで、2倍、3倍のペースで成長を加速できればと思います。

繰り返しになりますが、先行投資をしすぎて赤字になることがないように、しっかりと利益をコントロールしながらトップラインを伸ばして、会社を成長させていきたいと思っています。

質疑応答:カンボジア実習生に対する円安の影響について

「円安傾向に傾いた場合、カンボジアの実習生は日本ではなく他の国を就業機会と選ぶのではないでしょうか?」というご質問です。

カンボジアの所得水準というのはまだ低く、彼らにとって日本の給料は非常に魅力的に映っていますので、日本になかなか人材が集まらず困るということはなく、十分にニーズはあると考えています。

実際のところ、我々のグループの中でも200人から300人が、日本でのオーダーをカンボジアで待機しています。これから積極的に営業をかけていくことで、すでにスタンバイしている200人から300人のカンボジア人を売上につなげていきたいと考えています。このようにたくさんの方々が待機していますので、カンボジアでの人集めに困ることはないと思っています。

質疑応答:通期の経常利益が減益となった理由について

通期の経常利益が減益となった理由についてご質問をいただいています。

前期は為替の差益などが経常利益にかなり効いています。実業の部分では、今期も増益となり伸ばしていますが、この為替益が前期と比べると少なくなっている、もしくはなくなっているところが、計画においての減益要因の1つになっています。実質の事業収益力で言いますと、前期よりも今期のほうがプラスとなる計画です。

質疑応答:2035年までの売上の内訳について

「2035年に売上高1,000億円達成に関し、事業セグメントごとの内訳を教えてください」というご質問です。

具体的な内訳はありませんが、2035年に売上高1,000億円という目標を達成するためには、それぞれの事業をオーガニックで伸ばしていくことはもちろん、M&Aも行う必要があります。

成長には余力がありますが、オーガニックの成長だけでは1,000億円には届かないため、1,000億円ほどの目線を持って積極的にM&Aを行い、成長を加速させていきます。

そのような意味合いでのこの目標ですので、これまでとは違ったかたちで、M&Aによる成長にしっかりと取り組んでいきたいと思っているというふうにご理解いただければと思っています。

質疑応答:積極的なIR活動について

積極的なIR活動についてご要望をいただいています。

今日の午前中も投資家さま向けに情報発信をする仕事を行いました。今もみなさまに集まっていただいていますが、今後もいろいろなかたちで情報発信し、我々の事業や現場を見ていただく機会などを作れればと思っています。また、私の時間も積極的にIRに使っていきたいと考えています。

質疑応答:東京都の法人回収収益の計上時期について

「東京都の法人回収の収益が乗るのは第2四半期でしょうか?」というご質問です。

申込が非常に多く押し寄せて計上が遅れ気味になっています。一部は第2四半期にも計上されますが、おそらく第3四半期にも計上されると思っています。第2四半期ですべて計上されることはないとは思っていますが、いずれにしても通期では東京都の法人回収の収益はすべて売上に上乗せされると考えています。

質疑応答:海外HR事業の自動車整備以外の業種の送り出しの見通しについて

「海外HR事業について、自動車整備以外の業種の送り出しの見通しはいつ頃でしょうか?」というご質問です。

現在、自動車整備士以外に食品加工といったところにも営業を広げており、新たに海外HR事業の営業人材の採用も強化し始め、すでに入社も進んでいます。

このような業界に慣れた人材を営業に投入することにより、これまで少し弱かった海外HR事業の営業面がかなり強化されると思っていますので、今期にはその成果が数字に表れると思っています。

また、IRでもご説明していますが、カンボジア以外にインドネシアでもHR事業を立ち上げたいと思っています。数字としては今期ではないかもしれませんが、しっかりと仕込みの手を打っているところですので、インドネシアでの展開がより具体的になりましたら、四半期ごとのIR説明会の中でも随時ご説明できればと思います。

質疑応答:M&Aの資金調達方法について

「M&Aをするには資金が必要ですが、ワラントでの調達はなるべく避けてほしい」というご意見です。

我々としても、今の株価水準でのワラントでの調達はまったく考えていません。銀行を中心に資金を調達し、M&Aを進めていきたいと思っています。

質疑応答:動画のアーカイブ配信について

「ライブ動画について、後ほどアーカイブで見られるように対応してもらえないでしょうか?」というご意見です。

今回も、アーカイブ動画だけでなく、文字での書き起こしも発表しますので、そちらのほうもご覧いただければと思います。

黒田氏からのご挨拶

「厳しい意見もありましたが、がんばってください」というお声をいただきました。ありがとうございます。

株価がしばらく低迷していることで、株主のみなさまにはご心配およびご懸念いただいているところだと思います。冒頭にもお話ししましたが、今期の我々は「環福連携モデル」という新たな成長戦略をよりかたちにしていく時期だと思っています。

この2年間は2020年に金融事業で出した特別損失の処理に追われてきましたが、こちらが一段落し、「環福連携モデル」という非常に期待できる骨太な成長戦略に向けて、具体的な仕込みを行っている最中です。そのため、今期にはいろいろなかたちで発表できるのではないかと思っています。

そのような発表を通じて、これまでお話ししてきた「環福連携モデル」などの成長に手応えを感じていただき、そう遠くない未来にみなさまにもしっかりとご理解いただけるようなかたちでご説明できるのではないかと思っています。

今後もいろいろなご意見をしっかりと受け止めながら取り組んでいきたいと思っていますので、引き続きご期待、ご支援のほどよろしくお願いいたします。以上で本日の説明会を終わります。お忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございました。

記事提供: