2022年11月14日に発表された、リネットジャパングループ株式会社2022年9月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:リネットジャパングループ株式会社 代表取締役社長グループCEO 黒田武志 氏
2022年9月期決算説明会
黒田武志氏(以下、黒田):リネットジャパン代表の黒田です。決算発表してから今日も株価が500円を割って499円と、非常に大きく下がっています。足元の業績としては、前期決算を上方修正し、今期や来期の計画にも成長の手応えを非常に感じていますが、なかなかうまくお伝えできず、ご心配をおかけし、非常に申し訳なく思っています。
今後はIRも強化していきますし、今日も我々の現状や成長についてできる限りわかりやすくお伝えしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
2022年9月期 決算サマリー
まず、2022年9月期の決算サマリーです。リユースとリサイクル、ソーシャルケアを合算した、国内Re事業のセグメントが我々の業績を反映しており、高水準で推移しています。売上高が85億円、為替影響もあり経常利益が8億円、当期純利益が5億円と過去最高を達成しています。
2023年9月期には、売上高が100億円を超える計画をしています。また、2年から3年以内に経常利益10億円を達成したいと思っています。さらに、2023年9月期末をもって配当が開始できるように取り組みを強化していきたいと考えています。
今後は、リユース事業、リサイクル事業、ソーシャルケア事業、海外人材送出し事業の4つの事業の柱を構築して成長していきたいと思っています。特に、リサイクル事業とソーシャルケア事業の2つを組み合わせた、環境と福祉の環福連携モデルが今後、我々の成長の大きな柱になる戦略だと考えています。今日はこちらのご説明は簡単にしますが、第1四半期、第2四半期で戦略が進めば、詳細についてもご説明していきたいと思っています。
2035年には売上高1,000億円、経常利益100億円のグループになれるよう、今後M&Aも積極的・戦略的に取り組んでいきたいと考えています。
2022年9月期 決算ハイライト
決算のサマリーです。お伝えしたとおり、国内Re事業が好調に推移し、売上高は85億9,000万円、経常利益は8億4,000万円、当期純利益は5億円と、それぞれ過去最高を達成しています。
国内Re事業:売上高
国内Re事業の売上高は73億5,200万円、前年度同期比108.3パーセントで成長しています。
国内Re事業:経常利益
国内Re事業の経常利益は、マーケティング投資が前期よりも1億7,500万円増えていますが、引き続き非常に高水準の12億7,300万円を達成しています。
2022年9月期 売上高の増減要因
売上高の1番の増減要因は、リサイクル事業が好調に推移していることですが、新規事業のソーシャルケア、HR事業も伸びています。売上は過去最高を更新し、今期は100億円超を視野に入れています。
2022年9月期 経常利益の増減要因
経常利益の増減要因です。積極的にマーケティング投資を継続し、ソーシャルケア・HR事業の収支改善と為替効果により、過去最高益を達成しています。
2022年9月期 連結損益計算書
連結損益計算書は、ご説明したとおりです。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。資産合計は96億2,400万円で、前期よりもプラス11億6,600万円となっています。特に、カンボジアのマイクロファイナンスの伸びが資産の増加につながっています。自己資本比率については、2022年9月期で22.9パーセントと、前期よりもプラス2パーセント改善しています。
為替影響とヘッジ状況推移
為替影響とヘッジ状況の推移です。円安から少し円高に戻っていますが、ここ2年から3年、当社は為替の影響を大きく受けてきました。為替の影響を受ける資産のオフバランス化を行い、今後は、大きな収益インパクトを受けない構造にするために対策を打っています。
「4つの事業の柱」
中期戦略です。市場の変化、景気の変化、経済の変化に強い「4つの事業の柱」のグループになっていきたいと考えています。また、グループ間でのシナジーを発揮するモデルを目指します。特に、リサイクル事業とソーシャルケア事業の「環境・福祉連携モデル」を軸にして、これから10年、20年と成長していくことを考えています。
「4つの事業の柱」... 各々利益10億円以上を目指す
この「4つの事業の柱」それぞれで、利益10億円以上を目指していきたいと思っています。現状では、リユース事業とリサイクル事業で13億5,000万円の利益計画ですが、今後2年から3年くらいで20億円を目指します。また、ソーシャルケア事業や海外人材送り出し事業も、3年くらいでそれぞれ10億円の事業に育てていきたいと考えています。
中長期の成長イメージ
中長期の成長イメージです。2035年には売上1,000億円のグループになっていきたいと考えています。2022年から2023年においては、リユースやリサイクルが拡大し、順調に成長してきました。2024年以降は、さらにソーシャルケアや海外HRが軌道に乗ってくると考えています。
加えて、M&Aも積極的に推進していき、株主還元を着実に拡大させていきたいと考えています。
戦略的事業ポートフォリオの再構築 (貸借対照表から)
戦略的事業ポートフォリオの再構築です。バランスシートを大きく膨らませている要因の、海外のマイクロファイナンス事業を少し見直しました。スライド中央のグラフのとおり、マイクロファイナンス事業を除けば、着実にスリムになってきています。スリムになった分、今後は「4つの事業の柱」へ経営資源を再配分していきたいと考えています。
「経営理念」の実現に向けて
我々は経営理念を非常に大事にしています。「ビジネスを通じて“偉大な作品”を創る。」という経営理念を掲げていますが、この「作品」と言っているのは、「収益」と「社会性」を両立するビジネスモデルです。
経営理念の実現に向けた「環境・福祉連携モデル」
経営理念の実現に向けて、「環境・福祉連携モデル」を今後の1番の骨太な成長戦略と考えています。環境と言えば、特に都市鉱山の掘り起こしです。それと連携するかたちで、ソーシャルケアの福祉事業を行います。
リサイクルの現場では、知的障がいの方を雇用していますが、さらに発展するかたちで、障がい者の方のグループホーム事業を成長させようとしています。一見、別々の事業に見えるのですが、連携することでシナジーを発揮しますので、2025年に向けて10倍規模の成長を目指して準備しています。
グループホームについても、全国で1,000拠点レベルの展開を早期に実現したいと考え、今さまざまな手を打っています。リサイクルでの10倍規模の成長や、グループホームでの1,000拠点展開を、ここから3年くらいで実現していきたいと思います。
これから決算発表の都度、詳細にご説明していきたいと思っていますが、「環境・福祉連携モデル」には、会社として最も力を注いでいきたいと考えています。
2023年9月期 計画主要値
2023年9月期の計画です。国内Re事業の伸張を軸に、海外事業はHR事業を中心に拡大していきたいと思っています。売上高は105億円、前年比122.3パーセントを計画しています。また、利益は6億円クリアを目指したいと考えています。
特に経常利益は、為替の影響を除けば110パーセントの成長です。当期純利益も、為替の影響や特損、税効果を除けば、146パーセントとなりますので、着実に成長していきたいと考えています。
2023年9月期 計画
2023年9月期の計画の内訳です。マーケティング投資を強化しています。グラフの左側が売上高、右側が経常利益です。経常利益の上に斜線が入っている部分は、マーケティング投資の金額です。引き続き高い水準で投資しており、今期は15億5,000万円の予定です。マーケティング投資をこなした上で、経常利益6億円を確保しています。
スライドの右端には202X年とありますが、我々としては、2年から3年以内に経常利益10億円を達成したいと考えています。
国内Re事業セグメント: 2023年9月期計画
国内Re事業の売上高は90億円、経常利益は13億5,000万円と、売上は2ケタ成長を継続していきたいと考えています。
2023年9月期 売上高計画
売上高の内訳です。引き続きリサイクル事業の伸張に加えて、ソーシャルケア、HR事業も拡大するよう計画しています。
2023年9月期 経常利益計画(要因別)
経常利益の要因別の計画です。引き続き積極的なマーケティング施策を継続していきますが、為替要因を除いても、各事業の伸張により、経常利益6億円の達成を計画しています。
リユース:売上高 (2023年9月期計画)
事業別の戦略です。まずリユース事業です。今期の売上高は56億5,000万円です。対前年比で116.6パーセントとなっています。
リユース:リユース市場環境と当社の強み
リユース市場は非常に伸びてきており、2025年には3兆5,000億円規模になるという予測があります。そのような中で、「NETOFF」の会員は直近で450万人を突破し、会員の裾野も順調に拡大しています。
リユース:新サービスの提供開始
「NETOFF」の新しいサービスとして、有料のプレミアム会員に向けて、サブスクモデルを投入しました。「スーパー買取80」という、「NETOFF」で購入した商品をいつでも購入金額の80パーセントで買い取るサービスです。非常にお値打ちなサービスとなっています。
スライドの左下に事例がありますが、例えば、「鋼の錬金術師」の中古のコミック全27巻セットを4,498円で販売しています。しかし、プレミアム会員の方に「スーパー買取80」で出品いただければ、80パーセントの3,598円で買取を実施します。差引900円で、お値打ちに「鋼の錬金術師」のコミックセットを楽しんでいただけます。
2割引きではなく、2割の負担でお楽しみいただけます。価格破壊になるような、非常にお値打ちなサービスです。まだ今はベータ版ですが、本格的にこれから広告宣伝を打っていけば、業績を牽引していけるサービスになるのではないかと思いますので、我々としても非常に力を入れています。
リサイクル:売上高 (2023年9月期計画)
リサイクル事業です。売上高は31億円、対前年比で130.8パーセントとなっています。こちらも継続して30パーセントを超える成長を計画しています。
リサイクル:回収申込件数
回収申込件数の数字で見ても、ここ2年から3年で非常に大きく成長しています。2022年9月期は、2019年と比較して2.3倍に伸びています。今期は2019年と比べて2.7倍の規模に伸ばしていきたいと考えています。
リサイクル:自治体連携の拡大と強化
自治体との連携も着実に伸びており、提携自治体数は600を超えています。人口カバー率は60パーセント強で、8,000万人くらいのエリアに提携が進んでいます。
また、東京都と新しく「レアメタル緊急回収プロジェクト促進事業」をスタートしています。法人向けのパソコンの回収を、より本格的に展開します。都内には約60万の事業所がありますが、その中でも特に中小企業を中心に力を入れていきたいと考えています。
リサイクル:廃家電の総合回収プラットフォームへ
リサイクルでは直接のエンドユーザーに集客していますが、今後はご説明したとおり法人回収に力を入れていきたいと考えています。
リサイクル:東京都との法人パソコン回収事業
ご説明したとおり、東京都の回収事業です。このようなかたちでプレスリリースを発表しています。
リサイクル:新たな領域への展開
新たな領域への展開ということで、佐川急便のSGホールディングスと提携しました。家電のリサイクルには2つの制度があります。テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機の大型家電は、家電リサイクル法が適用されますが、それ以外の小型家電は小型家電リサイクル法が適用されます。
我々が許認可を持っているのは、小型家電リサイクル法です。一方、佐川急便が取り扱いを開始しているのは、4品目の家電リサイクル法です。お客さまから見れば同じ家電を処分しているのですが、今まではワンストップでの利用が出来ませんでした。
家電リサイクルのほうは家電リサイクルの認定事業所に申込み、小型家電のほうはまた別で、という流れでしたが、佐川急便と連携することで、ワンストップで申込みができるというサービスを展開しています。
スタートした直後ですが、住民の方に非常に不便をかけていたということで、特に提携の自治体からお声がたくさんかかっています。
リサイクル:大手メーカー・小売業者との連携
また、アイリスオーヤマ、Apple、Amazonなど、大手メーカーや小売業者との連携も進んでいます。さらに、家電量販店との提携も進めており、シナジーも大きく出始めています。大手メーカーや大手小売業者の提携の申込件数は、前年比で202.8パーセント増と大きく伸びている状況です。
リサイクル:マーケティング投資
先ほどご説明しましたが、積極的なマーケティング投資を継続して実施したいと考えています。
リサイクル×ソーシャルケア=環境と福祉の連携
パソコンの分解作業の現場において、知的障がいのある方が手解体作業に非常に向いているとのことで、雇用を積極的に進めています。ここからさらに、一般就労雇用推進に加えて、就労継続B型での就労拡大にも力を入れていきたいと考えています。
環境と福祉の連携戦略である「環福連携モデル」は、数年で事業規模を10倍に伸ばすために非常に重要な戦略になると考えています。今後、環福連携に最大限注力していきたいと思います。
リサイクル×ソーシャルケア:障がい福祉サービスの拡大
今後、力を入れる障がい福祉サービスのソーシャルケア事業です。現在の国内の障がい者数は900万人以上で、人口の7パーセント以上と言われています。そのうち、知的障がい者の方は108万人おりますが、9割近くが未だ在宅に留まっており、グループホームがまったく足りていない状況にあります。
また、障がい福祉サービスの国の予算は3兆円規模に達していると推定され、非常に大きな市場になってきている状況です。
リサイクル×ソーシャルケア:「環福連携」の基本軸
そのような中で、リサイクル事業とソーシャルケア事業の連携である「環福連携モデル」を進めていきたいと考えています。
海外金融・HR事業:売上高
海外金融・HR事業です。特にHR事業において、売上高15億、前年同期比121.4パーセントの計画となっています。
海外金融事業:カンボジア車両販売事業
2020年9月期からカンボジアの不良債権対応を行っており、9割の不良債権を削減しました。業績的にも非常に苦しんだところですが、いよいよ不良債権対応からおおむねエグジットできたと考えています。
事業ポートフォリオの再構築(カンボジア車両販売事業)
カンボジアの車両販売事業は、新規営業を凍結していましたが、正式に撤退を決定しました。金融事業では戦略を転換し、さらなるスリム化に取り組んでいきたいと考えています。
海外HR事業:今後の成長事業として重点投資へ
今後、海外事業で注力していく、技能実習生を中心としたHR事業についてです。日本の生産人口は20年間で約1,400万人減少すると言われており、約674万人の外国人労働者を受け入れる必要があるという試算もあります。したがって、今後、非常に大きく伸びていく市場であると考えています。
海外HR事業: 入国者の状況と計画
海外HR事業においては、カンボジア実習生や自動車整備士を中心に取り組んできましたが、入国者を大きく伸ばし、今後は職種も拡大していきたいと思います。また、インドネシア等のカンボジア以外の国への進出も考えています。
海外HR事業: 事業領域の拡大に向けて
カンボジアに加え、人口の多い国であるインドネシアでも早々に立ち上げたいと考えています。また、これまで注力していた自動車整備士は、全体の外国人需要の中では1パーセントほどの市場規模でした。今後は、食品製造業や機械加工等の求人数の多い職種に事業領域を広げていきたいと考えています。
東京拠点の集約・強化
グループ戦略として、我々は名古屋に拠点を置いていますが、東京にもグループ機能を移していきたいと思っています。東京拠点を拡充することにより、マーケティング機能やM&A、今後のIRについても、東京を中心にしっかりと情報発信していきたいと考えています。
有利子負債のリバランス〜成長投資に向けて
財務戦略と株主還元についてです。有利子負債のリバランスということで、こちらも大幅な圧縮を実現しています。スライドのグラフの左側が国内の借入、右側がマイクロファイナンス等の海外金融の借入を表しています。左側のグラフを見ると、国内の借入が大幅に圧縮されていることが分かっていただけるかと思います。
有利子負債のリバランス〜戦略投資資金
戦略的な投資資金として、今後の機動的な戦略投資資金の獲得に向けて、メガバンク3行を中心にコミットメント借入枠8億円を設定しました。
株主還元の実現に向けて:資本改善への取組み
2023年9月期の配当開始に向け、今後は利益拡大と財務戦略を継続し、利益剰余金の確保を早期に実現していきたいと考えています。
質疑応答:中期、長期の成長戦略について
「中期、長期の成長について、より具体的に示せないか?」というご質問です。
今後はM&A等にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。今後は資料だけでなくオンライン動画も通じて、できる限り具体的にご説明したいと思います。
質疑応答:決算ライブ配信を決定した理由について
「今回の決算ライブ配信を決定した理由は?」というご質問です。
我々は今後の成長に非常に自信を持っていますが、昨日今日の株価推移を見ると、株主の方にご心配をおかけしているのではないかと考えています。また、決算に関するご説明を十分にお伝えできていないのではないかと思い、今回のライブ配信を決定しました。今後、このようなライブ配信や個人投資家さま向けのご説明を充実させ、さらに機関投資家向けのIRも行っていきます。
この2年ほどは、カンボジアの不良債権処理の件でもご心配をおかけしたかと思います。これまでは機関投資家さま向けのIRは少し控えていたのですが、今後は成長戦略を明確にご説明できるようにしていきます。個人投資家さま、機関投資家さま向けのIRを本気で強化していきたいと考えています。
質疑応答:グループホームのロードマップについて
グループホーム1,000拠点へのロードマップについてご質問をいただいています。
こちらも、本日時点では具体的なロードマップをご説明できないのですが、なるべく早く具体的にお伝えしたいと思います。
質疑応答:リサイクル事業工場の稼動進捗について
リサイクル事業の工場の稼動進捗についてご質問をいただいています。
以前の決算説明の中でも、東京に新拠点を立ち上げることをご説明しましたので、そちらに関連するご質問としてご回答します。
現在準備を進めており、当初は年内稼動を予定していましたが、タイミングが少々遅れています。新拠点を立ち上げることは確定していますので、来年の前半には稼働を開始できると考えています。
質疑応答:マーケティング投資の詳細について
マーケティング投資の具体的な内容についてご質問をいただいています。
ネットのマーケティングに加え、CMです。特にリサイクル事業では、目の前の刈り取りだけでなく、パソコンを処分する時に、リネットの宅配便回収をお客さまの頭の中で第一想起してもらえるように認知度を高めていきたいと思います。今後、中期的な成長をしていくために必要な投資だと考えています。
また、投資効果の確認のため、認知度調査により推移を注視しています。CMを出稿する前の認知度は関東圏では8パーセントほどでしたが、直近では18パーセントまで高まってきています。マーケティングでCMに投資したことに対しては、着実に数字面でも成果が上がってきていると考えています。
お客さまが大掃除などでパソコンを処分する時に第一に思い出していただけるように認知度を高めるため、継続したCM投資をしていきたいと思います。
質疑応答:今後の決算ライブ配信について
「決算ライブ配信は継続するのか?」というご質問です。
決算ライブ配信は継続していきたいと考えています。まだ対面ではなかなか開催しづらいですが、決算説明会にも積極的に参加していきたいと思います。
質疑応答:配当額について
配当の額についてご質問をいただいています。
こちらも本日時点では詳細をご説明できないのですが、まずは配当をスタートさせることが第一だと考えています。配当開始を早期に実現したいと思っています。
質疑応答:ソラミツ社との合弁会社について
ソラミツ社との合弁会社についてご質問をいただいています。
こちらは決算説明の中ではあまり触れなかったのですが、金融事業についてはかなり慎重なスタンスに切り替えているところです。ソラミツ社との提携に関しては、引き続き合弁事業を継続していますが、「バコン」のプロジェクトについては、当初カンボジア政府が非常に前向きだったところから少しトーンが変わり、慎重になってきたと受け止めています。
それに比例して、我々もこれまでは積極的に投資していくスタンスでしたが、カンボジア金融当局の姿勢も含めて慎重に見極めたいと考えています。
質疑応答:チャムロン・マイクロファイナンス社について
チャムロン・マイクロファイナンス社についてご質問をいただいています。
チャムロン・マイクロファイナンス社(チャムロン社)は、保守的な経営を行っているとご説明してきましたが、中古車の割賦販売事業を撤退する決断をしました。それに伴い、グループ連結での金融事業全体の経営戦略の中では、金融事業を大きく伸ばしていく方向からは少し考え方を変えています。
チャムロン社についても堅調に推移していますが、少し保守的に考えています。このあたりについても、また今後ご説明していきたいと考えています。
質疑応答:広告宣伝費について
広告宣伝費についてご質問をいただいています。
広告宣伝費については、TwitterやYouTubeなどのソーシャルマーケティング活用をトライアルしています。特にテレビCMと連動したYouTubeでの動画広告で非常によい数字が出てきています。
今後は、YouTubeでの展開やSNSを使ったマーケティングにも力を入れたいと思います。そのような意味でも、マーケティングの統括セクションを東京に置いて、組織的にもかなり強化しています。今、SNSマーケティングの一部では、非常によい成果が出てきているため、今後はさらに強化していきたいと考えています。
質疑応答:自社株買いの予定について
「配当ではなく、自社株買いの予定はありますか?」とのご質問です。
いずれにしても、まずはバランスシートの利益の剰余金の部分を改善することが重要です。配当や自社株買いができるように、2023年9月期末までにしっかりバランスシートを改善していきたいと考えています。
今考えているのは配当ですが、株主のみなさまに還元できる一番よいかたちをこれから検討し、できる限り株主へ還元ができるよう、今後注力していきたいと考えています。
質疑応答:就労継続支援について
東京での就労継続支援事業所の開設についてご質問をいただいています。
東京でのリサイクル事業の新しい拠点の開設に並行して、障がい者の就労継続支援の事業所の登録も行いたいと考えています。来年の前半を目指して、新しいリサイクルセンターのオープンと同時に、障がい者の就労センターの立ち上げを準備しているところです。
質疑応答:提携自治体の伸びについて
「提携自治体が伸びていますが、売上との関係性を教えてください」とのご質問です。
自治体を経由した集客も集客ルートの大きな柱であり、提携自治体の拡大に比例して、リサイクル事業の件数、売上ともに伸びています。ただ、それだけではなく、マーケティングや家電量販店、大手メーカーとの連携など、いろいろな集客ルートの柱が立ってきて伸びていますので、さまざまなチャネルを増やしているところです。
質疑応答:レアメタルの自社回収について
「レアメタルの自社回収などを今後新規に開始する予定はありますか?」とのご質問です。
資源の抽出や中間処理、レアメタルの抽出などは、現時点では予定していません。それよりも、我々はリサイクルの回収やデータ消去も含めた付加価値の高いサービスを提供することを重視しています。
我々は直接自分たちで回収しているわけではなく、佐川急便と連携しています。また、処理については中間処理事業者と、リサイクル資源の抽出は精錬メーカーとそれぞれ連携しています。我々は「回収プラットフォーマー」として、収益率の高い事業を展開していきたいと考えています。
質疑応答:「2035年 売上1,000億へ」の根拠について
「2035年に売上1,000億を目指すとのお話でしたが、2035年を目標年とする根拠は何でしょうか?」とのご質問です。
まず、長期の目標として、私が現役の間に、100億円、200億円のスケールではなく、売上1,000億円くらいのグループに成長させたい、という目標を掲げています。
現在創業22年で、私は57歳になったところですが、2035年には70歳になります。2035年まであと13年ありますので、今はまだまだ折り返し地点だと考えています。そのくらいの目線と時間軸の中で、がんばり続けるという決意表明の意味合いで、「2035年 売上1,000億へ」を目標として掲げています。
質疑応答:槍田松瑩氏を取締役選定した狙いついて
「取締役に槍田松瑩氏を選定された狙いは?」とのご質問です。
槍田氏は、三井物産の社長・会長を歴任された後、経団連の副会長や東京電力の議長などの要職を務め、経済界で非常に活躍してきた経歴の持ち主です。私だけが全体を見るのではなく、ホールディングスとして各事業部にしっかりとした経営人材を置いて、それぞれの事業が自律的に成長を加速させていくことをグループ戦略としています。
ホールディングスの中で、私が全体のグループ戦略を見て、戦略として束ねていきます。槍田氏に社外取締役として入っていただくことで、このような経営の体制にこれから移行していきたいと考えています。
2年ほど前にホールディングス体制になりましたが、それぞれネットオフ株式会社やリサイクルなど、いろいろなグループ会社の社長と会長を私が兼任している状態で、まだまだホールディングスとしての経営体制にはなっていませんでした。
今期以降は、各事業会社に社長を立てて、本格的にホールディングスの経営体制に移行していきたいと考えています。そこで、ホールディングス体制になる上で、三井物産という非常に大きなグループを率いてきた槍田氏のノウハウや知見を活かしたいと考えています。
ホールディングス体制は、各事業が自律して成長を加速させていけるグループ体制である一方、遠心力が働いていく懸念もあります。槍田氏にも見ていただく中で、ホールディングスとしての本体の求心力やガバナンスを効かせながら、経営体制を本格的に移行させて、成長を加速させていきたいと思っています。
そのような意味で、リネットジャパンの経営体制も、ここでギアが大きく変わったのだとご理解ください。その上で、大所高所で槍田氏のような社外取締役のアドバイスを積極的に取り入れながら、成長を加速させていきたいと思っています。
今後は積極的にM&Aにも取り組む予定です。今ある子会社だけではなく、今後続々とM&Aをした会社がホールディングスの下にグループとして入ってきます。この規模を束ねていけるグループ本部を意識して、今回、社外役員に槍田氏に入っていただきました。
質疑応答:LPK Coop Indonesiaとの業務提携について
「インドネシアの技能実習生について、LPK Coop Indonesiaとの契約関係の状況を教えてください」とのご質問です。
LPK Coop Indonesiaとの業務提携は継続していますが、新たなパートナーとの提携も含めて、新たな展開を検討しているところです。インドネシアについては、立ち上がった時点であらためて詳細を発表しますが、今期中にはインドネシアの送り出しをスタートさせたいと思っています。
質疑応答:株主優待について
株主優待についてご質問いただいています。
現状の株主優待は買取査定金額アップなどですが、より株主に喜んでいただける優待を検討し、しっかり充実させていきたいと考えています。
質疑応答:M&Aの対象領域について
「M&Aの対象領域を教えてください」とのご質問です。
4つの事業の柱それぞれで積極的にM&Aに取り組んでいきたいと思っていますが、優先順位は、ソーシャルケア事業とリサイクル事業です。
1つの事業領域だけではチャンスも限られますが、4つの事業領域にスコープを広げれば、いろいろなM&Aのチャンスが増え、よいM&Aができる確率が広がっていくと思っています。そのような意味でも、4つの事業領域にスコープを広げて、成長を加速させていきたいと考えています。
質疑応答:リユース事業について
「リユース事業について、前期のほぼ横ばいに対して今期が116パーセントになる具体的な理由を教えてください」とのご質問です。
本日ご説明した「スーパー買取80」は、常連のお客さまにとって実質2割の価格で楽しめる、非常にお値打ちで価格破壊的なサービスです。この新しいサービスを伸ばすことによって、116パーセントの成長を実現させたいと考えています。
質疑応答:IR情報の充実について
「御社株式のホルダーのほとんどが含み損ではないか?」という、厳しいご意見をいただいています。
我々は成長としては非常に手応えを感じていますし、数字についても実績が上がってきていると思っています。一方で、IRの中でうまくお伝えができていないことは大いに反省しています。株主のみなさまにしっかりとお伝えできる機会を増やしていき、私の時間をしっかり使って機関投資家にもご理解いただけるようなIRもしていきます。
ご意見を真摯に受け止めて、株価をしっかり上げていくことは、私の大きな役割であると認識しています。株主還元や配当を筆頭に、株主優待や自社株買いも含めて、今後より充実させていきたいと考えています。
今後IRを強化し、株主のみなさまのご期待に応えられるように、まずは成長の実績を作っていきます。そして、成長に期待していただけるような戦略についても、明確にご説明していき、しっかりと株価につなげていきたいと考えています。
質疑応答:為替差益について
「2022年度の為替差益がなければ、大幅な赤字ではありませんか?」とのご質問です。
本日ご説明したとおり、為替差益がなくてもしっかりと増益になっていっています。マーケティング投資を止めればすぐにでも増益になりますので、利益をさらに拡大できる実力はついてきているとご理解いただけたらありがたいです。
質疑応答:ワラントの行使について
「ワラントを行使したことで株価が下がって株主は大変な迷惑を被った」という厳しいご指摘をいただいています。
ワラントについては、当時は金融事業を伸ばすためにはどうしても不可欠でした。しかし、現在の株価水準ではワラントはまったく考えておらず、まずはしっかり株価を上げることを最優先に考えています。
質疑応答:決算説明の具体性について
「説明会が具体性に欠ける」という厳しいご意見をいただいています。
我々も具体的にお話ししたいことが実はいろいろあるのですが、現時点ではまだお話しできず、非常に抽象的なお話になり、申し訳なく思っています。第1四半期、第2四半期の決算ではより具体的なお話ができるように、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。引き続き、このような決算説明の中でご注目いただければありがたいです。
質疑応答:中長期の成長イメージについて
「2035年までの中長期の成長イメージのお話がありました。これにより、以前と何がどのように変わったのでしょうか?」とのご質問です。
やはり1,000億を目指すとなるとM&Aが不可欠ですので、これからしっかり体制を組んで取り組んでいきます。この1年から2年の中で具体的な案件としていろいろなお話が出てくると思っていますので、そのあたりの戦略が顕在化してくるまで、引き続き注目していただければと思います。
質疑応答:説明資料の改善について
「説明資料の作り方を改善してほしい」とのご要望をいただいています。
ご指摘を真摯に受け止めて、今後、投資家のみなさまにとってわかりやすい説明資料に改善していきたいと思っています。
黒田氏からのご挨拶
本日は、大変お忙しい中、たくさんの方にご参加いただき、また、積極的にご質問いただきましてありがとうございます。業績については非常に手応えを感じていますが、本日の株価が500円を割ったことを非常に重く受け止めています。
ご期待に添えるよう、我々の業績が株価に反映されるように早期に取り組んでいきたいと思っていますので、引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。