ベネッセコーポレーションの顧客情報が名簿業者を通じて流出した問題も起こりました。不動産投資会社も素性のわからない名簿を使うことはリスクになります。

また、投資を検討している人でも、いきなり自宅に「アパート経営に興味がありませんか」と電話がかかってきたら敬遠するでしょう。さらに、2011年には宅建業法が改正され、「契約をしない旨の意思などの表示があった場合の再勧誘」などが禁止されています(ただし、初回は電話などで勧誘できます)。

ターゲットへの直接アプローチが難しくなっていることから、不動産投資会社では、新聞や雑誌、インターネットの広告などにシフトし新規顧客を獲得してきました。さらに、単に物件の訴求をするのではなく、資産運用のための情報提供や有名人の講演などとセットにしたセミナーを開催するところが増えています。

若い人の関心の高さや住宅ローンの低金利も追い風

もちろん、個人情報保護法が施行されて何年にもなります。ここにきて不動産投資会社がインターネット広告に力を入れている理由は。投資家候補が若くなっていることです。

かつて、アパート経営やワンルームマンション投資に関心のある人は、一定の資産を持っている富裕層か、株式投資や商品先物取引などの経験のある人が中心でした。

最近では、公的年金の不安などから、20代、30代の若い人や独身の女性などもアパート経営やワンルームマンション投資に関心を持つようになっています。株式投資などでは一定の資金が必要ですが、アパート経営やワンルームマンション投資なら、自分の与信を利用して大きな資金が借りられるからです。

これらの若い人は年収が低いことがネックでしたが、マイナス金利政策もあって、ローン金利がかなり安くなっており、買えるようになっています。

最近は、アパート経営やワンルームマンション投資が活況で、不動産投資会社の業績も伸びています。しかし、どの物件でもいいというわけではありません。少子化傾向もあって、ニーズのない(人口が減っている)地域や沿線では、入居者を集めることが年々厳しくなります。将来のリスクも含めて冷静な判断も大切です。

上山 光一