大手銀行の普通預金金利が0.001%になるなど、日本ではかつてない低金利の状態が続いています。こうした状況下で、銀行から外貨預金を勧められたという方も少なくないのではないでしょうか。日本円に比べて高い金利や為替差益による儲けを狙えることなどがアピールされていますが、方法を間違えると得をしないどころか損をする可能性さえあるのが外貨預金です。

この記事では、外貨預金のしくみと注意すべき点、外貨預金で儲けられる可能性についてみていきます。

目次

1 外貨預金とは
 1.1 外貨預金のメリット
  1.1.1 日本円の普通預金金利より高い金利
  1.1.2 為替差益で儲けることもできる
  1.1.3 分散投資ができる
 1.2 外貨預金のリスクはなにか
  1.2.1 預金保険の対象外
  1.2.2 為替の変動は誰にもわからない
  1.2.3 為替手数料で儲けが吹っ飛ぶ可能性もある

2 せっかくの儲けが吹っ飛ぶ?外貨預金の手数料
 2.1 外貨預金の為替手数料とは
 2.2 銀行の外貨預金の為替手数料はとても高い!

3 お得に外貨預金をする方法
 3.1 外貨預金をするなら、どこに口座を開くかが大きな分かれ道
 3.2 FX会社で外貨預金ってこわくないの?
  3.2.1 レバレッジ1倍なら銀行の外貨預金より手数料が安くなる分有利
  3.2.2 スワップポイント(金利)が毎日もらえる
  3.2.3 信託保全されるので安心

4 外貨預金として使うときに選ぶべきFX会社とは
 4.1 スプレッドの幅が狭い
 4.2 スワップポイントが高い
 4.3 取引通貨単位が自分のスタイルに合っている

5 外貨預金をするのにおすすめのFX会社
 5.1 GMOクリック証券【FXネオ】
 5.2 DMM.com証券【DMM FX】
 5.3 SBI FXトレード
 5.4 マネーパートナーズ

6 まとめ

1 外貨預金とは

外貨預金とは、米ドルやユーロなど「日本円ではない通貨(外貨)で預金をすること」です。たとえば米ドルで預金をするなら、私たちが持っている日本円を米ドルに交換して預金をします。この時、日本円いくらで1米ドルに交換できるかは「為替レート」によって決まります。

1.1 外貨預金のメリット

1.1.1 日本円の普通預金金利より高い金利

現在、日本の大手銀行の普通預金金利は0.001%と、かつてない低い水準です。一方、米ドルで外貨普通預金を行うとするとどうでしょうか。その金利は三菱東京UFJ銀行で0.2%、みずほ銀行なら0.350%などとなっており、各行で差があるものの概ね日本円の普通預金金利よりも有利な設定であるといえます(2017年5月19日現在)。

1.1.2 為替差益で儲けることもできる

為替は常に変動します。したがって、その動きによっては儲け(差益)が出る可能性があります。ざっくりいってしまえば、外貨預金を始めたときより円安になっていれば、日本円に戻したときにお金が増えているということです。

たとえば1米ドル=100円のときに10万円分を米ドルに交換して1,000米ドルの外貨預金を始めたとします。もし1年後に1米ドル=120円になっていれば(円安)、これを日本円に戻すと12万円になっているというわけです(利息や手数料、税金などは除く)。

1.1.3 分散投資ができる

分散投資という考え方は、株や投資信託だけに当てはまるものではありません。仮に海外資産を全く持っていないとすると私たちは「円」という一つの資産に一点集中して投資しているとも考えることができます。もし円の価値が下がれば大きな損失を被るリスクがありますが、外貨にも分散しておくことで、リスクを軽減することが可能になります。

1.2 外貨預金のリスクはなにか

1.2.1 預金保険の対象外

日本円で国内の金融機関に預金をしている場合、万が一預けている銀行などが破綻しても預金者を保護する「預金保険制度」によって、たとえば普通預金であれば金融機関ごとに預金者一人当たり元本1,000万円+利息までが保護されます。

一方、外貨預金は預金保険の対象外です。もし外貨預金をしている銀行が破綻すれば、戻ってくるお金はその金融機関の財産状況によって変わってきてしまうのです。

1.2.2 為替の変動は誰にもわからない

為替レートは常に変動しています。外貨預金を始めたときよりも円安になれば儲けが出ますが、逆に円高になると損が発生します。しかも、為替はいつ何がきっかけで大きな変動になるか誰にもわかりません。その意味で、外貨預金は非常にハイリスクな商品だと考えることもできます。

1.2.3 為替手数料で儲けが吹っ飛ぶ可能性もある

円を外貨に交換するとき、また、外貨から円に戻す時、そのいずれにも為替手数料がかかります。そのため、もし為替の変動がない状態で、円→外貨、外貨→円というような取引をすると元本割れしてしまいます。

詳しくは「2.1 外貨預金の為替手数料とは」で説明しますが、この手数料は外貨預金をするにあたっては、非常に重くのしかかってくるものなのです。

2 せっかくの儲けが吹っ飛ぶ?外貨預金の手数料

2.1 外貨預金の為替手数料とは

1.2.3でも説明した通り、外貨預金を行うときには、円を外貨に交換するとき、そして、外貨を円に戻すとき、それぞれに手数料がかかります。

よく外貨預金の為替手数料で「片道」という言葉を見かけますが、これは円→外貨という片道ルートの動き、外貨→円に戻すという片道ルートの動き、それぞれに手数料がかかるというイメージを持つとよいでしょう。

ちなみに「円→外貨」の際の片道手数料も含めた為替レートのことを「TTS (Telegraphic Transfer Selling)レート」といい、「外貨→円」の片道手数料も含めた為替レートを「TTB(Telegraphic Transfer Buying)レート」といいます。TTSレートとTTBレートの差が大きければ大きいほど、手数料は高いということになります。

では、たとえば1米ドル=100円(片道手数料1米ドルにつき1円)として100万円を米ドルに交換して預け入れる場合、どうなるのか見てみましょう。TTSレートが1米ドル101円になりますから、預け入れる米ドルは

1,000,000円÷101円=9,901米ドル

となります。次に、為替の変動がない状態だと仮定して、これを日本円に戻すことにするとどうでしょうか。TTBレートは1米ドル99円になりますので、

9,901米ドル×99円=980,198円

に減ってしまうのです(利息や税金などは考慮していません)。

2.2 銀行の外貨預金の為替手数料はとても高い!

大手銀行の窓口で取引する場合、1米ドルあたり片道手数料1円という設定が多くみられます。最近ではインターネットバンキングによる取引などで優遇レートを設定している銀行もありますが、それでも片道0.25円~0.5円というところです。

一方、ネット銀行であれば、この手数料(往復)は1ドルあたり0.3~0.5円と銀行よりも低い水準になります。たとえば住信SBI銀行では、1米ドルあたり片道0.15円、往復0.3円という設定です。

3 お得に外貨預金をする方法

このようにみてくると、外貨預金はリスクが高いだけでリターンがほとんどない商品に思えてきます。しかし、分散投資を考えるときに日本円だけでなく外貨で持つことは意味があることです。

手数料をできる限り安くできれば、円安のときに儲けを上手に出せる可能性が高くなります。そこで、手数料をかなりの低水準に抑えつつ、外貨預金をする方法があります。それはFX会社を使って取引することです。

3.1 外貨預金をするなら、どこに口座を開くかが大きな分かれ道

2.2で、大手銀行の窓口であれば、片道手数料1円、往復2円のところが多く、最安値のネット銀行でも片道0.15円、往復0.3円だと説明しました。ではFX会社ならどうなのでしょうか。

FX会社で取引する場合、売買手数料については無料にしているところがほとんどですが、買値と売値の差にあたる「スプレッド」がコストになります。スプレッドは銀行での外貨預金でいうTTSレートとTTBレートの差、往復手数料にあたるものだとイメージすると理解しやすくなります。

このスプレッドが、最安値のFX会社ではなんと0.3銭、つまり0.003円というところが複数社あります。ネット銀行の100分の1ですね。

3.2 FX会社で外貨預金ってこわくないの?

とはいえ、FXといえば「レバレッジをかけすぎてとてつもなく多額の損失を出した」というような話や「初心者が手を出す取引ではない」というような話もよく耳にされると思います。確かに使い方を間違えると大変なリスクを背負うことになりますが、目的を「外貨預金に代わるものとして使う」ことだけに絞れば、初心者でも無理なく使いこなせる可能性が高いのがFX会社での取引です。

3.2.1 レバレッジ1倍なら銀行の外貨預金より手数料が安くなる分有利

まずはFXについてざっと説明します。FXとは外国為替保証金取引(外国為替証拠金取引ともいいます)で、外貨投資の一種です。FX取引は、為替レートの変動を利用しながら異なる2国間の通貨の売り買いをすることが基本となります。

FXでは、手元の資金を担保にレバレッジをかけることで手元資金の何倍もの金額の外貨を取引できます。たとえば手元資金が100万円だった場合、普通なら100万円分の取引しかできませんが、レバレッジ3倍にすれば300万円までの取引が可能になります。ただ、利益を3倍にできる可能性がある反面、3倍の損失を出す可能性もあるということになります。

こうした側面がクローズアップされるので、FXは恐ろしいものだと思われがちですが、必ずレバレッジをかけて取引をしなければいけないわけではありません。レバレッジを1倍にしておけば、通常の外貨預金と為替リスクも含めてほぼ変わりはありません。むしろ手数料が安いので得だといえます。

3.2.2 スワップポイント(金利)が毎日もらえる

FXで利益を出す方法は為替差益だけではありません。FXでは「スワップポイント(スワップ金利ともいいます)」を受け取ることができます。スワップポイントとは、異なる2通貨間の金利差のことで、一般的には低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買うことによってスワップポイントを受け取ることができます(逆に高金利の通貨を売って低金利の通貨を買ったりした場合はスワップポイントを支払うことになります)。

今であれば日本は非常に低金利なので、日本円を売って外貨を買うパターンでは多くのペアでスワップポイントを受け取ることができます。しかも毎日付与されるので、長く積み重ねると無視できない額になり、銀行の外貨預金金利と比べても大きなものになるはずです。もちろん為替は変動しますからスワップポイントばかりに気を取られているうちに為替差損が膨らんだ、などということがないように注意することは必要です。

3.2.3 信託保全されるので安心

FXでは、金融商品取引法および関連法令に基づき、預け入れられた証拠金を取引業者の財産と区分して管理したうえで第三者である信託銀行などに保管することが義務付けられています。そのため、万が一FX会社が破たんした場合でも、信託保全によってお金が戻ってきます。

預金保険の対象外である外貨預金に比べると、実は万が一の際の安心感が高いのはFX会社での取引だったりするのです。

これまでのことをまとめると、外貨預金をするならば、FX会社のサービスを外貨預金の代わりとして使うことで、

  • レバレッジ1倍にすれば為替リスクは外貨預金と変わらない
  • スワップポイントにより高い金利を得ることも可能
  • 銀行と違って信託保全されるので安心

というメリットを享受できることになります。

4 外貨預金として使うときに選ぶべきFX会社とは

これまで、外貨預金をするのなら銀行ではなくFX会社で取引をするほうが有利であるということを見てきました。それでは外貨預金代わりのサービスとしてFX会社を使うなら、どこに口座を開くとよいのでしょうか。

4.1 スプレッドの幅が狭い

FX会社で取引する場合、買値と売値の差にあたる「スプレッド」が銀行での外貨預金でいうTTSレートとTTBレートの差、往復手数料に相当するイメージです。したがって、スプレッドの幅ができるだけ狭い会社を選ぶといいでしょう。スプレッド0.3銭、つまり0.003円というFX会社が複数社あります。

仮に1米ドル100円のときに1万通貨(1万米ドル)取引したとしても、スプレッド0.003円×10,000米ドル=30円しかかからないことになります。

4.2 スワップポイントが高い

異なる2通貨間の金利差であるスワップポイントは、一般的に低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買うことによって、毎日受け取ることができます。スワップポイントは一定ではなく、日々変化し、政策金利の変動などがあれば大きく変わります。また、FX会社によってもスワップポイントは異なります。

できるだけ有利なスワップポイントのFX会社を選ぶとよいでしょう。

4.3 取引通貨単位が自分のスタイルに合っている

多くのFX会社では取引する通貨単位を「1万通貨単位」としています。これはすなわち、1万米ドル、1万ユーロなどの単位での取引が必要だということです。外貨預金として考えレバレッジ1倍で取引をした場合には、1万米ドル購入できるだけの日本円が必要になります。1ドル110円とすれば110万円ですね。

一方で、1通貨単位、100通貨単位で取引できるFX会社も存在します。まずは少額から試してみたいという場合はこうしたFX会社を選ぶとよいでしょう。

5 外貨預金をするのにおすすめのFX会社

上記のことをまとめて、外貨預金をするのにおすすめのFX会社をピックアップしてみました。

5.1 GMOクリック証券【FXネオ】

GMOクリック証券は、株・FX・CFD・バイナリーオプションなど多様な金融商品を揃えるオールインワンの証券会社です。一方、FX取扱高5年連続世界第1位(注)という、FXを語るうえで外せない企業でもあります。スプレッドは米ドル円0.3銭など、世界でも最低水準を誇ります。取引通貨単位は1万通貨単位からです。

(注)ファイナンス・マグネイト社調べ(2012年1月〜2016年12月)

5.2 DMM.com証券【DMM FX】

DMM.com証券は、GMOクリック証券と同様に、業界最低水準のスプレッド(米ドル円0.3銭)となっているほか、全20通貨ペアが業界最狭水準スプレッドとなっています(2017年5月現在)。

5.3 SBI FXトレード

SBI FXトレードは、1万通貨単位までのスプレッドが業界最低水準となっていて、たとえば米ドル円なら0.27銭です。また、取引通貨単位が1通貨単位となっており、少額から使いやすいFX会社です。

5.4 マネーパートナーズ

マネーパートナーズも取引通貨単位が100通貨単位となっていて、少額からレバレッジをかけずに外貨預金として使いたい人にとって便利なFX会社です。

6 まとめ

いかがでしたでしょうか。分散投資の視点からすると外貨預金は重要である反面、使い方次第ではあまりメリットのないものになってしまいます。どうせ始めるなら少しでもお得に、できるだけメリットを享受できるようにしたいものですね。興味がある方はこの記事を参考にしてみてください。

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LIMO編集部