5. 働き盛りが考えたい「資産形成・3つのポイント」
さきほどのデータを見ると、「65歳以上・無職世帯」の貯蓄の約7割が、預貯金でキープされていることがわかりました。
ここからは、働き盛り世代が老後を見据えた資産形成を進めていくなかで大切な「3つのポイント」についてお話ししていきます。
5.1 資産形成のポイント1. 目標を明確にする
「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」といった非課税制度によって資産運用へのハードルが低くなっています。これらの制度を活用して投資を始めた方もいるでしょう。
ここで大切になるのが、「何のために資産を作るのか」という目的を明確にすることです。目標金額や、使用目的などをはっきり持つことで、資産づくりへのモチベーションも高まります。
自宅のリフォーム資金、お子さんの進学費用、家族の介護費用など、その目的は人それぞれでしょう。
5.2 資産形成のポイント2. すべての情報を鵜呑みにしない
本やインターネットの情報はあくまでも発信者が万人に向けた情報です。
情報を受け取る側の、家族状況や収入、リスクの許容度などは人それぞれです。よって、最適な金融商品や運用スタイルも人によって異なります。
多くの情報に触れることができます過多の時代、惑わされそうになりますが一旦自分に照らし合わせてみるようにしましょう。
5.3 資産形成のポイント3. 余裕資金で長期積立投資をする
資産形成をする上で投資は大切ですが、投資は元本保証ではないためリスクが伴います。「使いたい時」に元本割れを起こしていれば、損した状態で解約することになりかねません。
「生活費」や「万が一のときに備えるお金」「余裕資金」など、お金を色分けしておくことが必要です。
毎月貯金できるお金の中から投資できるお金を拠出し、「貯金」と「投資」を区別して管理しましょう。
仮に月3万円を30年積み立てれば元金が1080万円になります。これを年率5%で最初から運用できていたら約2500万円に到達します。
もちろんリスクも伴いますが、世界株式の過去100年の平均利回りはおよそ7%なので、5%で考えたとも積立投資は効果的な資産形成方法といえます。
投資は長期積立することによりリスクを軽減する効果があります。資産の配分を考えながら、リスクとうまく付き合う方法を見つけましょう。
まとめ
今回は、平均寿命の推移、シニアの就業率、そして65歳以上の「年金エイジ」世帯の年金や貯蓄事情を眺めた後、現役世代が知っておきたい資産づくりのポイントについてお話をしました。
預貯金と投資を上手に組み合わせることで、資産を守りながら育てていけると良いですね。iDeCoやつみたてNISAなどの活用を検討するのも一案です。最適な資産づくりのスタイルを見つけるために、まずは情報収集からスタートしてみましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」(2022年7月29日公表)
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」
田中 友梨