とはいえ、ナイキ、アディダスともにゴルフの用品市場からは撤退しますが、ウエアやシューズなどは継続しています。また、「撤退」と大きく報じられたものの、両社ともにゴルフ用品事業は全社売上の1~2%に過ぎない小規模な事業であることから、撤退に伴う「痛み」はそれほど大きなものではなかったことにも留意すべきでしょう。
つまり、両社とも完全にゴルフを見切ったということではなく、「切りやすい」ゴルフ用品から撤退し、事業ポートフォリオの選択と集中を進めたことが実態であるということになります。
今後に希望を持ちたい
ゴルフ関連事業から完全撤退しなかった背景としては、まず、日米ともゴルフ市場は長期凋落傾向にあることは間違いないものの、スポーツ関連市場規模としては依然として無視できないほど大きいことがあるでしょう。
また、日米ともに低料金でもゴルフができるプランを拡充するなど、ゴルフ人口を増やす取り組みが行われ復活の可能性が残っていること、さらに、中長期的には新興国の経済発展に伴い新たな市場の拡大が期待されることなどが考えられます。
実際、日本の場合、2015年のゴルフ人口は2014年の720万人から約40万人の増加に転じています。今年限りで引退を表明した宮里藍さんの最後のプレーを見届けようと注目が集まっているように、ゴルフ離れが進んでいる日本とはいえ、潜在的なファン層は、まだまだ多くいることが伺えます。
また、米国の女子メジャーでは、タイ出身のアリヤ・ジュタヌガーン選手の活躍が話題になっており、こうした動きが新興市場でのゴルフブームにつながる可能性もあります。
「暗いニュース」に惑わされず過ぎずに、一度は離れてしまったかつてのゴルフファンや、これからゴルフをやろうとする若者世代をゴルフ場に呼び込む取り組みが世界的に進められることを期待したいと思います。
LIMO編集部