2022年11月11日に発表された、株式会社アイリッジ2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社アイリッジ 代表取締役社長 小田健太郎 氏

目次

小田健太郎氏:みなさま、こんにちは。株式会社アイリッジ代表取締役社長の小田健太郎でございます。本日は、当社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。

本日の内容は、大きく3つです。2023年3月期第2四半期決算について、主な経営/事業のトピックス、中期的な財務目標及び2023年3月期業績予想について、ご説明します。

2023年3月期第2四半期決算ハイライト

2023年3月期第2四半期の決算ハイライトです。売上高は21億9,100万円、売上総利益は7億6,700万円となりました。営業利益はマイナス2,600万円ですが、第2四半期単体では黒字化しています。

全体感として、OMO領域オンラインマーケティング関連にて、主にアプリを中心としたデジタルマーティング及び新規事業領域のデジタル地域通貨プラットフォームの提供を行うグループ会社のフィノバレーで増収となり、連結では第2四半期単体で黒字化しています。

オンラインマーケティングの主力プロダクトに、「FANSHIP」というアプリ向けのマーケティングツールがありますが、「FANSHIP」導入アプリのMAU(Monthly Active Users)が増加したこと等により、第2四半期のストック型収益は前年同期比プラス17.9パーセントと順調に推移しています。

一方で、リアルマーケティング、店頭マーケティング、イベントでのマーケティングといったOMO領域のオフラインマーケティング関連で、新型コロナウイルス感染症の影響が期初の想定以上に出ており、新規の顧客獲得が遅延し、減収となっています。

こちらを挽回するための施策として、「購入スタンプミニアプリ for メーカー」という「LINEミニアプリ」と関連したデジタルマーケティング施策の取組みを強化しています。加えて、下期から新規事業領域のフィノバレーが提供するデジタル地域通貨事業が業績寄与する見込みがありますので、2023年3月期の通期業績見通しについては、現時点で据え置きとしています。

2023年3月期第2四半期 決算概要

決算概要です。スライドの表の中央に記載しているオレンジ色の部分が、2023年3月期第2四半期までの連結の累計です。先ほどお伝えしたとおり、売上高は21億9,100万円、売上総利益は7億6,700万円、営業利益はマイナス2,600万円となっています。

OMO領域オフラインマーケティング関連の減収により、連結全体でも減収となりましたが、第2四半期単独では黒字化しています。

売上高の推移

売上高の推移です。オレンジ色が主にオンラインで、デジタル、アプリ領域のマーケティングを行っているアイリッジ単体の売上高推移です。青色がオフライン領域のQoil及びフィンテック領域であるデジタル地域通貨のフィノバレーの売上高の推移です。

スライドをご覧のとおり、スマホアプリ開発を中心としたデジタルマーケティングであるOMO領域オンラインマーケティング関連は増収となっており、また、デジタル地域通貨のフィノバレーも増収となっていますが、OMO領域オフラインマーケティングのQoilは、新型コロナウイルス感染症の影響が引き続き残っていることもあり、新規の顧客獲得が遅延し減収となっている状況です。

原価率(連結)の推移

原価率(連結)の推移です。原価率は引き続き安定的に推移しています。内訳のオレンジ色が原価人件費で、青色が外注費です。売上構成比の変化に加えて、デジタル人材の社員採用が進み、内製化への置き換えが進んでいることから、内製化比率が上がり外注比率は下がっている状況です。

また、その他の部分にサーバー費が含まれていますが、こちらは足元の為替の影響により増加しています。

販売管理費(連結)の推移

販売管理費(連結)も安定的に推移しています。2023年3月期第1四半期と比べて少し増加しているのは、積極的に採用を行っているためです。その他、全体の販売管理費については、安定的にコントロールしながら推移しています。

営業利益の推移

営業利益の推移です。第2四半期単独では黒字化しています。当社単体でも黒字化していますし、フィノバレーも第2四半期から黒字化となっています。当社は連結で見ても例年同様、下期に売上高・利益が大きく積み上がる傾向があり、当期もその傾向どおりに動くと想定していますので、今期も売上高・利益は下期に偏重すると見込んでいます。

FANSHIP導入アプリのMAUの推移

当社のOMO領域のオンラインマーケティング主力プロダクトである、「FANSHIP」導入アプリのMAUの推移です。こちらは「FANSHIP」が入っているアプリを月に1回以上起動している、実質的にアクティブなユーザー数の推移を表しており、前年同期比でプラス36.3パーセントと順調に推移しています。MAUは足元で8,000万ユーザーを超えるような状況になってきています。

ストック型収益の推移

我々のビジネスは継続的に収益が積み上がっていくストック型収益と、都度の契約で受注して売上が計上されるフロー型収益があり、ストック型収益をしっかりと積み上げることを推進しています。

スライドはストック型収益及びその構成比の推移ですが、「FANSHIP」導入アプリのMAUが増加したことによりストック収益がしっかりと積み上がり、こちらも堅調に推移しています。第2四半期のストック収益は前年同期比でプラス17.9パーセントと順調です。

(ご参考)従業員数の推移

従業員の推移について、少しご説明します。我々はアプリマーケティングを中心とした、デジタルマーケティング領域をビジネスの柱にしているため、DX人材、IT人材を中心にしっかりと採用を強化していくことが大事な取組みになってきます。

期末従業員数(連結)も前年同期比でプラス15.6パーセント、32名増と堅調に採用を続けてきており、今後の成長に向けた備えもできていると考えています。

(ご参考)2022年7⽉以降のニュース①

7月以降の当社の主な取組みについて、ニュースを記載しています。主な取組みはこの後、トピックスとしてご紹介するため、そちらでご覧ください。

各領域における23/3期の重点取組み

主な経営トピックス・事業トピックスについて、いくつかピックアップしています。今期の重点取組みをご紹介しながら、その内容のトピックスについてご説明します。

当社は今期、スライドの左側に記載のとおり、①から③の重点取組みを意識しながら事業を推進しています。

1つ目はメイン事業のOMO領域における、人材獲得のための積極投資によるプロフェッショナルサービスの拡大です。こちらは引き続きデジタルマーケティング領域を中心に需要が非常に旺盛なため、この引き合いに応える体制をしっかりと作って対応していくことで、事業を伸ばしていけると考えています。

そのため、人材獲得のために積極的な投資を行い、DXビジネスに対応し、推進できるプロフェッショナルサービスの拡大を進めていくことを掲げています。

2つ目はOMO領域における、ストック型収益の中期的な拡大実現のための投資強化です。こちらは積み上げるという継続性が高いものですので、今期は中期的に拡大していくための取組みを積極的に推進していくことを掲げています。

3つ目はデジタル地域通貨をはじめとした新規事業の立上げ・収益拡大です。今期はこちらも重点取組みの1つとして推進しています。

23/3期の重点取組みの進捗状況

それぞれの取組み内容について、主なトピックスをご紹介します。詳細はこの後、それぞれに対応した内容を資料でご用意していますが、それぞれ①から③の重点取組みに合わせて全体的にしっかりと推進しています。

OMO領域では、デジタル人材、DX人材の体制を強化していくことを、今後の成長に向けた大事な取組みの1つと掲げています。採用についても積極的に取り組んでおり、堅調に進んでいます。加えて、M&Aも含めた開発体制・デジタル体制の強化も推進しているところです。

株式会社プラグインがアイリッジグループに参画

2022年10月31日付で、北海道の札幌市を拠点としているシステム開発会社であるプラグインの全株式を取得し、当社グループの開発体制の強化を図っています。また、拠点が北海道の札幌市にありますので、ニアショア拠点としても位置付けて、地方採用も再度強化しています。

ホームセンター「コーナンアプリ」を開発⽀援

主力ビジネスであるOMO領域において、大手企業のマーケティング公式アプリの開発も、引き続き推進しています。上期は、ホームセンターの「コーナンアプリ」の開発支援を行い、主力のアプリ向けマーケティングのSaaSプロダクトである「FANSHIP」も導入しています。

LINEミニアプリを活⽤した販売促進DXニーズ広がる

さらにストック型収益を拡大していくための取組みも強化しています。足元では「LINE」の中に企業ごとの小さなアプリ型の機能を搭載できる「LINEミニアプリ」の普及が非常に進んでおり、当社もこのミニアプリへの取組みを進めています。

「LINEミニアプリ」は、特にメーカー向けにスタンプカード機能が簡単に搭載でき、ユーザーが気軽に使うことができるアプリです。こちらも導入実績が増えており、スライドには事例を2つ掲載していますが、ニチバンや日本サニパックではキャンペーンにおける活用が進み、導入も始まっているところです。

デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」拡⼤中

今期は新規事業領域での取組み推進、収益化も重点取組みとして掲げており、フィノバレーが推進しているデジタル地域通貨プラットフォームについても、導入先が拡大しています。2022年10月より、東京都板橋区の「いたばしPay」、東京都府中市の「ふちゅチケ」、長崎県佐世保市の「させぼeコイン」などで、導入・運用が開始されています。

スライドに記載しているとおり、すでに10地域以上で、我々が取り組んでいるデジタル地域通貨プラットフォームを活用した電子地域通貨が運用されています。

建設DXサービス「工具ミッケ」10月より提供開始

今後の事業の芽を育てるべく、新領域で進めている継続的な取組みをもう1つご紹介します。

東急建設と共同開発した建設業界向けのDXサービス「工具ミッケ」の提供を10月より開始しています。「工具ミッケ」は工具を見つけるという意味で、工事現場で使う工具の照合作業を自動化するサービスです。

「工具ミッケ」は、我々が得意としているアプリの技術を使った簡便なソリューションで、工具を使用した数としまった数が一致しているかを確認できます。この照合作業を自動化することにより、管理業務の縮小と生産性向上を実現する建設DXサービスとして提供を開始し、現在は、鉄道の工事現場を皮切りに導入を進めています。

中期的な財務目標

中期的な財務目標及び2023年3月期の業績予想をご説明します。中期的な財務目標は、2021年3月期から2026年3月期までの中期的な売上高成長率としてCAGR(年平均売上高成長率)25.0パーセント以上を目指しています。2026年3月期の連結売上高133億円を目指し、取組みを進めているところです。

また、今後の採用や新規事業への投資を見込んでいるほか、販管費を適切にコントロールし、連結の営業利益を着実に増やしていくことを目指しています。

中期的な財務目標に対する進捗

中期的な財務目標に対する進捗です。2021年3月期及び2022年3月期は、オフラインマーケティング領域を中心に新型コロナウイルス感染症のマイナス影響を受けていますが、中期的な売上目標に対しては順調に推移しています。

2023年3⽉期連結業績の⾒通し(1/2)

2023年3月期連結業績の見通しです。上期はリアルマーケティング、店頭マーケティング、イベントでのマーケティングなどのオフライン領域で、新型コロナウイルス感染拡大によるマイナス影響がありました。

足元の感染状況から下期もこの状況が続くと見ており、その影響により成長率は財務目標と比べて一時的に鈍化する見通しです。コロナ禍が明けた時にしっかりと成長を再加速させるため、投資を強化し、中期的な財務目標の達成を目指していきます。

2023年3月期の見通しの前提として、オフラインマーケティングのようなコロナ禍の影響を受けやすい領域のビジネスに取り組んでいるため、上期は業績に一定程度マイナスが生じ、下期はほぼマイナスが出ないことを前提にレンジの上限を設定しています。レンジの下限は、通期で前期と同程度のマイナス影響が継続した場合を想定して、見通しを立てています。

2023年3月期連結業績の見通し(2/2)

足元では、OMO領域オフラインマーケティング関連において、当初の想定以上に新規顧客獲得が遅延している状況です。

一方で、「LINEミニアプリ」を活用した「購入スタンプミニアプリ for メーカー」などの、リアルで影響を受けないデジタル側のマーケティング施策への取組み強化を進めています。また、フィノバレーが推進している新規事業領域も下期から業績に寄与する見込みで、2023年3月期の業績見通しは現時点では据え置きとしています。

下期はデジタルの取組み強化、新規事業領域での業績の積み上げを確実に行うことで、通期の見通し達成に向けて邁進していきます。

以上、2023年3月期第2四半期決算についてご説明させていただきました。ご清聴ありがとうございました。

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