7月に入り、夏のバーゲンが本格化しています。しかし、お得な買い物ができるこの季節が東京で大手メーカーに勤めるAさん(30代・男性)には憂鬱の種。その原因は、昨年大阪支店から赴任してきた関西出身の部長(50代・男性)です。

決してトラブルがあるわけではありません。実はこの関西人上司、何かと買ったものを自慢してくるのです。それも単なる自慢に留まりません。必ず「これ、いくらやった(何円だった)と思う?」と値段当てクイズを仕掛けてくること、これがAさんを困惑させているのです。

関西人上司の“困った習性”に悩む東京人の部下

「初めて一緒に外回りをした時に、何か会話しようと鞄をほめたのが始まりです。部長は『そうやろ、いいやろ!』と大喜び。そこまではよかったのですが…」(Aさん)。

Aさんによれば、そこから部長の自慢が始まったのだそうです。

部長『ゴルフの帰りに寄ったアウトレットでな。あそこ、Xっていうブランドがあるやろ』

Aさん「そうでしたっけ(知らないけど…)」

部長『そこに置いてあってな。これ、シンプルでいかにもブランドって感じでもないし、いいやろ?』

Aさん「ええ、そうですね(はい、と答えるのを強要されている気がする…)」

部長『しかも、定価17万円のところ、なんと79,800円!』

Aさん「へえ、すごく安いじゃないですか!(買った値段、言っちゃうんだ!?)」

部長『それが、フフフ。ホンマに、ホンマにたまたま、さらに割引になっててな。なあ、いくらやったと思う?』

Aさん「え?えっと…」

――Aさんはため息まじりに当時を振り返ります。「僕、あてずっぽうで3万円くらいですか?って答えたんですよ。そうしたら『そんな安くなるわけないやろ』あからさまに機嫌が悪くなって。正解は59,800円だったらしいんですけどね。そんなの僕に関係ないじゃないですか。その後も聞きもしないのに『これいくらやったと思う?』って迫ってくるんですよ。仕事では尊敬できるいい上司なんですが…」。

“いいもの”を“安く”買えるとうれしい関西人。でも値段当てには困っている?

これまで周囲ではこうした会話はほとんどなかったとAさんは言います。実際に東京で生まれ育った人だと「買ったものの値段など、上司や同僚やもちろん友人との話題にも上らない」ということが多いのではないでしょうか。

「関西人の物を買う基準って安さだけなんですかね?それが自慢になるのがイマイチ理解できない」(Aさん)。

一方、関西人同士なら、どうでしょう。友人や家族との間などで、実は割とよく聞くという人も多いのではないでしょうか。では皆が“値段当てクイズ”も好きなのか、と言えばそうとも言い切れません。生まれも育ちも神戸で、現在の勤務先は大阪だというBさん(30代・女性)は「私もね、うれしいと値段を言ってしまうんですよ、ついつい。でも、正直なところ値段当てクイズは苦手ですね」と苦笑いします。

Bさんは、関西人がよくするこの種の話題では、言い方にも2種類あるといいます。「多いのは、最初に買った値段を言うタイプ。『それどうしたん?』『いいやろ? 500円!』というような、今ひとつ噛み合わないやり取りになることもありますね(笑)。あとは『いくらと思う?』というように値段当てを仕掛けてくるタイプ。

どちらも“いいもの”を“安く”買えたことがうれしいんです。でも、値段当てを迫ってくる人には“目利きの良さ”をほめてほしいとか自慢したいとか、そんな気持ちをより強く感じます」。

そのBさんも値段当てが好きなタイプが目上にいると苦労するといいます。「目上には基本的に気を遣いますよ。安すぎても高すぎても目利きが悪いって言ってるようだし、当ててしまうと誰でもわかる程度だよ、となるので。私はあえて自分の予想より少し高めに答えます。(人が思うより安くいいものが買えて)すごいねって言われたい、相手にとってはただそれだけなんでしょうけど…正直なところ、面倒です」(Bさん)。

では、冒頭のAさんのケースなら、Bさんは何と答えるのでしょうか。Bさんは「私なら75,000円ですね。いい関係が前提にあって攻めるなら69,800円くらい」。とポツリ。

ここまでする?というようなことでも、やはり上司には相当気を遣うようです。

まとめ

関西人がお得好きだというのはよく言われていますが、中でも“買った値段”を強調する関西人には目利きの良さに関する自信もありそうです。見方を変えればバーゲンの季節は、お得情報を共有してくれてラッキーということもあるかもしれませんね。

余談ですが、還付金詐欺被害に最も遭っているのは全国でも大阪府民だというデータもあります。どなたもうますぎるお得話にはくれぐれもご注意を!

LIMO編集部