突然ですが、あなたの会社は社会保険に加入していますでしょうか?
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことです。会社員なのに社会保険に加入していない、つまり国民健康保険や国民年金を支払っているようなことはありませんでしょうか? もしそうなら社会保険が未加入ということになります。
社会保険の加入義務とは?
まず、会社員である以上、社会保険には加入するのが原則です。ただし、アルバイトのように、勤務時間が正社員に比べて短い場合は、「1週間の所定労働時間及び1カ月の所定労働日数が4分の3以上(注)」という要件を満たす場合に加入しなければなりません。
たとえば、正社員が1日8時間(週40時間)、月平均22日間の勤務であれば、週30時間以上かつ月17日以上働くような場合に社会保険への加入義務が発生します(ただし、正社員にしてもアルバイトにしても、会社ではなく個人に雇われているような場合は、加入義務が発生しない場合もあります)。
正社員にしても、アルバイトにしても、社会保険の加入が「義務」という以上、選択制ではなく、要件を満たせば加入しなければなりません。要件を満たしているのに加入していないなら、社会保険の未加入ということになります。
注:所定労働時間・日数とは、もともと雇用契約で決めるものですが、アルバイトのように労働時間が変動しやすい場合は、月あたり大体どのくらい働いているかということで判断すればよいでしょう。
今後は未加入への対策が強化される!
一口に未加入といっても、会社単位で加入していない場合と、会社単位では加入しているが個人単位で加入をしていない場合の2パターンがあります。
会社単位では、社長が社会保険料負担を免れるため、個人単位では手取りを増やすためなどの理由で会社にお願いして加入手続きを止めてもらっているケースがあります。いずれにしても、社会保険未加入の問題は少子高齢化の中、国としても放置しておくわけにはいきません。
そこで、国は今まで以上に社会保険の未加入問題に対して厳しく取り締まる姿勢を打ち出しています。
たとえば、会社単位で未加入である場合の対策として、税務署と情報連携して、給与の支払いが行われて源泉所得税が納付されているのに、社会保険料は納めていない会社を毎月チェックしたり、営業開始のために各種行政機関に許認可申請をする会社の加入状況を把握したりと、さまざまな面で未加入の会社を特定しています。
また、個人単位でも、毎年7月頃に加入している会社をいくつかピックアップして、従業員の加入状況を調査しています。この時点で加入しなければならないと判断されれば、会社として加入手続きを取らなければなりません。
今のところは、どちらかと言えば会社単位での未加入問題に対する対策が進められていますが、社会保険の加入にあたってマイナンバーが本格的に導入されれば、給与所得などと紐づけることで、個人単位での未加入についても、今以上に特定されることになるかもしれません。
渋田 貴正