1. 厚生年金と国民年金の受給額が変わる理由
年金の額は受給開始のタイミングで決定されますが、その後もずっと一定というわけではなく、変更されることがあります。
日本年金機構が公表する主な理由は次のとおりです。
- 新たに厚生年金保険・共済組合等に加入されたこと、または70歳以上の方で厚生年金保険の適用事業所に勤務されたことの届出があったため、年金の一部の額、または全額の支払いを停止
- 複数ある年金を受け取る権利のうち、他の年金の受け取りを選択されたため、この年金の一部の額または全額の支払いを停止
- 勤務先からの届出により、標準報酬月額(標準的な給与の額)が変更されたため、年金の支給停止額を変更
- 障害の状態(障害等級)が変わったため、年金額を変更
- 配偶者がいることにより一定の額(加給年金額)が加算されていたが、配偶者が一定の加入期間を有する老齢(退職)年金または障害年金を受けることができるようになったため、加算分の支払いを停止
- 配偶者が一定の加入期間を有する老齢(退職)年金または障害年金を受けることができるようになったため、老齢基礎年金に一定の額(振替加算額)を加算
- 一定年齢(40歳~65歳)であったことにより、遺族厚生年金に一定の額(中高齢加算額)が加算されていたが、65歳に到達したため、中高齢加算額分を減額
- 厚生年金保険の加入者でなくなったため、これまでの加入期間を追加して年金額の再計算を行い、年金額を変更
- 65歳に到達したため、今までの特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利が終了
- 過去にさかのぼって年金額の決定をしたところ、年金を受け取る権利が発生した以後に法律改正があったため、年金額を変更
- 雇用保険の基本手当または船員保険の失業保険金の申込みが行われたか、もしくは受け取られているため、年金の支払いを停止
- 雇用保険または船員保険の高年齢雇用継続給付などの支払いを受けることができるため、年金の一部の額または全額の支払いを停止
- 勤務先から賞与(ボーナスなど)が支払われたことにより、最近一年間に受け取られた賞与の平均額が変わったため、支給停止額を変更
- 65歳に到達される前から老齢基礎年金の額の一部を繰り上げて受け取っていたが、65歳に到達したため、老齢基礎年金の年金額を変更
- これまで厚生年金基金から支払われていた年金額を国から支払うことになったため(基金の代行返上)、国から支払う年金額を増額
- 老齢厚生年金(退職共済年金)との調整を行ったため、遺族厚生年金の一部または全額の支払いを停止
- 離婚時の厚生年金の標準報酬分割請求に基づき、標準報酬の改定が行われたため、年金額を変更
- 離婚等により、特定被保険者として特定期間における被保険者期間の標準報酬の改定が行われたため、年金額を変更
- 基準日(9月1日)において厚生年金保険の被保険者であること等により、基準日の前月までの被保険者期間を追加して年金額の再計算を行い、年金額を変更(在職定時改定)
- 法律改正により、65歳前に支払う老齢厚生年金について、在職による支給停止額の計算方法が変更となったため、支給停止額を変更
少々複雑なケースもありますが、このように自身の年金加入状況の変化や、配偶者の年金受給状況等により変更が生じることがあります。
比較的多いのは、65歳になったため老齢基礎年金に振替加算が加算されるケースや、退職により厚生年金保険の加入者でなくなったため、これまでの加入期間を追加して年金額の再計算が行われるケース、また複数の年金を受けられるようになったため、一方の年金の一部または全部が停止されるケースなどがあります。