かつては、生きているうちに自分が死んだ後のことを考えることはあまりありませんでした。
ここ最近になり「終活」という言葉が生まれ、自らの人生の終わりに向けて準備する方も増えてきました。
終活として考えるべきものには、介護、財産負債などのこと、自身のパソコンのデータやパスワード整理、終末医療の方針、葬儀・埋葬の仕方などさまざまなものがあります。
そんな中、核家族化、生涯独身のおひとりさまの増加などもあり、死んだあと遺骨を埋葬するお墓は本当に必要なのかと考える人も増えています。
全石協が行った「「老後のお墓についての心配事」についてのアンケート調査では、お墓の心配事として「お墓を維持すること42.8%」、「お墓についての心配事はない 29.4%」、「お墓をしまう事 22.7%」と続きました(2023年1月18日公表)。
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出所:全石協「「老後のお墓についての心配事」についてのアンケート調査」
今回は、多様化する埋葬方法と「お墓は必要か?」について考えてみましょう。
なぜ、お墓を「本当に必要?」と思うのか
故人のご遺骨をお墓に納骨して、供養するというのが一般的ですが、最近では「お墓は本当に必要?」と考え、他の方法を検討する人もいます。
なぜそう考えるようになったのか、理由は次の2つがあげられます。
お墓が本当に必要?と思う理由1:お墓を承継する人がいない
お墓を継ぐ人がいれば安心ですが、子どもがいない夫婦や生涯おひとりさまの方など、子どもがいないというケースが増えてきました。
その場合、お墓の管理を頼める身内がいないことは既に分かっていることなので、自分が死んでしまった後のことが心配になり「管理できないお墓は本当に必要?」と思ってしまうのも頷けます。
お墓が本当に必要?と思う理由2:子どもにお墓の管理を負担させたくない
「お墓は本当に必要?」と思うのは、配偶者や子供がいない方だけではありません。
たとえば、子どもが都会に住んでいて、地元には戻らないことが予測できれば、お墓の管理を頼むことは難しいでしょう。
子どもが若いうちは、気軽に帰省できても、高齢になればお墓参りが負担となり、管理が難しくなるかもしれません。
先々を考えれば「お墓はいらないかも…」と思ってしまうのでしょう。
お墓以外の供養のしかた
かつては故人のご遺骨をお墓に納骨して、供養するのが一般的でした。
しかし、最近では
- 子供が離れて暮らしているのでなかなか帰省できない
- 生涯独身なので子供がいない
など、お墓の継承・管理が難しくなっているケースが増えてきました。そのため、お墓という形式にこだわらない、下記のような供養の方法を選択できるようになりました。
樹木葬
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土にご遺骨を埋め、そこに樹木や花を植える埋葬方法です。
お墓を購入する必要がなく、その分費用が安く抑えられます。また、埋葬後は承継者による掃除や管理などの手間がないのがメリットです。
サクラ、ヤマツツジ、サルスベリ、ハナミズキなど自分が好きな樹木を選ぶことができます。
寺院などの境内、霊園の中、山林など、いろんな場所があります。自分の死後は、土に還りたいという思いのある方などが選択されます。
納骨堂
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納骨堂は、建物の中に故人のご遺骨を納める場所を備えたものをいいます。
おもに、寺院、霊園などが管理しています。立地がアクセスの良い場所にある点、お墓の掃除や管理などに手間がかからない点がメリットといえます。
納骨堂にはいろんなタイプのものがあります。
たとえば、コインロッカーのような扉付きの棚に個別に納骨されているもの、ICカードをかざせば参拝ブースに遺骨が自動搬送されるもの、建物の中に墓石を用意するもの、契約単位ごとに仏壇が用意されているものなどがあります。
永代供養墓
永代供養墓では、お墓を承継・管理する人がいない場合、霊園や寺院にあらかじめ申し込んでおくと、遺族に代わって供養・管理をしてくれるシステムになっています。
永代供養墓には、納骨堂や樹木葬、他の方の遺骨と一緒に納骨する合祀墓などがあります。
散骨
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故人の遺骨を粉末状にして、海・空・山などに向かって撒くものです。
国内外の有名人・著名人の中に、散骨を選んだ方は多くいますので、ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
散骨は、どこでもできるわけではなく、場所は限られています。そのため、一般的には散骨を行う場合は専門業者に依頼します。
手元供養
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手元供養とは、遺骨を小さな骨壺に入れて、仏壇と一緒に手元で管理する供養法です。仏壇も、一般的なものよりも小型の手元供養用の仏壇を使います。
遺骨がすべて骨壺に入らないため、骨壷に入らなかった遺骨を海や空、山中に散骨するか、樹木葬等をするか、他の方法もあわせて検討することになります。
後継者がいないケースが増えてきているという状況にあわせ、さまざまな供養方法が考え出され、これからますます増えていくのではないでしょうか。
選択肢が増えれば、生きているうちに、自身の死後を考える機会が増えるでしょう。
そうなれば、もしかしたら、後継者がいる場合でも、今までと違う方法での埋葬を希望するケースが出てくるかもしれません。
その場合、今まであったお墓を「墓じまい」する必要があります。次は、墓じまいの注意点について説明します。
墓じまいの注意点
墓じまいには2つの工程があります。
今までのお墓を解体・撤去して、その使用権を墓地の管理者である寺院、霊園に返還すること。次に、新しい納骨先を準備することです。
お墓には、先祖代々継承してきたお墓、両親のみが眠っている一代だけのお墓、いろいろなケースがあります。
どんな場合でも、関係者が多くいるはずです。「墓じまい」を、1家族、もしくは個人だけで決めてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。
連絡できる親族に連絡を取り、「墓じまい」についての説明とあわせて承諾をもらう必要があります。
墓じまいは、事前の家族・親族との話し合い、費用の見積もり、諸々の手続き、新しい納骨先の選択などがあり、時間も手間もかかります。
お墓が本当に必要?と思ったら、親・子など身近な人と話し合いを始めましょう。
お互いの価値観をすり合わせ、業者などの見積もりも複数もらいながら、今後のことを検討することが大切です。
【終活】お墓について考える
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終活の一環としてお墓を考えるとき、形式にとらわれることなく、個人の意思で供養法を選択することができます。
どんなときでも、関わる人々との話し合いが大切です。
今すぐに決められるものではないので、長期目線で、さまざまな情報を参考にしながら考えましょう。
参考資料
舟本 美子
