2022年11月15日に発表された、株式会社サイバーセキュリティクラウド2022年12月期第3四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役社長兼CEO 小池敏弘 氏
2022年12月期第3四半期決算説明会
小池敏弘氏:代表取締役社長兼CEOの小池でございます。本日はお忙しい中、2022年12月期第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は2022年12月期第3四半期決算概要、およびトピックスについてご説明した後、質疑応答に移ります。
業績の概況
まず、当四半期の業績の概況からご説明します。スライドの表の中央に示している単体の業績について、売上高は16億2,600万円、営業利益は2億5,800万円、経常利益は2億7,600万円となっています。
子会社だったソフテックを2022年12月期第2四半期に吸収合併したことに伴い、当第3四半期中に連結から単体決算に移行しています。左端のA列に、昨年の連結時の第3四半期累計の数字を示しています。
右から2列目のB列に「参考」と記載したのは、ソフテックの第1四半期の業績を足した場合の数字です。こちらが実質的な業績です。
一番右の列には、実質の業績との比較をわかりやすくするために前年同期比を記載しています。売上高はプラス28.3パーセント、経常利益に関してはプラス5.3パーセントで推移しています。
単体決算移行に伴う業績予想
スライドの表は、8月に開示した業績予想の再掲です。売上高は22億3,300万円、営業利益は3億6,200万円、経常利益は3億6,200万円という業績予想を開示しています。
単体に移行しており、やや表現としてわかりづらい部分もあるかもしれませんが、売上高の進捗率は72.8パーセント、経常利益の進捗率は76.3パーセントで、非常に順調に推移しているとご理解ください。
ARRの推移
ここから、いくつかの主要指標についてご説明します。当社が一番重視している年間経常収益(ARR)は、上半期の過去最高の新規受注金額を記録しています。順当に売上が積み上がった結果、ARRは前年比でプラス30.6パーセントと、大きく成長しています。
当社の「Managed Rules」は、全世界90ヶ国以上に対してUSドルベースで販売しているため、特にこの四半期においては円安の影響もあり、引き続き大幅にARRが増加しています。
ユーザー数の推移
ユーザー数においても、同じく順調に増加しています。先ほどご説明した「Managed Rules」が全世界で3,000ユーザーを突破するというトピックスもありながら、すべてのプロダクトにおいてユーザー数が順調に増加しています。
攻撃遮断くんとWafCharmの低い解約率
解約率については毎四半期ウォッチし続けていますが、変わらず低い水準を維持していると考えています。当社に起因する解約はほぼなく、主な解約理由としてはサイト自体の閉鎖、当社のパートナーを経由した契約が終了するといったことです。今後もこの数字を低く保てるように改善・改良を継続していきたいと考えています。
売上高の推移
売上高の推移です。こちらもARRと同様に順調に増加しており、対前年比でプラス29.8パーセントとなっています。
第3四半期においても新規受注は非常に高い水準で推移し続けているため、今後もストック収益増加による継続的な売上高の増加が見込めると考えています。
営業費用(売上原価・販売費及び一般管理費)の推移
営業費用の推移です。当社は5月から6月にかけてオフィスを移転しました。これに伴う一時費用を第2四半期において計上していましたが、第3四半期においてはその費用計上が一段落しています。結果として、第2四半期よりもトータルのコストは減少しています。
全体のコストのバランスに関しては当初より大きな変化はなく、進行期においても同じかたちで進めていく予定です。
サイバーセキュリティクラウドの成長を支える従業員
従業員は引き続き増加し続けています。スライドに記載のとおり、社員はもちろん、フリーランスを含め多様な形態の人材を活用しながら、仲間を増やすことに努めています。
リニューアルで進化した攻撃遮断くん
第3四半期のトピックスのご紹介です。当社の主力製品「攻撃遮断くん」を一部リニューアルしました。今回のリニューアルは、ユーザー、販売パートナーである代理店の双方にとって利便性が向上した内容となっています。
より細かなカスタマイズが可能になり、販売パートナーにとっては、その先にいる複数のエンドユーザーに対する管理機能を強化することで、よりスピーディーできめ細やかな対応が可能になりました。
これは、成長戦略にも掲げた「1サイトでも多くサービスを守っていく」という我々のロードマップに沿ったリニューアルであり、さらなるユーザー数の拡大と販売パートナーへの満足度を高めていく、パートナーサクセスの強化に資するものと考えています。
ラベル機能対応~Managed Rulesセラーで世界初~
こちらも製品のアップデートについてです。世界90ヶ国以上でご利用いただいている「Managed Rules」にラベル機能を付加するアップデートを行いました。
「Managed Rules」という製品自体は、当社以外のいくつかのメーカーも世界中で販売していますが、その中でも当社は世界最速で「AWS WAF」の機能アップデートに追従し、この機能を付与しました。
このような細かな機能の優位性を常に保ちながら差別化を図り、これまでよりもさらに多くのユーザーの獲得を狙っていきたいと考えています。
日本初のAWS ISV Accelerateプログラム認定を取得
こちらはグローバル戦略にも一部つながるお話です。当社は2025年に向けた成長戦略の中で、「AWS」をはじめとしたクラウドプラットフォーマーとの関係性を強めることが戦略の1つです。言い方を変えると、特に「AWS」を利用している世界中のユーザーに対して当社の製品を販売するべく、「AWS」のコミュニティにおける当社の地位を向上していくことを掲げ、今年から戦略を進めていました。
その中で、「AWS ISV Accelerateプログラム」というものに先日認定されました。サイバーセキュリティの分野においては、当社が日本で初めてこのプログラムの認定を取得したことになります。
これにより、スライド右下に記載しているとおり、世界中にいるAmazon Web Services社のセールス担当の方々が、当社の製品を販売することができます。もちろん、非公式に紹介したりアナウンスしたりすることはこれまでもできたのですが、今回認定を受けたことにより、共同販売するプログラムというかたちになったことは非常に大きな一歩だと考えています。
「Managed Rules」は、「AWS」のユーザーが画面上でいろいろな製品を買うことができる「AWS」内のマーケットプレイスを通じて、世界中に販売されています。
この「AWS ISV Accelerateプログラム」の認定を取得したことで、当社がAmazon Web Services社に対して支払うマーケットプレイスの掲載料、いわば出店料のようなものもディスカウントされるため、売上のチャンネルをさらに増やしつつ、コストを削減できます。
この領域において、日本で初めて認定を取得できたことは、今お伝えしたようなメリットを得て終わりというお話にとどまりません。今後さらに、世界中の「AWS」のユーザーに対して当社ならびに当社の製品を広めていく大きなきっかけにもなります。
このような大きな一歩を受けて、今後の当社のグローバル展開にも大いに期待していただきたいと考えています。四半期のトピックスについては以上です。
質疑応答:AWS ISV Accelerateプログラムについて
「『AWS ISV Accelerateプログラム』に認定されると、どのようなメリットがあるのでしょうか? サイバーセキュリティサービスとしては日本初ということですが、なぜそれが実現できたのでしょうか」というご質問です。
先ほどお伝えしたとおり、単体のメリットとしては、Amazon Web Services社との共同販売ができるようになったことと、出店料等のコストを削減できることが挙げられます。
今後につながる部分に関しては、この「AWS ISV Accelerateプログラム」ではAmazon Web Services社との共同販売が行われるため、世界中で数多く使われている「AWS」を提供している同社の名のもとに、当社の製品を販売できることになります。
このことから、当社はそれなりに信頼の置けるサービスを提供している、実績もそれなりにあるというお墨付きをAWS社からいただいたと思っています。
具体的には、例えば「AWS」のイベントで我々が出展できる優先順位なども、この認定を取得することでどんどん上がっていきます。当社は、2025年に向けてグローバルの売上を高めていくロードマップを引いていますが、その中のかなり大きなステップとなっています。
なぜこれを実現できたのかについてもご回答します。「AWS ISV Accelerateプログラム」が重視していることは大きく2つあります。
1つ目は、前提としてきちんと売れているかどうかに加え、エンドユーザーに満足を提供できているかというところです。具体的には、例えばケーススタディが複数あるか、相当数のお客さまが使っているかなどのしっかりとした実態が伴って、信頼されているかどうかということです。
本日のご説明でもお伝えしたとおり、「Managed Rules」の直近のユーザー数が3,000を超え、世界90ヶ国以上で販売されているということで、この実績を認めていただいています。
2つ目は、技術的に問題がないかどうかという点です。AWS社としては当然、自らの名において販売するため、サービスに欠陥や不具合があるということでは販売できません。「Maneged Rules」に関しては、AWS社との間で技術的な審査をクリアして、問題ないというお墨付きをいただくことができています。
これは技術力の高さという点に加えて、「AWS」のマーケットプレイスで4年近く前から、日本で初めてのこのジャンルで製品を提供し続けてきた知見や、Amazon Web Services社との関係性を築き、信頼に足るサービスを作りあげてきたことにもつながっていると思います。
技術力だけではなく、昔から続けているこの資産を使って、今後もしっかりと事業を伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:今回の業績の評価について
「経常利益が第3四半期累計で、前年比割れしています。今回の業績についてどのように評価しているのでしょうか?」というご質問です。
ご説明したとおり、売上高、営業利益ともに順調に成長しているというかたちで考えています。昨年の連結決算時点の営業利益が2億8,500万円、経常利益も2億8,500万円というところに対して、今回は単体ベースで見た場合、減益に見える状態になっています。
しかし、スライドのB列の部分を見ると、前年同期比で、営業利益においてはプラス0.2パーセント、経常利益においてはプラス5.3パーセントです。今回の会計上の決算移行に伴い、特に純利益は前年同期比プラス14.1パーセントというかたちで、大きな数字が出ています。
成長が鈍化している、または何かアクシデントがあって減益しているなどの事実は決してありません。引き続き、成長を続けているとご認識ください。
(参考情報)損益計算書
冒頭の説明では省略しましたが、決算資料に載せている資料もご参照ください。単体の四半期ベースで見たときに、表の中央付近にある営業利益に関しては、過去最高となっています。
売上と同様に、営業利益に関しても過去最高ということで、順調に成長していることがおわかりいただけると思います。
質疑応答:第4四半期の広告宣伝投資について
「例年は第4四半期に多額の広告宣伝投資を行っていますが、今年も第4四半期に大きくコストを投じることは想定しているのでしょうか?」というご質問です。
例年は、第4四半期に広告宣伝費が偏るかたちで多く支出してきましたが、今期は期初からお伝えしてきたとおり、年間を通してまんべんなく広告投資を実行しているため、現時点で多額の投資を行うことは特段予定していません。
また、当然のことながら業績予想を開示していますが、売上・利益ともに達成できるように進めていきます。
質疑応答:「Managed Rules」のラベル機能について
「今回追加したラベル機能とは何でしょうか?」というご質問です。
「Managed Rules」のラベル機能対応については、こちらのスライドに記載しています。少し細かい話ですが、当社が提供している「WafCharm」という製品は、ハッカーがさまざまな種類の攻撃を仕掛けてくるのに対して、さまざまな防御の手段を用意しており、それぞれの攻撃に対応する防御のルールに基づいて、しっかりとサイトを守っていく仕組みになっています。
「Managed Rules」を買っていただくと、非常に細かなチューニングなどを行わなければいけない稀有な攻撃などを除き、ベーシックな攻撃を中心に防ぐことができるようになります。そのため、非常に使い勝手がよくリーズナブルな製品です。
とはいえ、エンドユーザー個別の事情、サイトの状況によってチューニングを行いたいというご要望はあります。これまでの「AWS」側の仕様において、細かなカスタマイズを行うところには限界がありましたが、先日、「AWS」側の機能のアップデートにおいて、ユーザーにとっては非常に喜ばしいことに、仕様上、チューニングができるようになりました。
当社としては、そこにサードパーティーとしてWAFのルールを提供しているということで、いち早く細かなカスタマイズができるような機能を搭載して、アップデートして提供を開始したかたちです。