日銀の金融政策決定を受けて、日経平均は大幅に下落
2022年12月23日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比272円62銭安の2万6235円25銭となりました。
前日に米株式市場でハイテク株が下落したことを受けて東京市場も半導体関連銘柄などが売られました。ただし、売り一巡後は押し目買いも入りました。
日経平均は先週、終値ベースで2万6000円割れに迫るほど、大きく下げました。要因は日銀の緩和修正です。
2022年12月20日まで開かれていた金融政策決定会合で、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%程度へ広げることを決めました。
これまで日銀は現状の金融政策を維持すると発表し続けていたことから、市場ではサプライズとなり、金融関連株以外の多くの銘柄が売られ、全面安となりました。
今週の動きはどうなるでしょうか。
2022年の取引最終日(大納会)は12月30日(金)です。2023年の最初の取引日(大発会)は1月4日(水)です。
「掉尾の一振(とうびのいっしん)」という格言もあり、株式相場では通常、年末にかけて株価が上昇する傾向があります。
ただ、今年はなかなか厳しいかもしれません。世界的な金融引き締めと景気後退懸念が広がっています。米国株は下落局面に差し掛かっています。
国内株はこれまで、これらの世界的な潮流にもかかわらず底堅い展開を続けてきましたが、今回の金融政策決定会合で長期金利の変動許容幅の拡大を決めたことで、日本でも金融引き締めに転じる可能性が高くなってきました。
物価も上昇しており、インフレも懸念されます。
このような状況が続くと、国内でも景気後退が進み、株価の下値圧力が高まります。
2023年に株式市場が好転するためには、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを行うなど、金融政策の大きな転換が必要かもしれません。
日本株は引き続き、米国の金利動向や株価に振られる展開が続きそうです。
難しい相場が続きますが、投資家にとってはその中でどう投資戦略を立て実行するかが問われるようになるでしょう。
主要な移動平均線を割り込み、大幅に下落
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。
前週はローソク足の実体が75日移動平均線付近まで下落していたことから、先週はこれを維持できるかどうかがポイントでした。
実際には、週初の2022年12月19日(月曜日)には窓をあけて下落して寄り付きました。
しかし引けにかけては200日線付近で下げ止まり反発の気配も見せていました。
ところが、翌20日(火曜日)には、200日線を割り込むと一気に下落、大きな陰線となりました。
その後も週末にかけて軟調で、一時は2万6106円と、2万6000円割れ直前まで下げました。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。
チャートの形はよくありません。25日線、75日線、200日線という主要な移動平均線をすべて割ってしまいました。また、いずれの移動平均線も下降しています。
今後の方向性としては、まずはこのまま下落が続くことが考えられます。
ただし、2万5500円付近はこれまで何度も下げ止まっていることから、このあたりでもみ合ったり、ここから反発することも考えられます。
振り返ってみれば、2022年の相場は、1月5日の高値(2万9388円)と3月9日の安値(2万4681円)の間でレンジのように上下する動きでした。
その意味では足元の下落も、押し目買いの好機ととらえることもできます。
2万5500円付近での下げ止まりを確認することができれば、反発も期待できます。
逆に2万5000円を割るようであれば注意が必要ですが、これまで売買が積みあがっていることもあり、この付近でもみ合うことも考えられます。
参考資料
下原 一晃