2022年11月30日に発表された、東京産業株式会社2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:東京産業株式会社 代表取締役社長執行役員 蒲原稔 氏
目次
蒲原稔氏:東京産業の蒲原でございます。本日は当社の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。これから、2023年3月期第2四半期の決算説明を始めます。
本日はスライドに記載の順番で進めていきます。最初に当社の事業概要、次に本年5月に開示した不正取引に対する再発防止策の内容をご説明します。その後、2023年3月期第2四半期決算および中期経営計画の進捗をご報告し、最後に成長へ向けた足元の取り組みとして現在注力している事業についてご説明します。
セグメント紹介(1/2)
当社の事業概要からご説明します。まず、電力事業です。こちらでは主に、東日本地域の火力発電所関連へのボイラ・タービンの保守・点検などを行っています。今後は国際的な脱化石燃料・脱CO2の流れに沿い、火力発電の高効率化と電力の安定供給、原子力関連や水素、アンモニア、バイオマス燃料混焼への対応などを積極的に推し進めていきます。
次に、生活産業事業についてご説明します。こちらでは、コンビニエンスストアやスーパーなどで使用している包装資材、トイレ自動流水機などを取り扱っています。
ここ数年、コロナ禍による活動制限やレジ袋の有料化の影響により、コンビニエンスストア向けレジ袋販売は厳しい環境ではありますが、環境配慮型の原料を用いた商材ラインナップの拡大により、新たな収益源の確保を図っていきます。
セグメント紹介(2/2)
環境・化学・機械事業についてご説明します。こちらでは、化学や医薬業界向けにプラント機械設備の販売や工事請負を行うほか、海外拠点を積極的に活用し、国内外の自動車産業向けに工作機械の販売を行っています。また、養殖設備機器やリチウムイオン電池用の充放電検査装置の販売など、新しい商品の取り扱いに積極的に取り組んでいます。
最後に、再生可能エネルギー関連事業の取り組みについてご説明します。こちらでは、各セグメントにおいて、太陽光発電設備の建設工事やメンテナンスの請負に加え、バイオマス発電所の建設請負や燃料供給などの再生可能エネルギー発電事業に関する取り組みを行っています。
今期より専任本部を設置し、再生可能エネルギー事業に関する知見や情報を集約し、全社一丸となって事業を強力に推進していきます。
事業領域とSDGs
スライドは、当社の事業領域とSDGsの各目標を関連づけた図になります。事業における具体的な取り組み事例については後ほどご説明します。
不正取引に対する再発防止策
当社で発生した不正取引に対する再発防止策についてご説明します。当社の一部取引において不適切な売上処理が判明した件について、外部専門家を中心とした特別調査委員会を設置し、調査を行ってきました。調査結果の詳細については、本年7月28日に開示のとおりです。
当社は同報告書における原因分析と再発防止策の提言を真摯に受け止め、スライドに記載のとおり、具体的な再発防止策を策定しました。これらの再発防止策とあわせ、すでに社内規定の見直しや役職員向けの教育研修などを実施しています。
みなさまからの信頼回復のため、今後もコンプライアンスに対する意識を周知・徹底していきます。
決算概要 損益および配当状況
2023年3月期第2四半期決算の内容についてご説明します。今期より、関係会社の社会環境イノベーション株式会社が新たに連結対象に加わっています。
まず、損益計算書です。受注の状況を示す成約高は211億円、売上高は339億円となりました。売上総利益、営業利益、経常利益については、一部大口案件の引渡しが完了したことや為替差益が寄与し、それぞれ47億円、17億円、20億円と前年同期比で大幅な増益となりました。
この結果、四半期純利益は12億円となり、上期における過去最高益を達成しました。これにより、1株当たり四半期純利益は50円4銭となっています。
決算概要 セグメント別業績
セグメント別の業績についてご説明します。電力事業は大口保守案件の引渡しが順調に進み、成約高は45億円、売上高は43億円となりました。
環境・科学・機械事業は、太陽光関連の工事案件が堅調に進捗したことが寄与し、成約高は139億円、売上高は271億円となりました。
生活産業事業は、コロナ禍による経済活動の制限が緩和されたことにより、主力の包装資材販売も若干回復し、成約高は26億円、売上高は24億円となりました。
決算概要 財務状況
貸借対照表についてご説明します。総資産は、営業債権/債務の減少により790億円と、前年度末に比べ92億円減少しています。また純資産は、利益剰余金の積上げなどにより、前年度末から11億円の増加となりました。これにより、自己資本比率は35.5パーセントとなっています。
中期経営計画2023(連結) 定量目標の進捗
中期経営計画の進捗についてご説明します。スライドの表に記載のとおり、計画に沿って着実に進捗しています。今期は3ヶ年計画の最終年度となりますが、後ほどご紹介するグリーンビジネスや新規事業などを積極的に推進することにより、目標達成を図っていきます。
中期経営計画2023(連結) 増益計画の内訳
中期経営計画の目標達成のための施策についてご説明します。スライドのグラフに示したとおり、営業利益は、前期実績の24億円から13億円の上積みを計画しています。
そのための施策は、スライド右側に記載のとおりです。太陽光の自社売電事業や、火力発電所向けのメンテナンスなどの基盤収益に加えて、FIT後の再エネビジネスや、省エネ・省力・省人につながる新商品の展開により、売上収益のアップを図るとともに、Webツールによるオンライン商談や、SFAの活用などにより営業の効率化を図っていきます。
これらの施策を行うことで、中期経営計画の最終年度となる今期は、営業利益37億円を目指します。
中期経営計画2023(連結) セグメント別予想
セグメント別の業績予想についてご説明します。電力事業では、高効率の火力発電設備の提案に加えて、「2050年カーボンニュートラル宣言」を踏まえた再エネ商材の取扱い拡大により、営業利益は前年比7億円増の19億円を計画しています。
環境・化学・機械事業では、太陽光を中心とした再エネ事業のほか、次世代自動車関連事業や省エネ・省人化ニーズなどへの対応により、営業利益は前年比3億円増の15億円を見込んでいます。
生活産業事業では、環境に優しい原料を用いた包装資材の販売や節水型トイレ自動流水機の設置・提案などにより、SDGsを意識した活動を続けていきます。それにより、営業利益は前期比3億円増の3億円を目指しています。
中期経営計画2023(連結) 過去3年の業績推移
スライドのグラフは業績の推移です。売上高800億円、営業利益37億円の計画達成を目指していきます。
カーボンニュートラルへの対応拡大
当社が成長戦略として掲げているエネルギー、モノづくり、新事業、グローバル、それぞれのトピックス5つについてご説明します。1つ目は、成長戦略の1番目に掲げている「エネルギーミックスへの対応拡大」です。カーボンニュートラルへの対応として、再エネ事業を中心にご説明します。
経済産業省が策定したエネルギー基本計画では、2030年までに再エネ比率を36パーセントから38パーセントに、また、2050年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指しています。このような脱炭素の流れに積極的に対応すべく、太陽光発電事業では、自社設備での売電事業に加えて、工事請負やRE100企業などの取引先の工場に対する自家消費型発電設備の設置、資産活用の提案など、さらなる営業強化を図っていきます。
またバイオマス関連では、新たに燃料の長期供給契約を締結するなど、燃料の供給を通じてお客さまのCO2削減に寄与してきました。今後も新規商談や、すでに契約している案件への着実な燃料の供給により、お客さまのCO2削減へ貢献していきます。
なお、セグメントの紹介でもご説明したとおり、今期から新たに再生可能エネルギー事業本部を設置しました。社内のノウハウを集約し、営業体制の強化を図っています。
モノづくりイノベーションへの挑戦、新規事業創出の継続(1/3)
2つ目は、モノづくり・新事業として、次世代自動車関連事業をご紹介します。当社では、EV関連の取り組みの1つとして、リチウムイオン二次電池用の充放電検査装置の取扱いを開始しました。同製品は、従来型の検査装置と比較して、使用電力およびCO2排出量の大幅な削減が期待される画期的な製品です。
昨年に続き、今年11月に開催したインテックス大阪での二次電池展にも出展し、電機・自動車関連など多くの企業の方々にご来場いただきました。また、今期から商用EVの取扱いを開始しています。こちらは、主にEVバスやEVトラックなどで、充電コストや安全面に強みを持った製品となっています。
モノづくりイノベーションへの挑戦、新規事業創出の継続(2/3)
3つ目も、モノづくり・新規事業に関連して、環境配慮型製品である天然エステル絶縁油の取扱い拡大についてご説明します。
変圧器用の天然エステル絶縁油は、石油由来の鉱油に比べて環境に優しい大豆由来の製品です。当社グループでは2019年から取扱いを開始しており、お客さまの環境意識の高まりを追い風に販売実績を積み上げています。今後も需要拡大が見込まれますので、以前から取扱いのある高電圧機器の部品のラインナップと併せて、電力事業のベース収益向上に努めていきます。
また、生活産業分野では、従来の生分解性梱包材に加えて、リサイクルプラスチック原料などの環境配慮型原料を用いた商材ラインナップの拡充を進めています。
加えて、家庭用の保存袋や業務用ティッシュポリなどの拡販により、セグメント利益の回復を図ります。
生活産業事業ではこのような商材の展開によって、生活に身近な分野でのCO2削減に寄与していきます。今後もお客さまの環境対応に資する、付加価値の高い製品を提供していきます。
モノづくりイノベーションへの挑戦、新規事業創出の継続(3/3)
モノづくり・新規事業として、食品機械関連事業のトピックスを3つご紹介します。1つ目は、AIを活用した野菜検査ラインの取扱いについてです。農業分野における昨今の労働人口減少や、高齢化に伴う自動化/省人化のニーズに対応すべく、AIを活用した自動野菜検査ラインの提案を進めていきます。
2つ目は、養殖設備です。昨今の天然水産資源枯渇の懸念から、養殖事業のニーズが高まっています。当社は海外の養殖設備メーカーと協業し、陸上養殖や海上養殖事業向けの設備をワンストップで提案することで、そのような需要に対応していきます。
3つ目は、米飯加工メーカーなどと共同開発したご飯のレトルトパック向け加工設備です。混ぜご飯にも対応できることが特徴で、日本食ブームもありますので、海外展開も視野に拡販していきます。
グローバルビジネスの更なる展開
最後に、グローバルビジネスについてご説明します。近年は、日本本社が介在しない海外拠点同士のクロスボーダービジネスが増加しています。例えば、中国のダイカストメーカー向けヨーロッパ製品の販売や、中国製食品関連包装材のアセアン地域への展開、自動車関連では、メキシコに工場を持つ欧州メーカーに対する中国製設備の導入支援などを行っています。今後も拠点間連携を強化し、グローバルビジネスのさらなる拡大に努めていきます。
以上、簡単ではございますが、2023年3月期第2四半期の決算説明とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。