2023年2月14日に発表された、株式会社グラッドキューブ2022年12月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社グラッドキューブ 代表取締役 CEO 金島弘樹 氏

目次

金島弘樹氏:これより、2022年12月期通期決算発表を行います。まずは、2022年12月期決算ハイライト、次に、SaaS事業、マーケティングソリューション事業、SPAIA事業の事業別業績推移、最後に、今後の成長戦略に関する事項についてご説明します。

事業概要 ビジネスモデル

まず、当社を理解していただくために、ビジネスモデルについてご説明します。主要3事業を展開し、デジタルマーケティングによる解析と開発の強みを活かして成長し続けています。

1つ目は、非常に伸びているSaaS事業です。この事業では、ヒートマップやA/Bテストなどを行うWebサイト解析ツール「SiTest」、Webサイトのサイトスピードを高速化させる「FasTest」という2つのサービスを展開しています。

2つ目は、インターネット広告代理店事業を行う、マーケティングソリューション事業です。この事業では、インターネット広告の代理からサイト及び動画の制作など、さまざまなクリエイティブを手掛けています。

3つ目は、SPAIA事業です。スポーツの「SP」、人工知能の「AI」、アナライズの「A」を足して「SPAIA」と呼びます。この事業では、プロ野球、Jリーグ、Bリーグ、公営競技など、さまざまなスポーツのデータを駆使してデータドリブンし、エンドユーザーに提供しています。

2022年12月期 通期決算 ハイライト

通期決算ハイライトです。2022年度(1月から12月)までの実績は、すべて過去最高を達成しました。上方修正は行わなかったものの、概ね予算と合致したことになります。売上高は14億8,000万円、前年同期比121.8パーセント、営業利益は4億6,100万円、前年同期比158パーセント、経常利益は4億5,500万円、前年同期比152.6パーセントとなりました。

成長ドライバーであるSaaS事業が牽引し、第1四半期のマーケティングソリューション事業の好調も相まり、売上高、営業利益、経常利益すべての項目において過去最高を記録しています。また、営業利益率は前期の24パーセントから当期の31.1パーセントへ、大幅にアップしています。

第4四半期 通期決算 ハイライト 業績推移

業績推移です。スライドに、売上高、営業利益、経常利益をそれぞれ棒グラフで表しています。特に2022年度第1四半期は、マーケティングソリューション事業の好調が相まり、売上高が非常に大きく伸びています。全体的に見ると、第2四半期、第3四半期、第4四半期も、前期と比較してしっかりと成長しています。

2022年12月期 通期決算 ハイライト(事業別)

事業別の通期決算ハイライトです。スライド右側の図は、事業ポートフォリオの変遷です。それぞれ、青色がマーケティングソリューション事業、緑色がSaaS事業、黄色がSPAIA事業で、一番下の円が2020年度、中央の円が2021年度、一番上の円が2022年度を示しています。

マーケティングソリューション事業は、2020年度が60.3パーセント、2022年度が50.5パーセントとなっています。SaaS事業は、2020年度が31.7パーセント、2021年度が35.5パーセント、2022年度が39.2パーセントと成長しています。

SPAIA事業は、2020年度が8パーセント、2021年度が8.8パーセント、2022年度が10.3パーセントとなりました。全体的にも非常に成長しています。

続いて、スライド左側をご覧ください。事業別の売上高は、SaaS事業が前年比134.2パーセント、マーケティングソリューション事業が前年比110.5パーセント、SPAIA事業が前年比143.5パーセントで着地しました。

2022年12月期 売上高四半期推移

売上高四半期推移です。先ほどのマーケティングソリューション事業などの数値に近いですが、全体的に見ると、非常に堅調に成長しています。

前年同期比営業利益分析

前年同期比営業利益分析です。プラス要因は、SaaS事業の売上増加による影響がもっとも大きく、続いて、マーケティングソリューション事業の成長が挙げられます。

マイナス要因は、人材投資による人件費の増加がもっとも大きいですが、必要な投資として、2023年度も引き続き行います。また、売上原価は制作案件の増加により、広告予算、外注費が増加となりました。

当社の強み 類似業界の中でもトップクラスの営業利益率

当社の強みです。投資家のみなさまはご存知かもしれませんが、類似企業や競合他社の中でも、我々の営業利益率は、業界トップクラスです。スライドに記載している2つのグラフをご覧ください。左側の緑色のグラフはビジネスアナリティクス市場領域、右側の青いグラフはデジタルマーケティング領域です。どちらも大手企業などと比較しています。

ビジネスアナリティクス市場領域では、強い企業でも営業利益率は40.9パーセントです。次に高い企業でも16パーセントと言われています。一方で、我々は60.8パーセントと業界内でも最高水準です。また、デジタルマーケティング領域においても59.7パーセントと、同じく業界内の最高水準を誇っています。

2022年12月期 通期決算

2022年12月期通期決算の損益計算書は、スライドに記載したとおりです。

2022年12月期 通期決算

2022年12月期通期決算の貸借対照表についても、スライドをご確認ください。

業績

SaaS事業から事業別業績推移をご説明します。まず、スライドをご覧ください。売上高、営業利益、営業利益率をそれぞれ左から順番に、棒グラフと線グラフで表しました。売上高に関しては、過去最高となっています。営業利益率は、2020年度から3期を比較すると、一時期は下がっていますが、常に右肩上がりとなっています。

SaaS事業 SiTest KPIの推移

SiTest KPIの推移をご説明します。スライド左上のグラフは、四半期ごとのLTV/CACの平均値推移を示しており、2022年度の第4四半期は3.6倍でした。年度末に展示会の出展を行ったため、コストが少し増加し、リターンが減っています。しかし、平均すると6倍から8倍のリターンを得ています。

スライド右上のグラフは、四半期ごとの平均解約率推移(Net Revenue Churn Rate)を示しており、2022年度の第4四半期は3.8パーセントとなりました。10月と12月に大型案件がダウングレード及び停止したことがこちらの数字の要因ですが、自社からの解約率は、平均で1パーセントを切っています。

スライド左下のグラフは四半期ごとの平均単価推移です。2022年9月28日に上場した際、ここの部分を強化したいとお話ししました。少し見にくいかもしれませんが、平均単価は9万円を超えることができました。今後はこちらをさらに強化し、平均単価を15万円まで伸ばしていけるよう、売上増大を図ります。

スライド右下のグラフは四半期ごとの平均稼働アカウント数推移です。平均単価とともにアカウント数も、過去最高となりました。「SiTest」のアカウント数が増加していますが、今後は「FasTest」の新プロダクトでもアカウント数を伸ばす取り組みを行います。

業績

マーケティングソリューション事業の業績についてご説明します。スライドには、売上高、営業利益、営業利益率を示すグラフを記載しています。インターネット広告代理店事業を行うマーケティングソリューション事業は、年末に向けて季節要因で広告費に影響が出るため、大手の3月決算に際して売上が多く上がるのが特徴です。

また、昨年クリエイティブチームを発足しました。こちらの人材を多く採用したことにより、制作案件の売上は堅調に推移しています。これにより営業利益率は、54.3パーセントとなりました。

業績

広告取扱高(媒体費)についてご説明します。「Google広告」「Yahoo!広告」「LINE広告」などの媒体費を取り扱っているグラフです。合計で約45億円の取扱高となっています。

最大手となると、数100億円、数1,000億円となってきますが、我々も堅調に推移しています。今後はM&Aなども含めて、売上高の増加に向けてしっかりと地盤を固めていきます。

業績

SPAIA事業についてご説明します。売上高の通期予想進捗率は94.21パーセントで、予算より少しマイナスとなりましたが、上場後に上場キャンペーンとして「SPAIA競馬」のサブスクリプション費用を半額にしました。その成果が非常に高かったため、半額のまま推進することにしました。

そのため、売上高は下がっています。しかし、我々の公営競技参入時期は約30年も後発となっています。そのような背景もあり、投資家のみなさまが着目されている売上を伸ばすことももちろん大切ですが、ユーザー数を多く獲得してシェアNo.1を目指すことが、非常に重要だと考えています。

今後はAIの「ChatGPT」やブロックチェーンといったさまざまな技術を用いて、新しい見せ方で、スポーツや公営競技を楽しんでいただけるようにしたいと思います。引き続き、開発や人材投資を行っていきます。

今後の成⻑戦略

今後の成長戦略に関する事項をご説明します。本日、2023年2月14日時点では、基本的な成長戦略のみをお伝えします。今後の成長戦略については、同年2月22日に開示する「事業計画及び成長可能性に関する事項」に記載し、詳細をご説明します。

それでは、SaaS事業の今後の成長戦略についてご説明します。サイトの解析や改善ツールのプラットフォーム化を目指し、引き続き顧客の新規開拓を促進します。特に、Webサイトに導入するだけで、閲覧速度が早くなる「FasTest」は、まだ競合他社がいないため、いち早くユーザー数を増やしていきたいと思っています。

さらに、新プロダクトとして、動画の解析やテストをする「MoVest」も現在鋭意開発中で、リリースは2023年12月期以降の予定です。

今後の成⻑戦略

マーケティングソリューション事業の今後の成長戦略です。右側のグラフをご覧ください。四半期ごとの平均クロスセル売上比率を線グラフで表しています。「SiTest」や「FasTest」を利用されているお客さまは、「Webサイトの解析やサイトスピードの改善」を望んでいます。そして、そのようなお客さまは広告を行っており、「費用対効果を高め、売上を伸ばしたい」という目的で解析を行います。

我々は、この両方をサービスとして提供することが可能です。他社からのスイッチや、新しい提案を行うことによって、お客さまの2つの課題解決に向け、当社単独でサポートすることができます。これにより事業シナジーが生まれるため、広告と「SiTest」「FasTest」の両方を同時に利用されているお客さまの比率は、全体で43.8パーセントと過去最高を記録しています。

今後の成⻑戦略

SPAIAの今後の成長戦略は、スライドに記載の通り1番から6番までありますが、特に「SPAIA競馬」に付随した新サービスを提供していきます。

地方競馬を新しくローンチしましたが、現在は競艇、競輪、オートレースなど、公営競技に関して、新しい見せ方、予想の仕方、分析の仕方など、予測によって新しく楽しめるように進めています。さまざまな企業とパートナーシップを結んだり、ジョイントベンチャーを行ったりすることに加え、M&Aなども考えています。

続いて「SPAIA競馬」のUI/UXの改善です。Webの世界では使い勝手が非常に重要になってくるため、「使いやすさと体験価値をいかにして上げていくか」を追求しています。約30年後発の我々にとっては非常にチャレンジングなことですが、お客さまに一層AIと触れ合っていただくことや、競馬または公営競技、そして、野球、サッカー、バスケなどの新しい見方をを知ることによって体験価値を高め、スポーツの新しい考え方や取り組み方を、我々がどんどん変えていきたいと思っています。

その他、AI予想家の精度向上や有料会員向けコンテンツ強化などもありますが、もう間もなく「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(通称WBC)」が開催されるため、「一球速報」や海外のデータなど、さまざまなものをリリースする予定です。

これらのデータや、通常のJリーグ、Bリーグ、プロ野球などのデータを、多くの新聞社やWebメディアなどのマスメディアに対してウィジェット提供をしています。このウィジェット提供をさらに広げていくことで、売上もBtoBとして強化されていくと見込んでいます。

スライド右側のグラフに関しては、「SPAIA競馬」に絞りましたが、今期に20万ユーザーの伸びを予測しています。

経営資源・従業員数の推移

非常に注目されているのがこの経営資源・従業員の推移です。昨今、ESGやSDGsへの取り組みについての意識が非常に高まっていますので、スライドには2018年度から2022年度まで5期にわたり、男性と女性の従業員数推移を載せています。

現時点での女性活躍状況に関しては、社外取締役や社外監査役も入れて役員比率は22パーセント、常勤役員比率は50パーセントです。正社員比率は全体で32パーセント、女性管理職比率は21パーセント、課長以上のマネージャー比率は8パーセント、係長以上のリーダー比率は25パーセントです。

我々は、業界の中でもいち早く女性の活躍する場所を求めてきました。私は、「男性、女性というくくりを設けず、性別、年齢、国籍、学歴などによる差別を排除する」と以前から言い続けてきました。そのため、多国籍で年齢やキャリアも関係なく、多様な文化を持つ社員が、仕事に一生懸命取り組んでくれています。

2030年に向けた目標と成長イメージ

2030年に向けた目標と成長イメージです。2030年には少なくとも売上高100億円を超えることを目指しています。想定している新たなビジネスモデルでは、Google社から発表された「Bard」や、対話型のオープンAIの「ChatGPT」をさまざまなサービスに導入することを現在推進しています。

また、独自のスポーツデータの構築により、データセンターの構築も視野に入れています。新たな公営競技に向けたサービスのリリースやそれらの海外展開、そして積極的なM&Aを検討しています。M&Aに関しては、すでに複数社とお話を始めているところです。

これらの事業シナジーにより、連結決算も含め売上高100億円以上を目指していきたいと強く考えていますので、ぜひともグラッドキューブを応援してください。ご清聴ありがとうございました。

記事提供: