3.3 「資産の使い道」を意識して、お金を色分けする
退職金を受け取ったら、資産運用で増やす計画を立てている世帯も多いでしょう。資産運用(投資)は、お金を効率よく増やす手段ではありますが、もちろん元本割れリスクが伴う点は忘れてはなりません。
そこで大切なのは、資産運用を始める前に、使い道別に「お金の色分け」をしておくことです。
- 「使うお金」生活費など、日々必要なお金、使う予定の決まっているお金
- 「備えるお金」将来の医療・介護への備え、大切な家族に遺したいお金
- 「増やすお金」当面の間、使い道が決まってないお金
「使うお金」の好例は、子どもの教育費や住宅ローンなどですね。使う時期がある程度決まっていることもあり、目標は立てやすいものの、大きなリスクにさらすことは避けたほうが良さそうです。
引き出しやすさを重視して、銀行などの預貯金で確保しておけると安心ですね。
「備えるお金」は、突然の病気や失業などに備える資金です。加入中の保険商品の保障内容を確認しておきましょう。長期入院が必要になったり、要介護状態になったりした場合、ご自身や家族の負担を少しでも減らせるよう、対策しておけるとよいですね。
「使うお金」と「備えるお金」の色分けが済んだら、「増やすお金」の準備です。投資信託や債券、株式などの変動商品があげられます。これらの商品には元本保証はありません。運用期間を長くとり、リスクを抑えながらリターンを安定させていけるとよいですね。
4. まとめにかえて
今回は、リタイヤ前のラストスパートともいえる、50歳代世帯の貯蓄事情をながめていきましたが、貯蓄がまったくない世帯は全体の約23.2%を占めていました。
「お金を貯めやすい時期・貯めにくい時期」は、世帯によって異なります。子どもの教育費や住宅ローンの支払いから解放されたら、老後資金をいっきに貯めていくつもり、という世帯も多いでしょう。
老後資金は「いつから・いくら」必要となるかが見えにくい項目ではあります。まずは、ねんきんネットやねんきん定期便でご自身の年金額を把握し、貯蓄目標を立ててみるとよいでしょう。
家計管理へのモチベーションも上がり、暮らしのスリム化に繋げていけるかもしれません。
参考資料
宮内 勇資