年の瀬が迫ってきました。2023年に60歳を迎えられる方の中には、老後の貯蓄に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

2019年(令和元年)に金融庁が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」で指摘されている老後資金問題は、その後「老後2000万円問題」として大きな注目を集めました。

それ故に、「老後までに2000万円貯める」ことを貯蓄目標とした方も多いのではないでしょうか。

本記事では、還暦以降の60歳代までに老後2000万円をクリアした割合に加えて、本当に老後は2000万円あれば事足りるのか、について紐解いていきます。

60歳代で貯蓄2000万円以上ある割合は?

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代で二人以上世帯の貯蓄額別の保有割合(金融資産を保有していない世帯を含む)は以下の通りです。

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出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:19.0%
  • 100万円未満:6.4%
  • 100~200万円未満:4.8%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.6%
  • 500~700万円未満:5.9%
  • 700~1000万円未満:5.3%
  • 1000~1500万円未満:8.4%
  • 1500~2000万円未満:6.0%
  • 2000~3000万円未満:9.6%
  • 3000万円以上:22.8%
  • 無回答:2.6%

2000〜3000万円未満の割合は9.6%ですが、3000万円以上の貯蓄がある割合は22.8%と最も多い結果に。退職金や遺産を受け取る年代であることも、貯蓄額に大きな影響を与えていると考えられます。

しかし、2番目に多い貯蓄割合は『未保有』の19.0%という衝撃的な数値も見受けられます。60歳代の貯蓄割合は大きな乖離があると分かりました。

そもそも「老後2000万円問題」とは

金融庁の報告書が発端となった「老後2000万円問題」について、多くの方は「老後に2000万円足りなくなるから貯めないと!」と思ったかもしれません。

報告書の内容では、2017年の高齢夫婦無職世帯の実収入から実支出を差し引くと、毎月の赤字額が約5万5000円(30年間で2000万円に相当)するケースを例として紹介しています。

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出所:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

出所:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

あくまでモデルケースとしての不足額なので、実際の不足額は一人ひとり異なります。また、老後は病気やケガのリスクも高まるので、急な出費が発生する可能性もあるでしょう。

次項では、投資初心者でも効率的に老後資金を貯められる方法について解説します。

投資初心者でも取り組みやすい資産運用は?

投資初心者でも比較的取り組みやすい資産運用として、2つを紹介します。

1. 確定拠出年金

確定拠出年金には、iDeCoと企業型DCの2種類があり、いずれも税制優遇措置が設けられています。

  • 運用益は非課税
  • 掛金は全額所得控除
  • 受取時は退職所得控除もしくは公的年金等控除の対象

どちらも原則として途中解約はできませんが、老後までしっかり運用できるメリットがあるため、まとまった老後資金の形成に役立つでしょう。

iDeCoと企業型DCは、手続き面で大きな違いがあります。iDeCoはすべて自分で事務手続きや手数料を負担するのに対し、企業型DCは手続き・費用・手数料負担まで会社が行います。

NISA・つみたてNISA

NISA(少額投資非課税制度)は、日本在住で20歳以上の方が利用できる税制優遇制度で、年間120万円までの投資による配当金・分配金・譲渡益が、最長5年間非課税になります。

NISA口座で運用できる商品には、株式投資信託・上場株式・REIT(不動産投資信託)・ETF(上場投資信託)などがあります。

120万円の枠は一気に使い切る必要はなく、投資枠の範囲であれば非課税対象の金融商品をいくつでも購入可能です。

つみたてNISAも日本在住で20歳以上の方であれば利用できる税制優遇制度ですが、非課税枠が年間40万円、非課税期間が最長20年といった違いがあります。

仮に年間40万円をフルに活用し20年間運用した場合は、トータルで800万円の投資元本から得られる収益が非課税となるのです。

ちなみに、つみたてNISAで運用できる商品には、金融庁に認められた株式投資信託・ETF(上場投資信託)に限られます。

まとまった金額で投資商品を購入したい方はNISA、コツコツと将来に向けて運用したい方はつみたてNISAを検討してみるのが良いでしょう。

1つ注意点として、NISAはどちらか一方しか選択できません。NISA口座を開設した方が、つみたてNISAの口座を開設することは出来ないので注意してください。

若い頃から計画的な貯蓄に取り組もう

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Olivier Le Moal/shutterstock.com

Olivier Le Moal/shutterstock.com

国の調査結果で「60歳代の約2割は金融資産がない」現状が浮き彫りとなり、ますます貯蓄や資産運用の重要性が増してきています。

「お金の勉強はめんどくさい」「興味が持てない」と考えずに、将来を見据えた貯蓄を少しずつ始めていくのが良いでしょう。

参考資料

小見田 昌