2022年11月10日に行われた、株式会社オールアバウト2023年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社オールアバウト 代表取締役社長兼グループCEO 江幡哲也 氏
2023年3月期第2四半期決算説明
江幡哲也氏:みなさま、こんにちは。本日は、2023年3月期第2四半期決算説明会にご参加くださり、ありがとうございます。私は、株式会社オールアバウト 代表取締役社長兼グループCEOの江幡哲也でございます。
さっそくですが、第2四半期までの累計の決算について、資料に沿ってご説明していきます。この資料は、オールアバウトのコーポレートサイト・IRページにも記載していますので、後ほどご覧いただければと思います。よろしくお願いします。
オールアバウトグループの企業理念
決算説明に入る前に、オールアバウトグループの企業理念であるミッション、ビジョン、フィロソフィーについて、簡単にご紹介します。これらは、創業以来変わらず掲げている大切なものです。
ミッション、つまり我々が果たすべき使命として「個人を豊かに、社会を元気に。」ということを20年前から掲げています。今まさにインターネット・デジタル時代の中で、個人が活躍していく社会になっています。我々のミッションがますます社会にマッチしていると感じます。
ビジョン、つまりミッションを遂行した先に目指す姿としては「テクノロジーと人の力で『不安なく、賢く、自分らしく』を支えるプラットフォームになる。」ということを掲げています。多くの生活者のみなさまに共通するニーズに「不安なく、賢く」そして「自分らしい」人生を送りたいというものがあります。ここに役立つプラットフォーム、基盤的な大きな事業、社会のエコシステムを作れるような存在になりたいと考えています。
その上で、創業以来大切にしている考え方の根本に「システムではなく、人間。」ということがあります。インターネットテクノロジーの進化を活用するのは当たり前ですが、そこに人間ならではの力を加えることで、実現していこうと日々事業を進めています。
オールアバウトグループの事業領域と構成
スライドには、事業全体の領域と構成をまとめています。左側に黒色で示したマーケティングソリューションセグメントは、主に法人のお客様からの収益を主体とした事業群です。インターネットメディアとデジタルマーケティングがメインですが、その中でも特に祖業である「All About」という自社のインターネットメディアを中心とした事業です。
また、昨今はデジタルマーケティングの伸びが著しいですが、このようなデジタルマーケティングをしっかりとサポートする事業も展開しています。そして、後ほどご説明しますが、企業の事業変革を推進するデジタルトランスフォーメーション事業も行っています。
右側に赤色で示したコンシューマサービスは、主に生活者の個人のみなさまからの収益を主体とする事業群で、eコマースがメインとなっています。我々のeコマースには特色があり、スライドにはトライアルマーケティング&コマースと書いてありますが、「サンプル百貨店」をはじめとして、さまざまな事業を展開しています。
既存の事業領域としては、この2つが柱であり、本日の決算報告もそれに沿ってご説明します。
また、スライド下段にはR&Dと記載していますが、こちらは2025年度を目処に3本目の柱を作るべく進めているものです。我々独自の言葉で「ライフアセットマネジメント領域」と呼んでいますが、先ほどお伝えした、人生を「不安なく、賢く、自分らしく」生きるための基盤となる、生活者にとって重要な領域のことを指しています。
具体的には、お金・健康・キャリアに関するものです。また、なにかあった時に帰る場所である家族作りや人間関係が人生の基盤になると考えています。我々のアセットが非常に活きる領域ですので、ここでの自社サービスの立ち上げを試行しています。
また、この領域には多くのテクノロジーベンチャー企業が勃興しています。我々としても、自社だけではなく、テクノロジーベンチャーに対する投資事業も1つの事業細目にしていこうと、並行して進めています。
2023年3月期の戦略方針(2022年5月11日開示 決算説明資料より)
それでは、連結決算のハイライトについてご紹介します。こちらのスライドは、5月11日に開示した昨期の期末決算説明資料の抜粋です。今期の大方針を3点掲げていますので、おさらいになりますがこちらをご説明し、その進捗も併せて紹介します。
1点目に、我々は2025年度くらいのイメージで、グループの取扱高1,000億円規模を目指していこうと考えています。今はその途中経過の期として、そのように飛躍的に大きな規模になるための事業基盤をしっかりと作るフェーズです。
具体的には、取扱高と売上高を伸ばすことを第一プライオリティに置いて進めています。その中で今期は、グループの取扱高は500億円程度と、前期比30パーセント増の100億円程度積み増すということを、1つの目標にして動いています。
2点目として、これを実行するために戦略的な投資をしっかりしていこうと考えています。これも後ほどご紹介しますが、内訳はスライドに記載しているとおりです。
3点目に、しっかりと進捗内容を見ていけるように、戦略投資を別管理としました。また、そのようなものを除いた、いわゆる既存事業群の状況がわかるように、投資調整後の営業利益という指標も出して、しっかりとマネージしていくという方針を発表しました。
エグゼクティブサマリー
それではこの第2四半期累計が、どのような状況になるのかをご説明します。1点目は、重視している取扱高と売上高についてです。取扱高についてはコンシューマサービスセグメントが引き続き伸長しており、前年同期比で2桁の成長ができています。売上高については、両セグメントで前年同期を上回り、増収を達成しました。大方針として掲げている取扱高と売上高については、計画の範疇でしっかりと進んでいると捉えています。
2点目は、利益側面です。取扱高と売上高の増加に伴って、変動費や人件費等の増強を先行しているため費用が増加しています。また、冒頭にお話しした戦略的な投資も手応えを感じており、積極的に投資していますので、営業利益は前期比で減益となっています。
3点目に戦略投資の実行の状況です。やみくもに資金を使うということではなく、やはり費用対効果が狙えるかどうかを機動的に見ながら進めています。結果として前期比では増加していますが、計画に対して上半期はまだ進めきれていないところがあります。
戦略投資における大きなポイントとして、マーケティングソリューションセグメントにおいて、「PrimeAd BMP」に投資を実行しています。大きな進捗として、具体的には主要なパートナーになり得る電通デジタル社が公式ツールとして活用することなどが始まっています。
また、コンシューマサービスセグメントにおいては、資本業務提携先であるNTTドコモとの取り組みに注力し、こちらについても具体的に進んでおり手応えを感じています。以上がエグゼクティブサマリーです。
連結取扱高と売上高の推移
スライド下部の棒グラフは、取扱高と売上高の推移を2013年3月期からプロットしたものです。左上の欄は取扱高と売上高の今期の予測をレンジのかたちで示しています。取扱高については参考ですので、こちらの実績進捗を少しフォローします。
濃いグレーの棒グラフが取扱高を表しており、一昨期の2021年3月期から飛躍的に伸びているのが見て取れると思います。2025年度に向けて、この勢いで順調に伸ばし、1,000億円規模を達成したいと考えています。この上半期についても取扱高の進捗率が44パーセントから48パーセントということで、下期偏重という傾向を含めて、おおむね計画の範囲内でグリップしていると思っています。
一方、売上高も同じような進捗ですので、こちらについても同様の伸びができていると考えています。2022年3月期から、新しい収益認識に関する会計基準を適用していますが、旧会計基準ベースで言うと2022年3月期も増収であるということも補足します。
連結取扱高の推移
取扱高の推移です。マーケティングソリューションセグメントが前期比では減収でしたが、コンシューマサービスセグメントの増収により前期を上回って推移しました。先ほどお伝えしたとおり、進捗に対してはおおむね計画どおりに来ていると考えています。
連結売上高の推移
売上高の推移です。両セグメントとも増収で進捗しています。
連結営業利益の推移
連結営業利益の推移です。先ほどのコメントの補足になりますが、人件費や開発投資等、戦略的投資も積極的に進めているため減益となっています。この数字については、我々の計画に対して既存事業を含め課題があったと感じていますので、下期に対してしっかりと取り戻し、通期計画達成に向けて進捗させていきます。
連結投資調整後営業利益の推移
連結投資調整後営業利益についても、営業利益と同様の傾向を示しています。ただし、前期比マイナスの計画は織り込み済みという部分がありますので、こちらはしっかりと計画に沿って投資を進めていきます。
2023年3月期第2四半期(累計)の決算ハイライト
連結業績全体をおさらいしますと、取扱高・売上高ともに増収、営業利益については前期比マイナスではありますが、マーケティング費用・人件費の増加を織り込んでいるため、おおむね計画の範囲内であると考えています。また戦略投資ですが、「PrimeAd」およびドコモ経済圏等の施策等に対してはしっかり進捗しており、緩めず実行していきます。詳細な数字についてはスライド下段をご参照ください。
2023年3月期第2四半期(累計)の決算ハイライト
取扱高、売上高、営業利益、その他の項目の財務諸表サマリーです。マーケティングソリューションセグメントはメディアの売上が増収しており、粗利益は拡大しています。また、コンシューマサービスセグメントについては積極的な拡大施策としてポイント・クーポン等のマーケティング費用が増加し、減益となっています。
営業費用は主に人件費やシステム関連費用の拡大により増加し、営業利益に対してマイナスに作用しています。
以上が連結全体の第2四半期累計サマリーのご報告でした。ここからは、セグメントごとに補足でご説明します。
2023年3月期第2四半期(累計)の事業ハイライト
まず、マーケティングソリューションセグメントについてです。セッション数好調なメディア売上改善等により増収です。このセッション数というのは「All About」のユーザー指標のことですが、これがかなり好調に推移して増収となっています。
一方で「PrimeAd」という新たな事業への投資をしっかりと進めているため、費用全体が増加し、セグメントの利益は減益になっています。
この「PrimeAd」の進捗によって、電通デジタル社との重要な取り組みが開始するというトピックがありました。このセグメントの数値に関してはスライドの下段をご参照ください。
マーケティングソリューションの取扱高・売上高※1推移
スライドは左側がマーケティングソリューションセグメントの取扱高、右側が売上高の四半期推移となっています。
マーケティングソリューションの営業利益・投資調整後営業利益
スライドは左側がマーケティングソリューションセグメントの営業利益、右側が投資調整後営業利益の推移です。
総合情報サイト「All About」の状況
こちらのスライドには、先ほど冒頭でお伝えした祖業の「All About」の状況を記載しています。棒グラフはセッション数の推移を示しており、概ね、このメディアに訪問しているユーザーの数と捉えていただければと思います。
ご覧いただくとわかるとおり、前期比73パーセント増とかなり大きく伸びています。近年でも記録的な伸びとなっており、すでに始まっている第3四半期においてもまだ伸び続けている状況です。
セッション数は月間3,600万セッションくらいになっていますが、3,000万セッション規模のメディアのセッション数が前期比1.7倍になるというのは、そう簡単なことではありませんので、施策が成功していると考えています。
具体的には、「All About」は、生活者のみなさまが何かをしたい時に目的を持って訪問する傾向が強いメディアです。検索エンジンからの流入が多く、何かを検索した時に「All About」のコンテンツが上位に出て、そこから入ってくるということです。創業以来、このような構造が非常に強く、そこに対するコンテンツは従来どおり伸びています。
加えて、昨今のインターネットの活用状況によって、いろいろなユーザーとの接点があります。例えば、ニュースアプリの「SmartNews」、日常使いされている「LINE NEWS」、あるいは「Yahoo!ファイナンス」や「Yahoo!ニュース」などです。
近年、SNSを通して個人発信の情報が増えている中、やはり信頼できる情報や俯瞰的に全体を把握できるようなコンテンツのニーズが高まっています。そして、先ほど挙げたユーザー接点を多く持っているみなさまから、我々に対してそのようなコンテンツを求められることが増えています。
我々はそれを得意としていますので、ニュースというかたちで生活情報に密接した、信頼できる背景情報をコンテンツとして大量に提供しています。結果、ユーザー接点が多様化、拡大し、前期比1.7倍というセッション数の伸びにつながっています。
メディアのユーザーの伸びがそのまま、プログラマティック広告と言われるアドテクノロジーで配信される広告の収益として跳ね返ってきますので、売上が伸長しています。折れ線グラフが広告単価の推移ですが、実はコロナ禍に入ってから、業界全体のプログラマティック広告の単価が下落し、今なお緩やかな下降傾向にあります。そのため、セッション数の伸びと広告単価の下落のかけ合わせで全体としては収益側面でプラスとなっている状況です。
単価については業界平均はまだまだ下降気味である中、我々に改善傾向が出てきています。そのためこのままセッション数をしっかりと伸ばして、単価を業界平均よりもさらに上げていくことを堅持しながら、収益につなげていきたいと思います。プログラマティック広告の売上はそのまま粗利にカウントされ、利益率の改善にも寄与するところですので、しっかりと伸ばしていきます。
PrimeAdの事業進捗
新しい取り組みである「PrimeAd」についてです。本日が初参加の方もいらっしゃいますので、簡単にご紹介します。「PrimeAd」は、コンテンツマーケティングと言われるデジタルマーケティング分野のDXプラットフォーム事業です。
コンテンツマーケティングには、例えばコンテンツメディアタイアップ広告というものがあります。これは、メディアのコンテンツと同様の形式でユーザーにとって役立つ情報としてコンテンツ広告を展開することです。コンテンツマーケティングとは、そのようなタイアップ広告を含めた、コンテンツを活用したマーケティング手法です。
元来、我々はインターネットビジネスにおいて、コンテンツタイアップ広告を最も得意としていますので、このビジネスのノウハウや業務を支援するシステム、アプリケーションを持っています。このノウハウを「All About」だけで閉じるのではなく、ともすると、これまではライバルであった優良なコンテンツを多く持っていらっしゃるいろいろなメディアのみなさまに、ビジネスシステムごと提供していくプラットフォームを展開するビジネスです。
コンテンツマーケティングビジネスを行う上でいろいろなワークフローがありますが、最初に広告主もしくは広告代理店のみなさまから受注を取ってくる「セールス」フェーズがあり、本プラットフォームの中ではこちらをDX化することから始めています。
オンラインダッシュボード上で、広告代理店のみなさまに「広告主がこのような広告をやりたい」というオファーを入れていただくと、参画メディアの中から指定されたメディアにその内容が公開され、受け取ったメディアはダッシュボード上で提案を行い、受発注が成立します。従来の対面でのセールス活動をDX化することをファーストフェーズとしてリリースしました。これが「PrimeAd Business Matching Platform」、略して「PrimeAd BMP」です。こちらを使えば、例えば今まで広告代理店のご担当のみなさまが、各メディア社と一つひとつ対応して確認しながら進めていたワークフローを一気にDX化できます。
代理店のプランナーや発注担当のみなさまに、この「PrimeAd BMP」を使うIDを取得していただき活用いただく、我々からするとそのIDを獲得することで、プラットフォームを拡大していくというフェーズが始まっています。このID数が1つのKPIになりますが、前期比でかなり増えており、ようやくこのプラットフォームが大き成果を生み出す段階が始まったところです。
一方で、ご発注をいただいた際に、必要なメディアが揃っていないとマッチングが成り立ちませんが、メディア参画は先行して進めており、主要なコンテンツメディアはほぼ網羅した状態になっていますので、こちらも戦う準備ができたかたちです。主要な代理店、およびメディア連携はほぼ完了していますので、下期以降は導入フェーズから導入先への「PrimeAd」の運用拡大フェーズに入っていきます。
我々としては、まずはこのプラットフォームの活用、経験を増やしていただくためにCX活動を強化しており、手応えを感じています。こちらに対する具体的な投資は、部門の人員投資と、このプラットフォームに対するシステム開発投資の2つです。手綱を緩めず、強化していきたいと考えています。
「PrimeAd」が大きくなると、単一のメディア事業のフィールドから、インターネット全体を1つのメディアとしたフィールドへ事業を拡大できます。我々のメディア上での商いだけではなく、他メディアでの商いの一部が、我々に収益として自動的に入ってくるかたちになります。プラットフォームビジネスの成功には投資先行が必要になりますが、大きなリターンが見込めますので進めていきたいと思っています。
2023年3月期第2四半期(累計)の事業ハイライト
続いて、コンシューマサービスセグメントについてご説明します。コンシューマサービスセグメントは、これまでもグループ全体の取扱高を牽引する役割を担ってきています。その中でも「サンプル百貨店」事業が大きく伸びてきており、「サンプル百貨店」本店だけではなく、多様なチャネルで「サンプル百貨店」のブランチを作っています。
例えば、提携先のNTTドコモで最近非常に伸びているキャッシュレス決済「d払い」のアプリの中に、昨年度下期から「d払いサンプル百貨店」を開設して、ユーザー接点を設けています。この取り組み成果が本決算にも加算されています。また、NTTドコモの「dショッピング」は、2年半前から共同運営ということで我々が運用しています。こちらも大きく増収できており、計画どおり進捗しています。
NTTドコモとの提携内容において、ドコモ経済圏向けのマーケティング費用を投入することにより、さらにユーザー規模を拡大していけると考えていますので、引き続き積極的に投資をしていきます。
また、サービス拡充のために取り扱い商品や、出店社数を拡大したり、物流拠点を拡充したり等々、戦略投資を前倒しで行っています。そのため前期比減益ですが、織り込み済みであり成果にもつながっていますので継続して投資を進めていきます。
このセグメントの取扱高、売上高、営業利益、投資調整後営業利益についてはスライド下段をご参照ください。
コンシューマサービスの取扱高・売上高推移
コンシューマサービスセグメントの取扱高と売上高です。
コンシューマサービスの営業利益・投資調整後営業利益
コンシューマサービスセグメントの営業利益、投資調整後営業利益の推移となっています。ご参照いただければと思います。
トライアルマーケティング&コマース事業の状況
トピック的なページになりますが、トライアルマーケティング&コマース事業のユーザー側の指標について示しています。折れ線グラフが「サンプル百貨店」と「dショッピング」両事業のトータルのユニークユーザーということで、ユーザー規模が伸びていると見て取ることができると思います。また、グレーの棒グラフは取扱高ですが、ユニークユーザー数に連動して増えています。こちらについても順調に押し上げることができています。
トライアルマーケティング&コマース事業
トライアルマーケティング&コマース事業の構成と中身について少し補足します。3つの構成要素からなっています。
1つ目は「サンプル百貨店」が担っているトライアルマーケティングです。「サンプル百貨店」では、飲料や食品、生活用品など、コンビニやスーパーで生活者のみなさまが購買されている幅広い商材を扱っています。それを新商品から在庫ソリューション、つまり、例えば賞味期限切れ前3ヶ月くらいで使用できるものを、まだご活用いただいていない方にお試し買いしていただくというソリューションです。
これは食品ロスを減らし、環境負荷を下げるという点でも評価され、大きく伸びています。「サンプル百貨店」事業を本店で展開しはじめ、2016年には現在提携しているNTTドコモの「dショッピング」上に「サンプル百貨店」を出店し、こちらも伸びています。
さらに、昨年10月から成長著しいキャッシュレス決済の「d払い」アプリの中に「サンプル百貨店」のミニアプリを展開することで、ユーザー接点を拡大する施策を行っています。このようなかたちで全体の取扱高、売上規模を拡大しています。まだまだ拡大できると思いますので、さらに強化していきます。
また、これと合わせまして、2つ目は総合通販サイトの運営です。トライアルマーケティング事業では、ユーザーからすればスポット買いと言いまして、その時々の目玉商品を安く買えるということが特徴になっていますが、必ずしもいつもその商品があるとは限りません。
また、「お試し買い」サービスの特性上、1回買っていただいたあと2回目以降は正規の流通ルートで買っていただくことを想定しています。そのため、今までは2回目以降の購買機会を他社に渡すというビジネスの機会損失がありました。
そこで、新たな受け皿として総合通販サイト「dショッピング」の共同運営を開始し、その点をカバーします。「dショッピング」は日常使いの定番商品の品揃えがありますので、スポットであるトライアルマーケティングと連動するかたちで強化できるというのが強みになります。こちらも取扱高を大きく伸ばしていきます。
2020年7月から共同運営していますが、その時点で出店社数は80社程度でした。これは大手企業中心でしたが、今年9月には出店社数を200社超まで伸ばし、流通総額も大きく伸びています。
また、進行している第3四半期において、ふるさと納税のチャネルもこちらに追加し、立ち上げ後の売上も順調に伸びており、総合通販もますます拡大していけると考えています。
キーになるのは出店社数です。出店社数をしっかりと増やしていくこと、また出店社のみなさまに対するマーケティング機能を強化していくことが重要と考えています。
3つ目がマーケティングソリューションになります。こちらは出店企業のマーケティングのサポートです。例えばECに加え、リアルやオンラインでサンプリングプロモーションのイベントを開催して、多くの生活者に楽しんでもらうマーケティングビジネスを展開してきました。ただし、昨今のコロナ禍の環境下ではリアルイベントの開催は難しいということで、オンライン型のイベントにイノベーションし、好評を博しています。
企業のみなさまからすると、生活者のみなさまとのダイレクトな接点、いわゆるサンプリングやPRの機会となるマーケティングソリューションになっています。このようなオンライン、オフラインでのマーケティングをサポートする事業群です。
また、資本提携先である日本テレビとの協業も進んでいます。例えばテレビとeコマースの重なる分野でのトライとして、1つおもしろいことが起こっており、それがスライド下段に記載した、在庫を活用したテレビCMです。これはまったく新しい概念です。
「サンプル百貨店」は売り手のメーカーから在庫を預かって販売できますので、そこで利益が上がります。この在庫を提供してもらうことによって、利益の一部を活用してCM出稿できるというスキームで、メーカーからも好評を博しています。今後さらに出店企業や仕入先企業向けのマーケティングソリューションを拡充していきたいと考えています。
この3つはすべてにおいてまだ伸び続けると考えていますので、引き続きアクセルを踏んでいきます。以上、初参加の方もいらっしゃいますので、事業のことも含めてご説明しました。
2023年3月期 業績予想
最後に、業績の見通しについてご報告します。本年度の業績予測について、上期の概況としては、ご報告のとおり取扱高伸長により増収を図れています。また、期初にお伝えした成長投資を含むコスト増により、計画に織り込んでいる部分もありますが減益となっています。目下の業績についてはレンジの下のほうで推移しており、一部課題があると認識しています。
一方下期ですが、マーケティングソリューションセグメントについては、先ほどお伝えしたとおり「All About」を含めたメディアのセッション数が伸び続けています。さらに、単価についても上昇傾向にあるため、このセグメントは堅調です。
また、新たな取り組みである「PrimeAd」はまだ投資フェーズではありますが、投資をしながらも売上を上げていこうと進めていますので、下期には徐々に収益が拡大していくことが見込まれます。
コンシューマサービスセグメントにおいては、ご報告のとおりドコモ経済圏への取り組みがそのまま収益拡大につながりつつ、ユーザー基盤の拡大や新たなチャネルの創造という中期的な成長にも貢献する見込みです。そのため、しっかり投資しながらも、さらなる取扱高を増加させ、下期においても収益押し上げにつながる部分があると見ております。
このような下期施策の効果なども鑑みて、着実に通期の計画を遂行していけると考えています。したがって、通期の業績予測については据え置きとする旨を、決算短信にも記載した次第です。
2023年3月期 業績予想
以上を踏まえて、通期予想数字をこのページに掲載しています。もともと出している数字に対して、今お伝えしたことを含めてしっかりこなし、進んでいく下期にしていきます。ぜひ、引き続きのご支援をお願いできればと思います。以上、駆け足となりましたが、第2四半期累計のグループ全体の状況、2つのセグメントについての補足、下期の考えについてご説明しました。
江幡氏からのご挨拶
少しだけ補足でご説明します。昨今、インフレによりいろいろなものが値上げとなる流れや、大きな円安というような経済変化があります。
そのような大きなファンダメンタルズと我々の事業との関係について、ご案内のとおり、コンシューマサービスセグメントの「サンプル百貨店」ならびに「dショッピング」は、低価格を強みの1つとしています。価格が上がる世の中の流れによって、これらのサービスは生活者のみなさまからするとより価値が高い存在になると考えています。
また、このような経済環境変化の中にある企業活動において、まさに「DX待ったなし」ということを日に日に実感していますし、多くの企業のみなさまの課題であると考えています。その中でデジタルマーケティングへシフトする動きは、着実に大きくなっていきます。したがって、基本的なファンダメンタルズの環境、市場要件は、我々の事業にとっては追い風だと考えています。
本日冒頭にもお伝えしたように、投資をこなしながらであっても、2025年度末くらいには連結取扱高1,000億円、売上高300億円、営業利益30億円という構造を作れるのではないかと考えている背景には、そういった市場環境があると考えています。
コンシューマサービスセグメントにおいては、市場統計データを見ると、いろいろなデータが出ているものの、eコマースの市場動向は年率だいたい8パーセントから12パーセントくらいの幅で毎年伸びています。我々は、少なくとも、市場平均成長率を超えるグリップを続けていくということを考えています。これについては、今取り組んでいる施策が十分に機能するのではないかと思います。
また、マーケティングソリューションセグメントについては、これまで単一メディア事業を中心に行ってきた事業に、DXを担うコンテンツマーケティングプラットフォームの「PrimeAd」事業を加算していくことで、事業フィールドをWebメディア全体に大きく広げていきます。
DXの流れに寄与するものだと考えていますので、これをしっかりと作り上げ、既存のメディアを強化し、伸ばしつつ、新しいフィールドも取っていきます。
新しいフィールドですので、やはり予期せぬことが起きたり、時間軸にズレが起こるなど、いろいろなことはあると思いますが、確実に手応えを感じていますので、投資を緩めず行っていきます。
そしてさらに新規で3本目の柱をしっかりと作り込んでいきます。
ぜひ、この先もご支援を賜りますようお願い申し上げまして、本日の決算説明会を終了させていただきます。本日はお忙しい中ご参加いただきまして、ありがとうございました。