2. 60歳代の年金相談

60歳代の相談は、「65歳から年金を受け取るべきか」「繰り上げ、繰り下げしたほうが良いですか?」の相談もありますが、働きながら受け取る在職老齢年金の相談が多くなっています。

2.1 在職老齢年金とは

在職老齢年金とは、厚生年金に加入して働きながら、受け取る年金のことです。

まず、60歳以降に厚生年金に加入して働くかどうかで変わります。自営業で働いたり、厚生年金に加入せずにアルバイトをする方は影響ありません。

2.2 働きながら受け取る年金

2022年4月以降、65歳未満の在職老齢年金は、65歳以上の方と同じように「年金」+「給与・賞与」が一定額までは支給停止が行われないよう緩和されました。

出所:日本年金機構「令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました」

「総報酬月額相当額」と「老齢厚生年金の基本月額」といわれるのですが、わかりやすくお伝えすると、「総報酬月額相当額」とは、直近1年間にもらったボーナスを12で割った金額+月額給与のことです。

具体的には、1年間のボーナスの合計が30万円、月額給与が20万円の方は、

30万円 ÷ 12ヶ月  +  20万円 = 22万5000円が、総報酬月額相当額となります。

「老齢厚生年金の基本月額」は、年金額を12で割った金額です。

老齢厚生年金を年間で120万円受け取っている方は、

120万円 ÷ 12ヶ月 = 10万円 が、老齢厚生年金の基本月額となります。

総報酬月額相当額 + 老齢厚生年金の基本月額は、22万5000円+10万円=32万5000円なので、このケースでは年金額の支給停止に該当しません。

2.3 総報酬月額相当額や年金月額が多い場合

年金が支給停止となる金額は、次の計算式で求められます。

  • (総報酬月額相当額+老齢厚生年金の基本月額 - 47万円)× 1/2

たとえば総報酬月額相当額 40万円、老齢厚生年金の基本月額15万円の場合

  • (40万円 + 15万円 - 47万円) × 1/2 = 4万円

これにより、4万円が厚生年金から支給停止になります。

わかりやすくお伝えすると、40万円+15万円で55万円となります。47万円を超えている8万円の半分「4万円」の厚生年金が支給停止となるということです。

手取りとしては、

給与 + 年金11万円(年金基本月額15万円 – 支給停止4万円)です。

給与は支給停止されないため、全額が受け取れます。