2022年11月10日に発表された、アクセルマーク株式会社2022年9月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アクセルマーク株式会社 代表取締役社長 松川裕史 氏

目次

松川裕史氏:アクセルマーク代表の松川でございます。本日はお忙しい中、当社の2022年9月期通期決算説明動画をご覧いただき、誠にありがとうございます。資料を提示しながらご説明します。

スライドには本日のアジェンダを示しています。まず第一に、2022年9月期通期業績概要からご説明します。

2022年9月期 4Qサマリー

第4四半期の業績です。売上高は6億7,400万円、営業利益は900万円、当期純利益はマイナス9,900万円の結果となりました。当第4四半期のトピックスとしては、事業が堅調に推移したことで営業黒字となりましたが、特別損失として、アセラ社への出資に対する貸倒引当金を計上したことにより、当期純損益は赤字となっています。

既存の広告事業は、アドネットワークサービス「ADroute」が過去最高の四半期売上高を更新し、堅調に推移しています。

ブロックチェーン関連事業は、9月30日にリリース延期を発表した「トレサカ Jリーグ」に関して、年内リリースに向けてクローズドβテストの準備を行ってきました。これらの詳細は、後ほどご説明します。

業績の四半期推移

業績の四半期推移です。第4四半期の業績に関しては、広告事業の事業拡大に向けた追加開発や、人員拡充等の投資を引き続き行っていることで、営業体制も強化され、取引先からの受注が拡大しています。結果として、広告事業は堅調に推移し、前四半期比で営業利益は増加しています。

セグメント別の四半期推移

セグメント別の四半期推移です。先ほどお伝えしたとおり、当社の主力事業である広告事業は、事業拡大のための投資を進めながらも一定の収益を確保し、引き続き堅調に推移しています。

その他セグメントに関しては、第4四半期末時点での収益化はまだできていませんが、今後の成長を期待しており、引き続き当社としても注力していきます。各事業の取り組みは後ほどご説明します。

損益計算書四半期推移

スライドの表は、損益計算書の四半期推移です。広告事業への投資等を行いつつも、営業黒字を維持できています。当期純損益においては、2021年4月に実施したAscella Biosystems社への出資に対し、現在のCOVID-19の感染収束の状況を鑑みて、貸倒引当金を特別損失として計上することにしました。

営業利益推移

営業利益の推移です。前期から継続して行っている各種改善は順調に進み、引き続き2期連続の営業黒字化を達成することができました。この2年で最低限の収益基盤の構築は完了したと考えており、これからは、さらなる利益成長を実現するための施策に積極的に取り組んでいきます。

損益計算書概要(通期比較)

損益計算書の概要です。先ほどお伝えしたとおり、2期連続の営業黒字を達成し、黒字体質の経営基盤をしっかりと構築しました。さらなる事業規模の拡大、利益率の改善に向けて注力していきます。

貸借対照表概要

貸借対照表の概要です。2022年9月期第4四半期は、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換が進み、自己資本比率は59.5パーセントと上昇し、財務の健全性はさらに向上しています。今後は財務の健全性を維持しつつ、さらなる事業規模の拡大、利益率の改善に向けた各種施策を実行するための投資を行っていきます。

「アドネットワーク」 サービス状況

各事業の状況についてご説明します。まず、広告事業のアドネットワークサービス「ADroute」についてです。前期より進めていた営業黒字化施策を優先したこともあり、システム投資や体制強化のための人員採用を一部停止していましたが、今期はリカバリーを目的とした追加開発、さらなる事業拡大のための人員採用の強化を行ってきました。

結果として、広告効果の改善や運用効率が向上し、電子書籍領域でのサービス拡大も重なり、第3四半期および第4四半期の売上規模を大きく伸ばしました。前年同期比では約123パーセントの増収となり、過去最高の四半期売上高を更新しています。引き続き、サービスのさらなる拡大に努めていきたいと考えています。

「デジタルマーケティング」領域 サービス状況

デジタルマーケティング領域で展開している「トレーディングデスク」「EC MARK」のサービス状況に関してご説明します。当社における経営管理体制強化の一環として、今期は債権管理の健全化を図るため、既存取引先の構成比率の見直しを実施しました。

その結果、取引の一部の終了に伴い、第3四半期以降の売上は下落しています。現在は組織体制の強化を図り、V字回復に向けての営業強化に努めています。広告事業全体としては、アドネットワークサービス「ADroute」の拡大もあり、増収増益となっています。

今後の広告事業の展開について

今後の広告事業の展開に関してご説明します。主力事業である広告事業は、継続して堅調に推移しており、⻑年にわたり当社の収益の土台となっています。今後もさらなる事業拡大を目指していきます。

そのための主な施策としては、プロダクト開発強化のためのエンジニアや、事業拡大に向けた営業・企画人員の積極的な人員拡充をはじめとして、これまでのノウハウを活かした新規プロダクト、ソリューションの投資開発などの実施、営業活動の拡充、および事業拡大のために、M&A等も視野に入れたアライアンス展開を検討していきます。

『Jリーグ トレーディングサッカー』(略称:トレサカ Jリーグ)

ブロックチェーン関連事業に関してご説明します。OneSports社と共同で企画開発を進めている、国内初のNFTを活用したJリーグオフィシャルライセンスゲーム「Jリーグ トレーディングサッカー」、略称「トレサカ Jリーグ」ですが、9月30日にリリース延期を発表したことを深くお詫び申し上げます。

現在はクローズドβテストを実施中で、リリースの最終段階に入ってきていることを、合わせてご報告します。

『Jリーグ トレーディングサッカー』(略称:トレサカ Jリーグ)

今後については、クローズドβテストが完了次第、一般ユーザー向けのオープンβ版を年内にリリースすることを予定しています。内容としては、実際のクラブチームを運営するように選手を育成し、フォーメーションなどの戦略を立てて、リーグでの勝利を目指します。育成した選手をトレードすることで、移籍金による利益を得る体験を実際に体感できます。

みなさまに楽しんでいただき、ご期待に沿えるサービスを提供できるように、OneSports社と共同で企画・開発を進めていきます。

ブロックチェーン関連事業 今までの経緯~今後

ブロックチェーン関連事業の今後の展開に関してご説明します。まず、当社は2つの領域に注力していきます。1つ目に、これまで培ってきた技術や知見・ノウハウを活用して、無料で楽しみながら稼ぐ「Free to Play and Earn」の展開として、特に「トレサカ Jリーグ」の成⻑に注力していきます。

2つ目に、収集して稼ぐ「Collection and Earn」として、動画NFTトレカの展開に向けて、各IPホルダーと協議を続けていきます。これまでの知見を活かして、ブロックチェーン関連事業の発展に寄与していきたいと考えています。

「Ascella Biosystems,Inc.」の取り組み

IoTヘルスケア事業における、Ascella Biosystems社との取り組みに関してご説明します。先ほどもお話ししたとおり、2021年4月に実施したAscella Biosystems社への出資に対して、現在のCOVID-19の感染収束の状況を鑑みて、今期は特別損失として貸倒引当金を計上することにしました。

Ascella Biosystems社が現在取り組んでいる、COVID-19検査キットである「Ascella Real Time System」は、引き続き、COVID-19およびその変異株への対応と、その他インフルエンザやサル痘などの感染症にも対応できるように、検査キットの改良を実施中です。

今期は貸倒引当金を計上することになりましたが、従来の検査と比べて簡易的に検査でき、安価かつ短時間で結果を確認できるAscella Biosystems社の取り組みに対して、当社のIoTヘルスケア事業として、引き続き、必要な対応を取っていきたいと考えています。

2023年9月期 業績予想のポイント

2023年9月期業績予想のポイントについてご説明します。中⻑期の事業拡大のため、広告事業を中心に、最大約3億円の投資を計画しています。ブロックチェーン関連事業において、「トレサカ Jリーグ」のサービスリリース後における業績に与える影響が未確定のため、保守的に算出しています。

また、広告事業における事業拡大のための施策の進捗度合によっては、業績に与える影響が変動する可能性があります。これらの要因により、2023年9月期業績予想は、引き続きレンジ形式による業績予想を採用しています。

これにより2023年9月期は、売上高は25億円から30億円、営業利益に関しては、上限マイナス5,100万円から下限マイナス2億300万円までの赤字予想としています。

先ほどもお伝えしたとおり、来期はさらなる事業拡大のための投資を行う期間と捉えており、これらの投資の内容に関しては、次のページの今後の方針と見通しにてご説明します。

中長期戦略 事業成長のための投資

今後の方針と見通しについてご説明します。繰り返しになりますが、中⻑期戦略として、さらなる事業規模の拡大、利益率の改善に向けた各種施策を実行するために、大規模な投資を実行し、事業成⻑を加速させていきたいと考えています。

そのために、第31期の2つの大きな投資として、1つ目は「事業規模の拡大への投資」、2つ目が「人材・働く環境への投資」として、それぞれに約1.5億円を見込んでいます。それらをあわせて、中⻑期では約10億円の投資を予定しています。

このような投資を実行することで、当社がアドテクを中心としたWebマーケティング領域でニッチトップ企業となり、将来的な営業利益率10パーセントの高収益企業への変化を目指していきます。

アドネットワーク、広告代理事業で培った知見をより市場規模が大きく&成長性の高い領域へ進出し、事業規模を拡大させる

投資項目の1つ目である、事業規模の拡大への投資についてご説明します。事業規模の拡大への投資として、現在の主力事業であり、⻑年の収益基盤となっている広告事業をアップデートさせていきたいと考えています。

当社がサービスを展開しているアドネットワーク市場は安定成長期に入り、横ばい成⻑となっています。一方、Webマーケティング領域全体を見渡すと、より市場規模が大きく、また成⻑性の高い市場も存在しています。

アドネットワークサービスにて培った⻑年のノウハウや自社開発力、運用経験による知見は、Webマーケティング領域におけるさまざまな知見として蓄積することができました。当社として、より市場規模が大きく、成⻑性の高い領域へ進出する準備が整ったと考えています。

事業規模をさらに拡大させるために、新しい広告配信プラットフォームの開発に着手していきたいと考えています。クライアントの広告効果をさらに向上させるために、AI等による自動最適化を行う次世代型ターゲティングシステムを実装させ、広告事業での新たなポジションを確立し、将来的なニッチトップ企業を目指していきます。

人的資本経営への取り組み:人材・働く環境への投資

投資項目の2つ目である、人材・働く環境への投資についてご説明します。事業を成⻑させていくためには、人材への投資は欠かせないものだと考えています。当社は人材のポテンシャルを引き出し、能力を最大化させ、個々のメンバーの成⻑を通して企業価値の向上に努めていきます。

我々を取り巻く環境は、日々変化しています。コロナ禍におけるリモートワーク定着などの働き方や、個人のキャリア意識、価値観の変化などに、当社は今まで柔軟に対応してきました。

今後はこれまで以上にダイバーシティを尊重し、自発的に成⻑を望む人材、次世代を担う人材への投資に注力し、管理型の組織から自走型の組織への変革を行っていきます。

当社で働くことで、個々の成⻑を実感し、やりがいを感じ、仕事にまい進することで結果が生まれます。そして正しい評価を受け、対価として報酬をもらうという良い循環を生み出すことが、中⻑期における企業価値の向上に必ずつながっていくと考えています。

今後の事業成長イメージ

今後の事業成⻑イメージです。広告事業、ブロックチェーン関連事業、IoTヘルスケア事業をしっかりと積み重ねていきながら、全社の成⻑を実現していきます。

また、それぞれの事業成⻑を加速させるためにも、既存事業の強化や新規事業の開発等を可能とする企業とのM&Aおよび資本・業務提携に関しても検討を進めていきたいと考えています。

今後の見通しについて

今後の見通しについてご説明します。これまでお話しした内容のまとめとなりますが、2021年9月期、2022年9月期と2期連続の営業黒字を実現し、この2年で最低限の収益基盤の構築は完了したと考えています。

当社は、アドテクを中心としたWebマーケティング領域でニッチトップ企業となり、将来的には営業利益率10パーセントの高収益企業になることを目指しています。そのために、課題である売上規模の拡大、利益率の向上を図るべく、2023年9月期に大きな投資が必要と判断しています。

2023年9月期が保守的な見通しで赤字予想となり、株主のみなさまにはご心配をおかけしますが、将来的に強固な利益体質を構築し、中期・⻑期と大きな成⻑を果たすための施策であるとご理解いただければと思います。

以上、簡単ではありますが「『楽しい』で世界をつなぐ」アクセルマーク株式会社の決算説明とさせていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。

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